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宇宙猫  作者: 電脳妖精☆ミント
1/1

#1 GO/NOGO判断、GO!



「それでは、各班、燃焼実験GO/NOGO判断。」


将来の夢は、宇宙飛行士だった。


「燃料タンク内圧力正常。」


ただ、現実はそれほど甘くなかった。

国は宇宙にそれほど興味を持たず、ましてや貧乏なこの国に有人ロケットの開発は不可能であった。


「エンジン点火用トーチ異常なし。」


だが、宇宙にかかわる仕事はなにも宇宙飛行士だけではなかった。


「試験場周囲の安全確認を完了。」


ロケットは名目上、科学的な研究開発である。

しかしロケットは戦争に使われた、もっともの戦争で使われるものであるからそれは仕方なかった。


「燃焼試験開始カウントダウンスタート、X-100。」


私はチャンスを得た。


「X-20」


決して頭がいいわけではなかった。

努力はしたが、学生時代の成績は下から数えたほうが早かった。


「X-5、エンジン点火用トーチ、点火!」


国際事情、国の政策、教授などに恵まれて今ではロケットエンジンの開発チームの一員となれた。


「3、2、1、エンジン点火!」


今日は記念すべき第一回燃焼試験である。

記念すべき今日に備え、朝食のメニューはお気に入りの卵かけご飯とみs


『ビィー!ビィー!ビィー!』


鳴り響く警報に冷静に対処する。


「異常警報!!!」


ご安全に、ヨシ!

朝方聞いた号令の言葉が脳内に響く。


「緊急停止!!!」


試験場から管制室まではかなりの距離がある。

退避せずとも、その安全性は保障されていた。


「タンク内の異常圧力上昇を感知!制御不能です!!!」


まばゆい光とともに、防弾ガラス越しに水素と酸素によって激しく爆発するエンジンが映った。


盛大に爆発した試験台は上部が吹き飛んでいた。


まるでスローモーションである、20m程の酸化剤タンク固定用の鉄骨が、管制塔にいる私の目の前に飛んできていた。


「にゃーん・・・」




--------------------


かすかに寒さを感じる。

椅子に座っている・・・いや、固定されている?

燃焼試験があって、失敗して、鉄骨が飛んできて・・・

もしかしたらけがをしたのか?ここは病院なのだろうか。

にしても椅子に固定し、室温管理も行き届いてないとは、患者にやさしくない病院である。

あの実験がどうなったか、それだけが心配であった。

幸い意識はある、現状を把握したい。

私は重い目を開くことにした。


「・・・ん」


満点の星々が目の前に広がっていた。


「ふつくしい・・・」


私はあまりの美しさに、子供の頃にあこがれていた景色に見とれた。

特段、焦ることはない。

もしかしたらここは、あの世なのかもしれない。

だが、そこが宇宙なのであればいささか安心した。

これからはこの星々とともに暮らせるのかもしれないと。


しばらく星々に見とれていると、眼下に青色の海が見えはじめた。

それがすぐに地球だと思った、子供の頃に人工衛星から撮影された地球の写真を穴が開くほど見ていたからだ。

しかし、それは地球ではない、私の知る地球とは違う。

そこに見慣れた大陸の形はなく、ツインテールのような大陸があった。

なるほど、わからん。だんだん焦ってきた。

地球(仮)から目をそらすように横を見ると、どこの言語にも属さない文字とともに様々な計器が並んでいた。

丸い淵にはガラスが埋め込まれており、形状は旧ソ連時代のスプートニクのようであった。

察するに、いや察しなくても見るからにこれは、宇宙船である。


次の瞬間、地球(仮)から反射された光がガラスに自分の顔を投影する。


「・・・・・・にゃーん」


私は宇宙猫になっていた。


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