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(二)
オフィスから出て廊下を進んだ先にそれはあった。ドアの上には「会議室」とあったが、ドアの横には木の板で作られた看板が二つ掲げられていた。その一つには「潜入捜査官殺害事件捜査本部」とあり、もう一つの方には「福山家妻子殺害事件捜査本部」と書かれていた。
朝から開かれていた捜査会議では、前日発生した殺人事件の初動捜査の報告がされていた。
まずは被害者についての報告が初動捜査にあたった機動捜査隊員からあった。二人の被害者のうち一人目は福山絵美、三四歳。会社員。もう一人は福山香葉子、七歳、小学二年生。現場での検視の結果は二人とも拳銃で撃たれ、失血性ショックで死亡したと見られていた。詳しい死因は、臨海警察署の方で解剖されるとのことだった。
(続く)