スパロボ嫁
ネタに間違いがあれば報告願います。
大学生のある日、僕は彼女をアパートに招き入れた。
「お邪魔します♪」
「ど、どうぞ・・・汚いところだけど。」
彼女の名前はユリカ。隠キャで眼鏡の僕には勿体無い、黒髪ロングの目のクリッとした女の子だ。同じ学部のマドンナにダメ元で告白したのに、それが上手く行くなんて人生捨てたもんじゃない。
「うわぁ、散らかってるね。」
「ご、こめん、だってユリカが急に来たいって言うもんだから。」
「うふふ♪」
可愛いなぁ・・・こんなゴミ捨て場に天使が舞い降りたよ。
「あれっ?64があるじゃん。何やってるの?」
「えっ?あぁ・・・これね。あはは、別に大したもんじゃないよ。」
「ふーん。」
絶対ユリカはこのゲームに興味が無いと思い、僕はあえてゲーム名を言わなかった。しかし、ここで彼女が意外な一言。
「ねぇ、私。これやってみたい。」
「えっ!?スーパーロボット大戦やってみたいの!!」
「うん、なんか楽しそう♪」
今思えば、これがマズかった。
~七年後~
「ただいま。」
会社から自宅に帰ると愛妻であるユリカと、娘であるルリが出迎えてくれた。
「アキト、お帰りなさい♪」
「パパ、お帰り♪」
ちなみに僕の名前はアキトという。言うまでもなく、娘の名前は狙った。
「ごめんなさい、ママ友仲間との集まりが長引いちゃって、まだご飯出来てないの。ルリと先にお風呂入って♪」
「分かったよ。」
「早く入ろうよ♪パパ♪」
美人の奥さんと可愛い子供、もう僕は人生にこれ以上何も望まない。大満足だ。
湯船にルリと一緒に浸かっていると、彼女が歌を歌い始めた。どれどれ娘の美声に耳を傾けてみよう。
「シグマ、シグマ、ゴッドシグマ♪シグマ、シグマ、ゴッドシグマ♪がーったいだぁー♪」
・・・可愛いのは間違いないのだが、選曲がおかしい。誰が教えたかなんて明白だけどね。
「そ、その歌ママから教わったのかい。」
「うん、ゴッドシグマ♪」
やっぱりかぁ・・・子供に昭和のスーパーロボットソング教えるなってアレ程言ったのに。
「お友だちに歌ってあげたら知らないって言われたの。」
そりゃ言われるよ。知るわけ無いんだから、放映時には、その子のお父さん、お母さんも生まれちゃいないよ。
「だから私が流行らせて、今では皆も歌ってるよ♪」
流行らせちゃったよ!!あの母親にしてこの子ありだよ!!
昔、スパロボをユリカにやらせてしまったばかりに、彼女は僕の部屋に入り浸り始めて、僕そっちのけでスパロボをやり始めた。ユリカが64やってる隣で僕がリンクバトラーでレベル上げしてたのは今でも鮮明に覚えてる。
それどころか、スパロボに出てくるロボットアニメまで見始めたんだ。もうそうなると止まらなかった。
立派なスパロボオタクが誕生してしまったのさ。
そしてそれは結婚してからも変わらなかった。
僕らが風呂から上がると、まだ彼女は食材を切っていた。
理由は分かっている。
「愛の名の元に、悪しき空間を断つ、名付けて断空光牙剣!!やーってやるぜ!!」
"ダーンッ!!"
・・・これだ。いちいちスパロボの斬り技を叫んでから食材を斬るもんだから、時間が掛かって仕方ない。
「ユリカ、もっとテンポ良く早く斬ってよ。もうお腹ペコペコなんだからさ。」
「あっ、ごめーん♪じゃあ・・・一つ!!」
"タンッ"
「二つ!!」
"タンッ"
「これが最後の三つ目だぁーー!!」
"ターンッ!!"
ユリカはUXが好きだからなぁ。
それから少し時間が掛かったが、見事なカレーライスが出来上がった。
「はい、いただきます♪」
「いただきます。」
「いただきまーす♪」
僕らはイスに着席してテーブルに置かれたカレーを食べ始めた。
相変わらずユリカの料理は美味しいな。普通に作れば良いのに。
あまりに美味しいから、機嫌の良いルリが、また歌を歌い始めた。
「雷はねて♪ソードが走る♪」
だからチョイスな。うちの娘はオーラ力にでも目覚めたのか?
「コラッ、ルリ。」
おっ、珍しくユリカがルリを注意するのか?たまには母親らしいこともするんだな。
「ソードじゃなくてソォドでしょ。」
「あっ、そうかぁ♪」
そこかよ。誰が気にするんだよ。その違い。
「ルリは聖戦士で誰が好きなの?」
5歳児の娘にそんな質問する母親を初めて見た。でもどうせ、すんなり答えるんだろうな。誰だマーベルか?ジェリルか?
「ショウ・コハ・ザマ♪」
「ごふぁ!!」
思わずカレー吹いちゃったよ・・・。
「センス良い♪流石は我が娘♪そうマークゼウスはバイストン・ウェルに飛んだのです。」
UXではな!!でもアレには感動したなぁ。母親との再会シーンは涙が出たもの。
「で、アナタ。アナタは最近スパロボやってるの?スパロボ愛足りて無いんじゃないの?」
なんか上から目線で腹が立つが、俺を誰だと思っていやがる!!
「ついにアドバンスのスパロボA。一周目でドンサウザールート通ってクリアしたぜ。」
「ま、まさかそんなバカな!!」
酷く狼狽するユリカ。ふふっ、それもそうだよな?ダイモスルート通っても最終面もクリア出来てないもんな?
「ユリカさんはスパロボAクリア出来たのかなぁ?」
「お、OGではヴィンデル倒したもん。それにあの難易度でターン制限ありとか難しいもん。」
頬を膨らませて拗ねるユリカ。そんなところも可愛いなぁ♪
「セブンズウェルが使えたらなぁ。あとエスターエルハスとラトゥーニ可愛い♪」
お前それZのチートマップ兵器!!そして後ろの二人はなんで名前出したんだ?
ご飯を食べ終わり、ルリを寝かしつけて、ダブルベッドに二人で並んで寝る僕ら夫婦。けれど妻の機嫌は直らず、彼女はそっぽを向いている。
「なぁ、悪かったよ。でもお前もたまに飛影はジョウが乗らない方が良いとか言い出すことあるだろ?それで、おあいこにしようよ。」
「うーん、仕方ないなぁ♪」
おっ、ようやく機嫌直してくれた。ふぅ、説得しまくったぜ。
機嫌が直ったのは良いのだが、ユリカは突然こんなことを言い出した。
「アナタと合体したい。」
「急にアクエリオン!!なんでムラムラしてるのさ!!」
「いやぁだって、十倍、いや百倍にして返してやらぁ!!サザンクロスナイフ!!って気分になっちゃって。」
「技のチョイスよ。確かにクリティカル率高いけど、百倍返しは無理じゃね。」
「ねぇ、良いでしょ。じゃなきゃ、アキが爆発して私の気力300になるわよ。」
「意味分からないよ。何故そこで人間爆弾?」
「次のブレンチャイルドを作りたいの。次は男の子で名前はメシアにしたいの。」
「イデオンは関連の名前は絶対に付けさせないぞ!!」
「とにかく、やってみる価値はありますぜ!!」
「急にカクリコンとかオウギュストみたいな声を出すなよな。」
このあとメチャクチャ創聖合体した。