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monologue  作者: 結城 未明
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拝啓 過去の君へ

「だいじょうぶだよ」




それが君の口癖だった




なーんにも大丈夫なわけなさそうな顔してさ


アホみたいに毎日笑っててさ




誰かに頼ること忘れてたでしょ




すんごい疲れたーって顔しててもさ


授業になったら元気健康大丈夫!


って、強がってばっかり




誰かに心配されるのが怖くて


失望される未来が怖くて


誰も体調崩すだけで落胆しないってのに


何があっても君は教室にいて


どんなに不調でも教室に陰があった






ほんと、君はばかだよ




ばーか


ばーか






ほんとに、ばかだったよ


もう少し、素直になってればいいのに


少しくらいヘラヘラしててもいいのに


裏切られるのがすっかりトラウマになりやがって


ぜんぶ「だいじょうぶだよ」って


あほか


少しくらい言い返してもいいだろ


聞き分け良すぎて教師に


「ひとりでもできるよね」って


「あはは…」とか


ヘラヘラ笑うな


無言になるな


ひとりで何でも出来る人間がいてたまるか




なにが「生きて」だ


苦しいならそう書けばいいのに


悲しいなら


つらいなら


そう零せばいいのに


なぁに、紙一枚だ


少しくらい縋ったところで


バチも何もあたるかって




二度と戻らない今日に後悔するなら


明日の幸せな自分を夢見ればよかったろ


ただ他愛のない会話して


しょうもないことに笑って


そういう未来を少しだけみたいと思ってもよかったろ




でも君はなにもしなかった


すべてを微笑みの中に隠して


誰にも話そうとしなかった


泣くことなんて忘れましたって顔して


毎日毎日笑って躱して




こんな世界もある




ってばかだよ、ほんとにさ




でもさ、その日々があるから


君は強くなったよね


ちょっとしたことじゃ振り回されなくなったし


少しは文字に起こしてくれた


日記の最後の行に「生きていてよかった」なんて


書くようになって




きみが生きる道を進んでくれて


少しでも素直に笑えるようになって


毎日僕たちと話す君が誰かと話せるようになって





ほんとうによかった





二度と戻らない日の繰り返しが


後悔でまみれていたら悲しいもの














拝啓 今日を生きたきみへ


今日を生きようとしてくれてありがとう



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