九十一話 ファイナルコース
──"タウィーザ・バラド"・"ホウキレース"最後のコース、"火山エリア"。
真っ赤な灼熱の炎が燃え盛っているにも拘わらず、仄暗い空が広がっていた。
周りにある火山からは黒煙が浮かび上がっており、仄暗い空へ吸い込まれるように消える。
「よし、此処で良い。この場所ならフォンセとアスワドが来た時にその事がよく分かる筈だ」
「そう? じゃあ、此処で降ろすよ?」
そんな暑く暗い場所に二人の影──ライとキュリテが来ていた。
ライとキュリテの二人は暗くとも比較的見やすい場所に陣取り、フォンセとアスワドを待つ。
「……で、どうだった? 観客の内心は?」
そして、陣取ったライは直ぐにキュリテへ質問する。どうやらライは観客達の様子が気になっていたらしい。
「うん、ライ君の予想通りだったよ。やっぱりこのレースは……」
「そうか」
ライの言葉に応えるキュリテ。ライは納得したようにその言葉へ頷いて返した。
「じゃ、やっぱりキュリテは参加しなくても良さそうだな。これは真面目な戦闘じゃないようだし」
ライはある事を疑問に思っており、だからこそキュリテにそれを尋ねていたのだ。
そしてそれが大体確信に変わった今、キュリテは参加する必要が無いと言う。
「そうだね。じゃあ私は観客席の方に行ってライ君たちを応援しているよ」
「ああ、これは魔族の国出身の者じゃ駄目……という訳では無いけど、面白味が無い事だからな。完全な確信じゃないけど多分あっているだろうさ。外部の者たち中心の方が良いんだろうよ」
キュリテもライの言葉に賛同し、ライは推測を話す。
ライの予想は恐らくあっているので、キュリテが参加する必要性は無いのだ。
その後、キュリテは"テレポート"を使って消えた。
「まさか……。このレース自体が仕組まれた事だったとはな……確かに征服者を使って国民が楽しめるなら良さそうだな。参考になりそうだ」
ハハッ、と苦笑を浮かべるライ。
そうしてライはこの場所で、ただのんびりとフォンセとアスワドを待っていた。
*****
「……くっ……あ、暑い……」
「ど、どうですか……? この火山は我々の街、"タウィーザ・バラド"が誇る……最大級の暑さを感じる事が出来る場所です……それは私自身も……」
はぁはぁと、吐息を漏らしながら話す二人──フォンセとアスワド。
暑さによって息遣いが荒くなり、喘ぐような声が溢れる。
そんな中、アスワドは隣で飛び続けるフォンセを一瞥して話す。
「……けど……私が行っている箒の乗り方と違い、貴女は跨がっています。……『そろそろ痛くなっておりませんか』……?」
「…………!!」
アスワドの言葉に大きく反応するフォンセ。そう、箒という物はただ座れば良いという事ではない。
フォンセは脚で挟むように跨がっており、アスワドは横向きになり座るように跨がっている。
座り方によっては痛くなったりするのである。特に女性は。
それによって集中力が切れてしまった場合、その数秒で抜かされてしまう可能性あるのだ。
「……な、何を言っている。……痛みだと? 何か痛い事があるのか? ……だが、確かに少し間違えれば大火傷だな……」
フォンセは誤魔化すように言い、そのまま加速してアスワドから離れる。
そして暑い火山という事もあり、息の吸い方を間違えれば喉を火傷する可能性もある。二人はそのリスクを背負って箒に乗っているのだ。
「ふふふ……やっぱり痛みが来ていますね……。それは熱によって喉へとか、それとも……。けど、レースはこのコースで終わり。私も油断できません!」
そんなフォンセを追い掛けるべくアスワドは箒を加速させる。
熱を抜け、風圧で炎を消し飛ばしてゴールへ進む。
「……」
そして、それを眺める者が一人居た。
「さて……妨害工作を実行するとしますかァ……」
その者──ナールは片手に魔力を纏い、四大エレメントのうちの一つ、炎を創り出した。
その炎はどんどん巨大化し、一つの球体のような岩程の大きさとなる。
「こんな暑苦しいところで炎を使うってのもな……まあ良いかァ……!!」
そして、ナールはその炎を遠方にいるであろうフォンセ目掛けて放った。
その炎球は真っ直ぐ進み、数個の山を貫通して突き進む。
「いや、駄目だろ」
そして山を破壊しながら進んでいた炎は──ナールの前に現れたライの拳によって砕かれた。
「そうか? 元々個々の戦闘じゃなくてチーム戦だろ?」
「いやいや、お前らの目的はただのレースじゃねえだろ」
ナールは炎を砕かれた事に驚かず、ライの言葉に返すように話をし、ライはナールの思考を見透かしたように自分の推測を話す。
「……。気付いていたのか?」
それを聞いたナールは口角を吊り上げ、笑みを浮かべながらライへ問うように言う。
それを聞いたライは言葉を続けてナールに返す。
「ああ。……まあ、それは悪魔で推測の一つだがな。……そもそも、街を懸けた戦いがこのレースってのもおかしな話だろ? 確かに自分達に有利なモノなんだろうが……俺は断っても良いって言ったし、アンタらも俺たちには絶対勝てないと理解していた筈だ」
「…………。ああ、そうだな」
ライは誇る事無く自分たちがアスワド達"タウィーザ・バラド"メンバーよりも強いと言う。
ナールも一瞬言い返そうとしたが、それは紛れもない事実の為言葉を飲み込む。
「なのにアンタらはこのレースで俺たちの挑戦を受けた。……つまりこれが意味する事は……『このレースで街の活気を上げようと言う魂胆』……だろ? この街はベヒモス騒動によって少なからず死人も出た。その為か一昨日まで盛り上がっていたこの街がお通夜状態。……まあ、当たらずも遠からず。……要するに、この街の名物レースで外からやって来た侵略者と戦い、勝っても負けてもこの街の人々に勇気を与える事が目的だったって事だ」
「……ほう? よくもまあ、そこまで詳しく推測出来るな……」
クククと小さく笑いながら、そんなライの推測を聞くナール。
この様子を見る限り、どうやらとライの推測は当たっていたのだろう。
「正解だ。俺たちの本当の目的はこの街の人々を楽しませる事。その為なら街が征服されても構わないと思っている。まあ、街が征服されて住人が悲しむなら全力で阻止するが……住人の殆どの者たちはお前達が"悪"とは思っていねェよ。謂わばベヒモスからこの街を救ってくれた英雄だからな」
そう、このレースはベヒモス騒動で意気消沈している住人達を楽しませる為の催しモノ。だからこそ侵略者側ではライ、レイ、エマ、フォンセ、リヤンのみが参加できていれば観客は楽しめるのである。
それを聞き終えたライはフッと笑い、最後に質問する。
「街の心配よりも街で生活する住人優先か?」
「住人の喜ぶ顔以外に何が要る? 幹部制度ってのは支配者のように自由気儘に過ごすのではなく、住人を護る為に行われている事だろ? 住人が居なけりゃ街は成り立たねェ。住人を護るのが幹部とその側近の役目だ。住人を楽しませるのもな?」
これでライの質問は終わり、"タウィーザ・バラド"幹部とその側近の思考をある程度理解した。
「……そうか。まあ、それを聞いたからといっても手加減はしない。俺の目的を果たす為、俺は征服する……!」
「たりめーだ。手加減なんかしたら住人が楽しめ無ェだろ? まあ、俺たちの戦いは映って無ェけどな。それでも様子を見りゃどれ程激しい戦いが起こっているか分かる筈だし、やっぱ手加減は無しだ」
それだけ言い終え、ライとナールは互いに構える。
「まあ……俺は本気を出せないけどな……」
ライはナールに聞こえない程の声音で言い、ナールの元に駆け出した。
「行くぞ……!!」
「来やがれェ!!」
こうして、"ホウキレース"の妨害など頭に無いライとナールの戦いが始まった。
*****
「"風加速"!」
「私も負けません……!」
フォンセは風を放出し、火山の熱と炎を打ち破りながら加速する。
その後ろに着いてくるのはアスワド。こちらの二人はまるで"火山エリア"の熱を意に介していない様子だった。
「"炎の拘束"」
そして背後から着いてくるアスワドに対し、フォンセは炎で創られた紐状のモノを放つ。
これを使って数秒でも拘束出来ればラストを有利に進めるからである。
「炎は水で消えます! "水"!!」
「ふふ……やっぱりそうか……」
その紐状の炎に水魔法をぶつけ、炎を消し去るアスワド。
フォンセも防がれると事は大体理解していた為、期待外れじゃない事にフッと笑う。
「しかし、魔法を放つ事には数秒掛かった筈だ。今のうちに距離を取る!」
刹那、大気を揺らし、フォンセは熱によって現れる陽炎を抜け出した。
「させません!」
その後を着け、距離を離させ無いために加速するアスワド。
二人は箒を巧みに操り、火山を熱を、岩や木を潜り抜けて突き進んで行く。
「私もやり返します! "土の壁"」
アスワドは魔法を使い、火山の土から壁を造り出してフォンセを囲み込む。
「そんな物……! "爆発"!!」
「……ッ、流石です……!」
その瞬間、フォンセは造り出された土の壁を爆破し、その穴から抜け出した。
アスワドは称賛の声を上げ、再びフォンセの後を追う。
「けど、私も負けられないんです!」
「それはお互い様だ!」
箒の速度を上げて"火山エリア"を更に進む二人。
その衝撃によってこのエリアの地面が抉れているが……まあ気にする事も無いだろう。
「"炎"!!」
「"炎"!!」
そして爆発音が辺り全体に響き渡り、二つの炎で一つの火山が消え去る。
煙と炎で視界が悪いが、フォンセとアスワドは構わず進んで行き、ゴールを目指す二人だった。
*****
「"炎の竜巻"!!」
炎によって空中に留まっているナールは渦を巻く炎を放出し、その轟炎によって火山が燃える。
周りを燃やしながら進む炎は──
「効くかァ!」
──ライの拳によって容易く消し飛ばされた。
炎を消し飛ばしたライはそのまま大地を踏み砕き、音速を超越した速度でナールへ近付く。
「ハッ、空を飛べなくとも攻撃方法はあるって事か……!」
ナールはそれを避け──
「うぐはッ……!!」
──切る事は出来ず、火山を幾重にも突き破って吹き飛んだ。
そもそも音速を避けるというのは難しい事であり、それを避ける事が出来た今までの幹部や他の者達はやはり強かったのだ。
「イテェ……やっぱ音速? かどうかは分からねェが……この速度を避けるのは無理がありそうだ……」
しかし無事だった為、崩れた火山の残骸から頭を掻きながら起き上がるナール。
「まあ、俺もアンタを倒さなくちゃ駄目っぽいからな。悪く思わないでくれ」
「ああ……俺もだ……! "炎の空間"……!!」
その刹那、ナールが炎を大きく広げ、灼熱の空間を創り出す。
その空間にはライとナールのみがおり、周りにあった火山は赤い炎によって消えた。
「これは……。……成る程な……速度や力では勝てないから……自分が戦いやすい環境を創り上げて優位に立たせよう。……という魂胆か……」
「ああ、やっぱり気付いたか。お前の言うようにパワーもスピードも俺はお前以下だ。だからこそ俺の技を工夫して戦うのさ」
その瞬間、ナールの姿が炎に囲まれて消える。
自分の魔術である為、自分がダメージを負うという事は無い。
なので炎にその身を隠し、ライの死角から攻撃を当てようというのだろう。
「この空間はでは魔力もそれ程消費しねェからな……! この全てを躱せるかァ?」
ナールの声と共に、炎の空間にある壁から槍状の炎が放たれる。
その炎はパッと見るだけで数十個に上り、その全てがライに向かって直進する。
「躱す必要は無いだろ」
そしてライは、その炎の槍を全て避けずに砕いた。
炎が砕けるというのはおかしい表現だが、砕いたとしか言いようがないのだ。
「躱す必要はない……かァ! ククク……そいつァ一本取られたぜ!」
その槍を防がれたナールは高笑いを浮かべて話す。
「じゃあ、疲れるまで放つかァ!!」
そして笑いながらそう言い、空間の壁から炎を放出した。
それは槍のみならず、矢のような物から光線のような物まで多種多様だ。
「……さて、どうするか……」
その全てをヒョイヒョイと躱しながらどうするべきか考えるライ。
幾らナールの攻撃が効かなかろうと、この空間があったのでは中々に動き出し難いのだ。
「ハッ、この空間をどうにか出来れば良いんじゃねェの?」
鼻で笑いながらライへ話すナール。それを聞き、ライは一つの事を思い付く。
「成る程。……じゃあ……『炎を消すか』」
「…………は?」
素っ頓狂な声を上げるナール。そんな言葉を流し、ライは──
「ほーら……よっと……!!」
──片手にだけ魔王を纏い、『炎の空間を消し飛ばした』。
「な……!?」
思わず声が漏れるナール。冗談で言ったつもりだったのだろうが、まさか本当に空間を消し飛ばすとは思っていなかったのだろう。
それもその筈、ナールにしてはかなりの力を込めて創った空間を破壊されたのだ。その精神的なダメージは中々だろう。
「……ハッ、本当に規格外の力だな……まあ、ベヒモスを殴り飛ばしたり、他の街を征服したって事は他の幹部達を倒したって事だし……ある程度は予想していたが……俺なんかが足止めすら出来るのか?」
「まあそう悲観的になるなよ。アンタは今までに俺が戦った奴らとも結構良い勝負出来ると思うぜ」
炎の空間を砕かれて座り込むナール。そんなナールに向け、ライは励ますように話した。
「そうかい。じゃあ、俺が出せる最大の技でも放ってみるかァ……。これが駄目ならもう勝てねェな」
ナールは立ち上がり、魔力を溜める。
そんなナールに向け、ライも話す。
「そうかい、ならさっさと決めてくれ。もうすぐレースも終わるし……どっちが勝ったとしてもゴールする瞬間は見てみたいものだろ?」
それは終了の瞬間を見てみたいとの事。
"ホウキレース"自体が初めてのライは最後まで観察したいのだ。
それを聞いたナールはクッと喉を鳴らして言葉を続ける。
「ハッ、分ーったよ。……じゃあ……行くぜ?
ゆっくりとライを一瞥したナール。ナールは片手を天に突き上げ、自分の瞳をライに向ける──
「"炎地獄"……!!」
──刹那、先程の空間とは比にならない程の炎が辺り一体に広がった。
ナールが繰り出した紅蓮の炎は火山すらをも焼き尽くし、"火山エリア"を大火事にする。
その光景は、まさしく"地獄"。
死して尚、血肉に魂すら焼かれ続ける。過酷な環境を彷彿とさせていた。
「ハハ、これはスゴいな……。確かに最大の技ってのも頷ける。……だからこそ防ぎ甲斐がある……。まあ、楽しんでいちゃいられないけどな……!」
そして、ライはナールの放った地獄の炎に向けて構え、大地に足を埋め込み──
「オラァ!!」
──『殴り付けた』。
魔王を纏っている為、魔術で創られた炎は殴るのが一番手っ取り早いからである。
殴られた炎はその衝撃によって大きく揺らぐ。
*****
「……! 何か……大きな力と力がぶつかるような……」
ゴール付近に迫っていたフォンセとアスワド。
アスワドは何か大きな力を感じていた。
そんなアスワドに向け、フォンセはフッと笑って話す。
「ふふ……。恐らくライとお前の側近が放った技同士が激突したんだろ……。驚く事は無いさ。ライが放つ衝撃はとてつもないからな……」
「……あら? それならナールさんだって中々の力をお持ちしておりますよ……? それはもう地獄のような……」
そして、フォンセの言葉に負けじと返すアスワド。
この二人は自分たちの仲間を信頼している為、張り合いたくなったのだろう。
「まあそれはそれとて……ライが勝つだろうから私も負けていられないな……!」
「私だって……! 確かに純粋な力比べではナールさんに勝ち目は無いでしょうが、代わりに私が勝利します!」
お互いの男を応援するという、聞く者が聞けば勘違いしそうなシチュエーション。
レースが終わっていくにつれて、女の戦いも始まっていたのだった。
*****
──その場には、何も残っていなかった。
辺りに広がっているのは消し炭と化した、元々火山だった山である。
そんな殺風景な場所で立っているのは此方の二人──
「……さあ、防ぎ切ったぜ……? 結構熱くて少し火傷しちまったが……」
「……成る程な……。確かにこりゃ勝てねェわ。ハッ、お前は一体何なんだよ」
──ライとナールである。
地獄の炎を消したにも拘わらず、軽い火傷以外の怪我を負っていないライに対しナールは自嘲するように笑っていた。
「何者か……ねえ。何処にでも居た普通の魔族……じゃ駄目か?」
ナールの言葉にライは苦笑を浮かべて返す。
ライも元々は特別な力を持たない普通の少年だった。しかしある日を境に魔王(元)が宿った。
その経緯を話すのは少々長話となる為、ライははぐらかすように言ったのだ。
「何処にでも……『居た』? 何で過去形かは知らねェが……。それじゃちょっと説明不足だろ。……まあ、答えにくいってなら無理強いはしねェよ」
言いたくないのなら話す必要は無いと言うナール。
こういった性格から考えればナールは、恐らく話せば分かる者だろう。
そんなナールを見やり、ライは薄く笑って言葉を続ける。
「……まあ、アンタのこの攻撃を防げたら俺の勝ちで良いって事だし、取り敢えずは俺の勝利だな?」
「ああ、それで良いよ。……まあ、防げたら勝ち目が無いって言ったんだが……要するに勝てないって事は同じだからな。あとはお互いのレーサーを応援するとすっかァ……」
ライが話したのは自分の勝利にするという事。
事実ナールには勝ち目が無いので了承する。
こうしてライとナールはライが勝負を制したのだった。
*****
「「見えた!!」」
フォンセとアスワドは同時に声を出した。遠方にゴールが見えたのだ。
二人は更に速度を上げ、遠方から広がっている煙を消し飛ばしてゴールを目指す。
「これで……!」
「終わりです……!」
空気を突き抜け、大気を揺らし、瞬く間にゴールに近付く。
横向きで座っていたアスワドも身体を前のめりに倒し、空気抵抗を少なくする体勢に入っていた。
空気圧に押され、息をするのも大変な状態。
しかし残りは純粋な距離のみ。その距離をどれ程速く進めるかが勝負の鍵である。
「はあああァァァァ……!!」
「やあああァァァァ……!!」
フォンセとアスワドの二人は魔法・魔術を使わず、己の魔力のみを箒に込めている。
そして次の瞬間、フォンセとアスワドは"火山エリア"を抜け出した。
*****
ワアアアアァァァァァッッ!!!
観客席の大樹へモニターのように映し出された映像。
それを見ていた観客は大きな声援を上げる。
それを確認し、審判のような者は高らかに宣言した。
《ゴオオオォォォォォルッッッ!!! "ホウキレース"の結果、勝利したのはァ……──フォンセ選手だァァァ!!!》
そして今この瞬間、"タウィーザ・バラド"・"ホウキレース"は、フォンセの勝利が確定した。