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夜の昔ばなし

一寸法師の一寸先

作者: ノイテ

『一寸法師』



 むか〜しむかし

 あるところに、

 一寸法師という、


 化け物がいた。



 獣や妖怪にあふれた地で産まれ、小人という人の形の化け物。

 生き物の穴から内に入り、内から穴を穿ち、弾け出る化け物。

 肉を纏い血を纏い獣や妖怪を殺していく、一寸ほどの化け物。


 川に捨てられた御椀の船、

 川水でつかった御箸の櫂、

 指刺の血に汚れた針の刀


 塵ような玩具で人に化け、

 都に行き、鬼を退治した、


 鬼殺しの化け物。



 都には

 同じ形をし、

 より大きく、

 より目立つ、

 小回りも利かない、

 囮にはちょうどいい、

 そんなものが沢山あった。


 野の獣や妖怪より、鬼は大きかった。

 目鼻口耳臍、そして鬼門、穴のない鬼はいなかった。

 鬼の天敵、その名も一寸法師にとって手慣れたものあった。


 人に紛れて鬼を殺す事は…。



 だが、



 それこそが、

 鬼が仕掛けた

 天敵への鬼の罠。


 打ち出の小槌という、人の願いを叶える罠

 鬼殺しに巻き込まれた、人の願いが叶えた罠

 鬼より恐ろしき物を見た、人が心から願った罠

 人の願いにより、人間にされてしまった一寸法師。


 一匹の鬼により、

 化け物は殺され、

 人間にされた。 



 むかし、

 一寸法師という、化け物がいた。


 今の、この世に、人の世に、

 鬼の敵は、もういない。


 もう、鬼を殺せない化け物の生れの果て、

 もう、鬼には一寸の価値もない一寸法師。




(おしまい)

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