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そんな感じで段階を踏んでいき、大司教とも面会をこなした。

大司教とは和平の条件について詰めていった。


「ダグにございます」

大司教は謁見の間を訪れていた。

「おお、大司教殿。魔王軍との面会はどうじゃった?」

ジョージ13世は待ちかねていたぞ、といった感じで聞いた。

「はい、概ね、こちらの要望は通らせております」

「それは重畳」

ジョージ13世はうなずく。

「ところで、私はそろそろ引退したく考えておるのですが…」

大司教は言った。

天の御使いたちとその領導リーダーであるカイが失踪してしまった責任を取るつもりなのだ。

「またその話か、そちの責任ではないと申しておる」

ジョージ13世は眉を潜めて、手を振る。

「しかし、世の中に顔向けできませぬゆえ」

大司教は頑固だった。

しばらく押し問答してゆくと、

「どうしてもと言うなら、仕方ない」

ジョージ13世はついに折れた。

「申し訳ありませぬ」

大司教は頭を下げる。

「早い内に後継者を指名せよ」

「はい」

大司教はうなずいた。

「では、私はこれで」

「うむ、今までご苦労であった」

ジョージ13世は労いの言葉をかける。


大司教は謁見の間から去りかけたが、ふと王の方を振り返る。

「そうそう、魔王軍の大使がこう言っておりました」

「ん?」

「『愛しのヘレンちゃんによろしく』と」

「ファッ!?」

ジョージ13世は驚いた。



その後の交渉も上手くいった。

ジョージ13世の後押しがあったのだった。


和平は成り、今の所は戦がなくなっている。


オレはアスガルド王に挨拶をすることになった。

魔王としてアスガルドに赴く。


もちろん、愛人さんたちも全員ついてきている。


ヒルデ:


『カイ…じゃなかったリータ様。これ、アスガルドで買いたい物リストね』

ヒルデが紙切れをオレに渡す。

びっしりと品物名が書き込んである。

「うわ、随分とあるな…」

『だって、ムスペルヘイムじゃ手に入らない物が多いんだもの』

ヒルデはフンとそっぽを向く。



マギー&シェリル:


「カイ君…じゃなかったリータ様。私は護衛でいいの?」

マギーはオレの傍らにいる。

普段はシェリルと一緒に暗躍しているので、あまり会えないのがちょっと寂しい。

やっぱ護衛として抜擢しようかなぁ…。

「もちろん、お前以外には考えられないだろ」

オレは言った。

「久しぶりだね」

マギーはニコニコしている。

その顔を見てると、アスガルドでの日々を思い出す。

いつもオレの側にいてくれた。

「ああ、オレの側にいれくれ」

オレが言うと、

「……うん」

マギーは顔を赤らめた。


「あー、顔真っ赤」

シェリルがからかうように言った。

「うっさい」

マギーはそっぽを向いた。

「シェリル、お前も護衛として警戒してくれ」

オレは指示する。

「了解、カイ殿…じゃなかったリータ様」

シェリルは悪戯っぽく敬礼して、

「ねえねえ、マギー、リータ様と夜伽した?」

「……な、何を言ってんの!?」

あ、また収拾着かなくなるヤツだ。

マギーとシェリルは仲が良い。



クララ&パトラ


「私は近衛隊を率いればよいですか?」

「それは私が!」

クララとパトラが言い争っている。

またか……。

この2人はいつもケンカしてるなぁ。

「近衛隊はクララが。パトラはオレの秘書官」

オレが言うと、

「はい! カイ殿…じゃなかった、リータ様!」

クララはデカい声を張り上げる。

「声うるっさ、リータ様の名前を間違えるとかあり得ないわね」

パトラはブツクサ言っている。


「クララ、頼りにしてるぜ」

「……ハ、ハイ」

クララは頬を染めている。


「パトラ、いつも事務処理ありがとう」

「いえ、リータ様のお役に立てれば本望です」

パトラはふにゃふにゃになって、オレに抱きついてくる。


「あ、ずるい!」

「なによ!」

ギャーギャー。

この2人も大概仲が良いよな。



アクール:


「カイ様…じゃなかったリータ様!」

「お役目ご苦労さん」

オレはアクールに向かって言う。

アクールは有人ゴーレム隊を率いている。

こちらで開発した技術とあちらの技術を見せ合う事になっている。


「いえ、当然の事です!」

「相変わらず生真面目だな、アクールは」


「え、はあ…」

「だが、アクールはそれが良い」


「……」

オレが言うと、アクールは顔を真っ赤に染めた。


「お、アクール顔真っ赤」

マギーが様子を見に来て、言った。

「姉様! 余計なお世話!」

アクールは恥ずかしそうに走り去ろうとする。

「あ、こら、待ちなさい!」

「イヤ!」

この2人も仲が良い。



デュランデュラン:


「よ、研究中に悪いな」

オレが言うと、

「構わないよ」

デュランデュランは肩をすくめた。

「アスガルドでは工房を訪問できるし」

「だな、アラン司祭も楽しみにしてるだろうしな」

オレはうなずく。

「私はカイ殿…じゃなかった、リータ様とイチャつきたいのだが…」

デュランデュランはド直球。

アラン司祭に可能性はないようだった。

「おふぅ、ちょっと待って」

オレは後ずさったが、


「リータ様」

「どこへ行こうと?」

「逃げるの禁止」

「ダメ」

「絶対」

『呪うわよ?』

愛人さんたちが勢揃いで退路が断たれたのだった。



アスガルド。


「久しぶり、エリザベスさん」

オレは気さくに声を掛けたが、

「こら、お前カイじゃなくて、魔王の立場だろ!」

エリザベスは咎めるように言う。

相変わらず生真面目だな。

「まあ、宮殿では魔王の正体は公然の秘密みたいになってますからね」

バークレーが間延びした感じで言った。

変わらんなぁ、この2人。


アスガルド王との謁見をして、アラン司祭の工房を訪れたり、色々と旧交を温めた。


オレは引き続き、尽力することになるだろう。


そう、この世界に平和をもたらすために。


それがオレの使命だ。




学校を召喚しよう! 完


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