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魔法の箱庭  作者: クロネコ(マカロン)
2/2

2話 魔法部

さくらと出会った次の日。

俺は魔法部の部室には、行こうとせずそのまま帰ろうと思い教室から出ようとした時だった。


「あ、いたいた。部室に行くよ。」


さくらがやって来てそう言うなり、俺の腕をつかんで無理やり引っ張って部室に連れてこさせられた。

部室に、入ると昨日と違う点が1つあった。

昨日は、誰もいなかった部室に女の人がいたのだ。

さくらはそんの女の人に気がつくと挨拶をする。


「こんにちは。玉井先生。」


「やあ、佐倉。そっちの君が高崎くんだね。私は、この部活の顧問で国語教師の玉井 愛香だ。よろしく。」


「高崎 健吾です。よろしくお願います。」


「昨日、佐倉から聞いたよ。どうせ佐倉の事だから、無理やり連れてこさせられたんだろう。まぁ、仲良くしてやってくれ。」


玉井先生からは、どこかただ者じゃない威圧感を感じた。


「私は、仕事があるからこれで失礼するよ。」


玉井先生はそう言い残すと、部室から出ていった。


「玉井先生ってものすごい大魔法使いらしいよ。」


さくらが言ったその言葉に何ら不思議も思わないような威圧感だった。


※※※


「うちの部活って依頼を書いて入れる箱があるんだ。滅多に以来は入ってないんだけどなんと、今日は依頼が入ってました。ってどうしたのそんなににこにこして?」


さくらが嬉しそうな顔をしながら俺に言ってくる。

俺は別に嬉しくもなんともないのだがさくらが嬉しそうだと俺も、自然と笑っていたようだ。


「いや、何でもないよ。どうせ、俺もその依頼に付き合わされるんだよ。どんなのだよ。」


依頼はこういう内容だった。

最近、学校に侵入して生徒のキーホルダーなどを盗んでいく黒猫がいるらしい。

それを、捕まえるのが今回の依頼らしい。


「で佐倉、その猫の居場所は分かっているのか?」


「ちょっと、待ってね。今から、占いをしようと思うの。」


そう言うと、部室の棚をあさり出す。

そして、用意したのは魔法陣のようなものが書かれた古ぼけた布と宝石、そして乾燥したハーブのようなものだった。


「占いは基本の魔法なんだけど、いろんな種類があるんだ。私が今からするのは、私の独自の占いで結構当たるんだよ。」


そう言うと、机に布を広げて布の上でハーブを燃やして燃え尽きた瞬間に、形の違う宝石を5個落とす。

宝石が点々と布の別の場所にバラバラに落ちる。

俺は、黙って見ていたが疑問に思い聞いた。


「なぁ、これだけか?」


「うん。これだけだよ。魔法ってそんな大それたものじゃないんだよ。ちなみに、占いの結果では、今から体育館裏に行くと黒猫と会えるよ。」


※※※


俺達は、さくらの占いを頼りに体育館裏に来ていた。

体育館裏は、掃除が行き届いておらず雑草が生えまくっていた。


「誰だよ。掃除係は、ちゃんと掃除しろよな。」


俺が愚痴をこぼしていた瞬間だった。

2m近くある学校のフェンスを飛び越えて黒猫が俺の顔面に直撃してきたのだ。

俺は、その衝撃で後ろに倒れる。


「高崎くん、そのままその猫捕まえて!」


そんな、「急に言われても」と俺は心の中で叫びながらその猫を腕で押える。


「高崎くんそのままだよ。」


さくらはそう言うと、猫に向かって呪文を唱え出す。


「はなせー。はなすにゃ。はなせと言っとるだろ小僧。」


すると、猫が話し出したのだ。


「何だ、この猫!」


「言語共通の魔法だよ。動物との意思疎通もこなせる魔法だよ。」


「凄いな。」


「でしょう。高崎くんも、魔法が好きになってきた?」


さくらが嬉しそうにそう言う。


「我輩をおいて何を話している。お前ら魔法使いか!いきなり、捕まえて何なんだ!」


律儀に俺がはなした後も猫は待っていたようだ。


「ごめんね。あなたが、いろんなものを盗むから、皆が困っているの。」


「そうなのか、我輩は、かまってほしか…お前らの相手をしていただけなんだがな。」


この猫、今かまって欲しかったって言いかけたな…と俺は心の中で思った。


「あなた、寂しかったのね。じゃ、私の使い魔になりなさい。魔法使いは昔からカラスや猫を使い魔として使役するものだしね。1諸にいましょう。」


こうして、この事件は解決したようだ。


※※※


部室に帰ると、さくらが猫に名前をつけた。

名前は、クロになった。なんというか、そのまんまなネーミングセンスだ。

そして、クロは部室で飼うことにした。


「クロ、今日からここがあなたの家よ。」


「はいにゃ!」


なんとも単純な猫だ。

俺は、今日の部活動で決めたことがある。


「入部するよ。」


「え?なんて?」


さくらはキョトンとした顔で俺を見る。


「本当に入ってくれるの?部活に?」


「ああ、楽しかったんだよ。魔法も思ったより悪くないな。」


「嬉しい。ありがとう。改めてよろしく。」


「ああ、よろしく。」


こうして、俺は魔法部に入部したのだった。

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