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ライトノベルや漫画の完結における一考察

作者: 木神原

考察というか意見書?

 私は文学作品の一シリーズが完結するのが苦手である。完結することが受け入れ難く感じてしまうのである。

 同じ完結であっても、アニメーション作品や映像作品の完結は平然と受け入れられる。理由は明快で、後者の完結は向こうから「やってくる」ものである一方、前者は自ら完結に「迫っていく」からである。自分が作品を終わらせるという感覚が、数多くのキャラクターが存在する世界を終わらせる感覚が、着実に終わりに近づいていく感覚が、私の手を止めさせるのである。

 人によると思うが、作品を完結まで読み進めなければいくらでも結末は妄想できるのである。ヒロインが生き返ったりはたまた死んだり、主人公が悪を亡ぼしたりその逆だったりと、想像は無限大である。しかし完結まで読み切った途端、それらは作者の望んだものとは違うifの世界や、取るに足りない二次創作になってしまう。私はこの、自分ではどうしようもなくなる感覚がとても苦手なのである。

 ここまで一口に「完結」と言ってきたが、完結にもイロイロある。代表的なものを3つピックアップする。

 1つ目。いわゆるハッピーエンドである。勧善懲悪の世界で主人公が悪をやっつけ、世界が主人公を祝福する完結の仕方だ。功績の大小はあれど、主人公がしたことがいい結果を招いた場合はハッピーエンドとする。個人的にはこれが最も完結のダメージが少なく、いい形で完結を迎えられるのですっきりと終われる。自分が世界を終わらせる罪悪感も弱く、作品自体がこれ以上ないほどの綺麗な終わり方の場合は読後感が果てしなく良いことがグッドである。

 2つ目。いわゆるバッドエンドである。最終的に主人公が悪に打ち勝ったが大量に仲間を失い、失意の奥底に沈むケースや、結ばれるハズだった2人が結ばれないケースなどである。こちらは読後感が悪く、苦虫を嚙み潰したような顔になってしまうこと請け合いである。読み進めていくことがそれ即ち自分から死地に赴くことになるため、ページをめくる手が止まる辛いエンドである。人によってはこれが一番キツイ完結の仕方かもしれない。

 3つ目。ループエンドである。ループエンドというと分かりづらいが、端的に言うと日常系作品によく見られる「明日もまた遊ぼうぜ!」で完結する形式である。某国民アニメにも見られるようなポピュラーな物語の終了方法だが、個人的にはコレが一番辛い。打ち切りというケースを除いて、この終わり方は作者の意思で終わりがないように作られていることになる。ここで勘のいい読者の方は気づいたであろう、「あれ?お前作品を終わらせる感覚が苦手なんだから、終わりがないこの形式はアリなんじゃねぇの?」と。ここには微妙な言語的齟齬が存在する。完結ということはある程度の終止感が求められるが、この終わり方の場合それは一切ない。この「終わったのに終わってない」感覚が私としては最も気持ち悪く、易々と飲み込みづらいものなのだ。それならいっそ、バッドエンドでもしっかり終わってくれた方が良いと思ってしまう。それはそれで苦しむこと必定であるが。

最後によく言われることであるが、始まりがあるからこそ終わりがあるのである。ここまで読むと苦しまないためには作品に触れないことがよいように思われてしまうが、それは自身の人生にとっての損失であり、人生のパーツの喪失である。考え方を変えれば、出会いによって生じる別れも乗り越えていくことがより自分を強くするように思う。一期一会を大切にし、完結も噛みしめていくことが、我々読者に求められていることなのだと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] 井伏鱒二の「勧酒」の訳に出てくる「さよならだけが人生だ」ってのが名言だと思います。会者定離ともありますし、完結してお別れを言えたなら喜ばしい事かと。
2021/02/20 20:27 退会済み
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