☆戦争の始まり☆
草花は灰と化し、爆音が轟く。
さらに炎が渦巻いて戦闘は悪化していっている。
砲弾が地面で破裂して欠片を撒き散らす。
そして、スキル同士での争いも活発化していく。
火が、水が、風が、地が。
辺りはいつの間にか水を吸い込んで泥濘んでいた。
足にまとわりつくように、動きを阻害される。
足から炎が広がり、気づかぬものは燃えて死ぬ。
が、そんな死に方をするような雑兵ではなかった。
泥濘は乾き、地面がひび割れる。
戦況は拮抗していた。
ステージ王国のある町で。
国境に近く、オグローに面するこの町、ボーダではもう戦火に包まれていた。
もちろん市民を巻き込むことは大陸法で禁じられている。
だが、いまはスピーディーな制圧を求めているらしい。
家屋は燃え落ち、瓦礫の山とかしている。
率先してシェルターを攻撃をしているわけではないようだ。
そのまま軍は進んでいく。
戦火の中でギルドマスターは軍隊の進み具合から自らが管理する北ステージにいつ来るのか考えていた。
テージのすぐ南に王都、ステージがある。
因みに王都のすぐ西に西ステージという別な町があるのだが、ギルドが活発であり、特に心配していないのだ。
『山吹』から国として各ギルドが許可すれば軍人と扱える。
が、通常の国が指揮する軍人と違い、あくまでも戦闘特化の冒険者であるため、戦士した際には多くの賠償義務が大陸法で規定されている。
なので国としては切り札的な使い道なのだが、そうすると敗戦ギリギリの投入になり、それはそれで危ないのだ。
故に使い方次第で戦況をひっくり返すことも、自国の転覆の王手をかけることもできるのである。
ヴェラ国にはギルドという地方の防衛システムはなく、国家への信頼と依存とそして、傲慢。
それで犯罪発生率の驚くべき低さを実現している。
自分の満足と、与えられた人生と、与えられぬ自由。
それに一度として疑問すら抱くことなく命が消えゆく。
だから全国民が同一の宗教を信仰し、駒となる。
ふぁあぁあ。
目を少し開けると目の左端にシーツが見えた。
そこから考えるにベッドからいつの間にか落ちていたらしい。
が、マラのお陰で全く起きることなく朝を迎えられたようだ。
少し乾いた空気に苛まれ、外に出て口をゆすぐ。
袖で口を拭う。
朝ご飯を最後のオーク肉で準備する。
脂身を炙り、少し焦げ目をつける。
たまたま見つけた香草を肉の上にのせる。
そして、タレを作ってないことを思い出す。
タレも屋外採取の果物を使った甘じょっぱいもの。
「あさごはんできたよー!」
私は寝室に移動してそう言うがみんなぐっすりだ。
もともと一人だった部屋には四人に増え、いつの間にか五人になっていた。
当たり前になっていたこの風景に微笑む。
「じゃ、片付けるよー!?」
そう言うと電気ショックを受けたように飛び起きて四人がいそいそと着替え始める。
戦争の中だと知らない、時の話。
大陸法
この大陸の国際的な法律。
戦争について明記されている。
『1条、市民には手を出さないこと。
1‐1、ここで言う市民とは戦争に関わりを持たない者とする。
1-2、市民を捕虜とすることは認めない。
1-3、軍用に使用されていると証明できない限り、公共施設には攻撃してはならない。
1-4、戦後の取引には大陸連合が介入する』
などと書かれている。
最近頻度落ちててすみません……。2週間に1回のつもりで居てくれると助かります…。




