八百六十四話 日の本の街・終幕
──"ヒノモト・アマテラスの城"。
夜が明け、睡眠も取らずにライたちは"ヒノモト"の城に集まっていた。
呼ばれた場所は畳の敷き詰められた貴賓室。身体を痛めないように小さな布団、座布団が敷かれており喉を潤す御茶も置かれていた。
暴走していた妖怪達も既に拘束済み。主力を失い、統率の執れなくなった妖怪達を捕らえるのは容易だった。
しかし妖怪達の数からして牢の数が足らず、主力以外は何処にも閉じ込めず拘束だけをしているという状態である。
「さて、先ずは一晩の戦い。お疲れ様でした。一睡もしていないので集中出来るか分かりませんが、この話だけはしておきたいので宜しくお願い致します」
城に集まったライたちに向け、先ずはアマテラスが第一声を発した。
一睡もしていない状態での話し合いは非効率的だが、なるべく早いうちに終わらせておきたい心情なのだろう。なのでライたちは文句を言わずアマテラスの言葉に耳を貸していた。
「「……。……ZZZ」」
「……。…………」
約三名を除いて。
モバーレズとスサノオは既に座ったまま眠っており、リヤンはウトウトと頷くように頭を揺らしていた。
しかしそれも仕方の無い事だろう。一晩中起きていたという理由もあるが、畳の敷き詰められたこの貴賓室は井草の心地好い匂いが鼻腔を擽る。畳が熱を逃がすので夏にしては涼しく、静かで落ち着く穏やかな空間。眠くなるのも頷ける場所だ。
「……えーと、やっぱり少しだけ休みましょうか? 私たちの習慣的に忙しい時は睡眠時間を削るのですが……流石にこれでは話し合いが進みませんよね……」
「ハハ……ふわぁ……。確かにそうかもな。俺も眠いや……」
「この空間落ち着くもんねぇ……。私も眠い……」
「そうだな……。確かに眠い……戦闘後だからな……魔力はあまり使っていないが……それとこれとは別だ……」
「ふふ、確かにその様だな。ライたちもボーッとしてしまっている」
アマテラスの言葉に返答するライ、レイ、エマ、フォンセの四人。
レイとフォンセはライの肩に凭れるよう倒れ、とろんとした眠そうな目付きで呟く。普段のレイならライの肩に凭れ掛かると飛び退くように離れるが、その気力も無い程に眠いのだろう。
ヴァンパイアのエマは平気そうだが、ライたちは全員が限界のようである。
『確かに大変かもな。一応神仏の俺は平気だが、スサノオは違うのか。お前はどうだ? ツクヨミ』
「そうだな……行動する分には問題無いが、眠れと言われれば即座に眠れそうではある」
「それって眠いって事じゃありませんか……ふわ……斯く言う私も眠いのですけど……」
ライたちの一方で孫悟空とツクヨミ。そしてユニコーンから人化したユニコ。三人のうち孫悟空は平気そうだが、ユニコとツクヨミは眠そうな面持ちだった。
元より夜を司るツクヨミは朝に弱いのかもしれない。ユニコは一晩中戦った疲労による眠気だろう。
「一部を除いて全滅ですね。まあ、一晩とは思えない程に長かった激戦の後ですから当然ですか。……では、このお城にも幾つかお部屋が余っております。眠るにしても何をするにしても、各自各々で自由に行動してください。話し合いは正午に行いましょう」
「「「さんせーい……」」」
「ふふ……」
ライ、レイ、フォンセの三人がアマテラスの言葉に返し、エマは小さく笑う。
このままでは話し合いに集中出来ないのは目に見えている。何をするにしても休まなくては逆に悪化するのは常識だ。如何なる時でも休息は重要である。
なので一先ずライたちはアマテラスに言われたように割り当てられた部屋に向かい、昼まで休息を取る事にするのだった。
*****
「おはよう……レイ、エマ、フォンセ、リヤン。いや、おそよう……? こんにちはか……?」
「おはよー……ライ、フォンセ、エマ、リヤン……」
「ふふ、ああ。おはよう。ライ、レイ、フォンセ、リヤン。それと、挨拶はどれでも構わないさ」
「挨拶……ご苦労……ライ、レイ、エマ、リヤン……」
「……。おはよう……ライ……レイ……エマ……フォンセ……」
夜明けから数時間後、正午近くの時間にライたち五人は和風の寝室にて目が覚めた。
此処ではベッドではなく畳の上に布団を敷いた作り。一見すれば眠りにくいと思われるかもしれないが、一度寝てみれば熟睡だった。
夜明け直後に貴賓室に集まったので休息の時間は六、七時間程。睡眠時間で考えると少な過ぎず多過ぎないと言った丁度良い時間帯だろう。基本的にレム睡眠とノンレム睡眠の時間が九〇分程なので六、七時間眠れたかもしれないのなら十分だった。
「……。……うん。ある程度は疲れも取れたな。まだもう少し寝ていたいけど、そうも言っていられないや」
「うーん……! うん、そうだね。寝覚めは上々かな」
「眠気は取れたかもな。景色がはっきりと見えている」
「うん……」
それから数十分後、ライたちは完全に目を覚まして伸びなど各々の行動をする。
布団などを畳み終え、準備は完了。後は正午になるのを待つだけだ。
そして待機している時、襖の向こう側から物音が聞こえ、襖を開けて従者が頭を下げて言葉を発した。
「ライ様。レイ様。エマ様。フォンセ様。リヤン様。こんにちは。御食事を御用意させて頂きました。まだ昼食前ですが昨晩から飲まず食わずで空腹の筈。待ち時間の間どうぞ御召し上がり下さい」
それは食事。朝食か昼食か分からないが、確かに言われた通り、考えてみればライたちは昨晩から何も食べていない。ライたちには確かな空腹感があった。
それならばと、ライたちは食事を受け取った。
「有り難う御座います。確かに何も食べていませんでしたね。遠慮無く頂きます」
「いえ、お気遣い無く。アマテラス様の指示ですので。どうぞごゆっくり」
最後に丁寧に頭を下げ、従者は下がる。そしてライたちはテーブルの用意をし、運ばれた食事をテーブルの上に並べた。
その内容はこの街の主食である白米を始めとし、海鮮物が多かった。
浄化された新鮮な生魚を切り分けた物に海老や野菜を油で揚げた物。お吸い物と言われる汁物に煮魚。新鮮なサラダなどもあり、栄養バランスも色合いも整っている見た目も美しい食事が並べられていた。
フォークやナイフではなく箸という食器を扱い、ライたちは食事を摂る。
「旨いな。これ。あっさりした味付けなのに確かな旨味がある」
「うん。さっぱりしていて美味しいね」
「ああ。より味わいが深く旨味を感じられる味だ」
「うん……」
ライ、レイ、フォンセ、リヤンの四人は味わって食する。半日振りの食事は美味であり、空腹が満たされていくのが実感出来た。
食事を始めとし、和室にて暫し寛ぐライたち五人。次第に時が経ち、正午に差し掛かった。
「そろそろ時間か。腹拵えも済んだし今朝の……いつもの貴賓室に向かうか」
「うん。ゆっくり休憩も出来たから、疲れもある程度は無くなったね」
「ああ。……ふふ。と言っても私は種族的に元々あまり疲れていないがな」
「良いものだな。まあ、私たちも傷自体は少ないんだけどな」
「……うん……」
それと同時に部屋から出、渡り廊下を進むライたち五人。集合場所は貴賓室だと分かっているので特に寄り道もせずそのまま向かうのだった。
*****
「えー……それでは、今一度改めてまして話し合いを行いましょう」
正午丁度、ライ、レイ、エマ、フォンセ、リヤンの五人とモバーレズ、孫悟空、ユニコの三人。そしてアマテラス、ツクヨミ、スサノオの三人が城の貴賓室に再び集った。
内容は前述通り話し合い。百鬼夜行や山本五郎左衛門達一行。そしてライの力についてが大凡の題材である。
「先ず、優先すべきは百鬼夜行と山本五郎左衛門一派の処置についてですね。捕らえたまま朝から見張っておりましたけど、特に行動は起こしておりません」
「処置か。この街に攻めていたんだし、アマテラスたちが決めれば良いんじゃないか?」
先ず挙げられたのはぬらりひょん達の事について。しかしそれは当然だろう。本筋とも言える話題。ライの力についてはほぼおまけみたいなものだった。
それに対し、あくまでこの街の主神であるアマテラスが行動を起こせば良いと指摘するライだが、アマテラスは頭を振って言葉を続ける。
「勿論、私たちも協力はします。大まかな行動に関しては主神として当然ですからね。……けれど、やはり因縁深そうなアナタ方を差し置いて勝手に結論付けるのは如何なものかと判断した次第です」
「別に気にしなくても良いと思うけどな」
「いいえ。そう言う訳にはいきませんよ」
主神として、ある程度の行動はするらしいがライたちとぬらりひょん達は何らかの関係性がある。だからこそアマテラスは自分の行う範囲を定めようとしているのだろう。
ライは別に気にしなくても良いと告げるが、本人が言うようにそう言う訳にもいかないようだ。
「他の意見を聞かず、街が全てを決めたら独裁政治になってしまいます。そう言った国家もありますが、基本的に自由な意見を言えるような街にしたいのです」
「いや……それなら別にいいって言う俺の意見を聞いてくれ……」
恐怖政治や独裁政治を行えば街は衰退する。なので自由な意見を言えるように心掛けているらしいが、それならそれで別に構わないという意見を取り入れてくれとライはツッコミを入れる。
何はともあれ、戦争を仕掛けたのは百鬼夜行と山本五郎左衛門達。ライたちも警戒はしており、モバーレズたちも百鬼夜行を探していたが行動に移った事実は変わらない。なので立場的には百鬼夜行が賊軍という事になるだろう。
それならばとライは一つ提案をした。
「じゃ、取り敢えずぬらりひょん達の元に行って考えないか? 目的や他の組織との繋がり。そして百鬼夜行の今後とか、色々と聞く事はありそうだしそれを聞いた後で処置を考えるのはどうだ?」
それは、一先ずぬらりひょんに話を伺うとの事。
ライの言った事柄は、ライたちは全て理解している事。目的も組織との繋がりも既に知っているのだ。しかし百鬼夜行の存亡や会話次第で処置が決めやすくなるかもしれないと判断した結果の提案だった。
アマテラスは「成る程」と頷き、言葉を発する。
「そうですね。行ってみるのも良いかもしれません。まあ、私も見張っていた時に話は聞こうとしたのですけど、答えてくれませんでしたからね。ライさんたちなら話を聞けるかもしれません」
アマテラスはぬらりひょん達を朝から見張っていたらしいが、その時は話を聞けなかったらしい。
しかしライたちが居れば話も聞ける可能性が高い。なので行こうという方向で話が進んでいた──その直後。
「ほ、報告ーッ! 捕らえていたぬらりひょん達妖怪が逃走しました!」
「……!」
ぬらりひょん達が抜け出したという報告がライたちの耳に入った。
一同はその言葉に反応を示し、即座に牢屋へ向けて走り出す。
捕らえた筈の妖怪達。まだ波乱の予感が広がった。……のかもしれない。
*****
「フム、便利で御座るな。ぬらりひょん。主の持つその力。拙者達も容易に抜け出せた」
『他の妖怪達や立場的に上だった河童や魃はバラバラに何処かへ消えたがな。しかし、どういうつもりだ? 私達を逃がすなんてな。既に術は解けた。何の縁も所縁も無い私達を逃がしても利益は無いだろう』
"ヒノモト"にある建物の上にて、牢から抜け出したぬらりひょん、山本五郎左衛門、大天狗、今は玉藻の前である九尾の狐。酒呑童子が風を感じていた。
そんな中、山本五郎左衛門と大天狗がぬらりひょんに向けて訊ねる。どうやらぬらりひょんは自分の少ない力を用いて兵士を騙し、そのまま他の妖怪達諸とも抜け出したらしいが、二人は疑問を思い浮かべているような面持ちだった。それもそうだろう。何故なら既に何の繋がりも無い存在達。助ける理由が無い。
対し、依然として変わらぬ佇まいでぬらりひょんは質問に答える。
「なに。ただの気紛れじゃ。此処で出会ったのも何かの縁。一期一会とも言うじゃろう。山本五郎左衛門にまだ儂を知らなかった頃の大天狗、玉藻の前、酒呑童子よ。このまま捕まっていても退屈じゃろうからな。儂は元より世話になった者達には何らかの恩恵を与える存在じゃ。今回の事が恩恵と思ってくれても構わぬ」
「世話になった。……ふむ、大天狗達は分かるが、拙者もか。何か世話をした記憶は無いな」
「ホッホッ。じゃから言ったじゃろう。基本的には気紛れだとの。何か理由が欲しければ世話の礼とでも思っていてくれという事じゃ。心当たりが無くともの」
ぬらりひょんは他人の家に上がり込み、勝手に食事をして帰ると謂われている妖怪。しかしその礼に食べ物や金銭を置いてくれるとも謂われている。操られてはいたが協力していた大天狗達は捨て置き、その心当たりの無い山本五郎左衛門は訝しげな表情だったが、あくまで理由が欲しければの場合。深くは考えなくてもいいという事だろう。
「フム、そうで御座るか。まあ腑には落ちないが考えなくても良さそうだ」
「そう言う事にしておくといい」
これにて話は終わる。それと同時にぬらりひょんは建物から飛び降り、歩みを進めた。
「では、儂はそろそろお暇しよう。主らも早いところ去るのが良いじゃろう。此処は儂らの故郷でもあるが、敵地でもあるからの」
それだけ告げ、建物の日陰から日陰へと移動して遠退く。それを見やり、大天狗と酒呑童子、九尾。そして山本五郎左衛門も飛び降りてぬらりひょんの後に続いた。
『それなら私も同行しよう。どうせ行く当てもないからな』
『ウム。今回は良い退屈凌ぎになった。このまま復讐する事も考えたが、主らに着いて行き力を蓄えようぞ』
『ああ。実際、我らの力は以前よりも高まっていた。いや、ぬらりひょんにとっての以前はつい先日だが、主の術に掛かる前の話だ。相応の鍛練も出来るという事だからな』
『そうだな。何れは拙者も百鬼夜行以上の組織を作る予定で御座るが、また一から仲間を集めるのも面倒。逆に主を手中に収め、魔王として新たな一歩を踏み出そうぞ』
曰く、操られている状態ではなく、部下という訳でもなく対等な立場でぬらりひょんに同行するとの事。
理由は様々だが、根本的に共通している部分は力を付ける事。故に四人はぬらりひょんと共に行こうとしているようだ。そんな四人の様子を見やり、フッと笑って一言。
「好きにすると良い。儂も寝首を掻かれんように気を付ける」
「そうで御座るな。何れは奪う百鬼夜行。主を手中に収めるか、そのうち総大将の首も貰い受けよう」
『ああ。退屈になったら即座に出て行くがな』
『そう、ほんの退屈凌ぎ。戯れじゃ』
『そうだな』
それだけ話、五人は昼間の影に消え去る。辺りにはそこにぬらりひょん達が居たという気配すら残さず、静寂が飲み込んだ。
神出鬼没の百鬼夜行。数は十分の一以下と成り果てたが、今もこの世界の何処かに現れているのかもしれない。
*****
──"ヒノモト・城内・牢屋"。
「……。本当に逃げられてしまっていますね……」
「ああ。蛻けの殻だ。拘束を解いた……いや、兵士達を操って逃げ出したのかもな」
ライたちが牢屋に辿り着いた時、既にぬらりひょん達の姿は無かった。まるで最初から何も居なかったかのような閑散とした空気が立ち込めていた。
「けど、一斉に行動を開始したって雰囲気でもないな。まあ、俺たちはその場には居なかったんだけど騒動があった様子も無い」
ライの予想はぬらりひょんが能力を用いて他の妖怪達を含めて消え去ったというもの。消え去ったというのは比喩にあらず、本当に消え去ったのだろう。
だからこそ荒れておらず、争いがあった様子も無い。最初から何事も無い雰囲気なのである。
逃げられたのは失態かもしれないが、ライは周りを見渡し、言葉を続ける。
「……けどまあ、もう問題無いんじゃないか? 根拠は無いけど、何となく百鬼夜行による戦争規模の戦いは起こらない気がするな」
「根拠は無いのですか……。しかし、何となく貴方がそう言うのならそんな気もしてきますね。そうである事を願います。百鬼夜行のみならず、大きな戦争は終わる事を」
根拠は無い。しかし何となく百鬼夜行は戦争を起こさない。その様な感覚というライの言葉。アマテラスはそうである事を願い、この場は収まった。
その後ライたちは城に戻り、そこから更に進んで"ヒノモト"の出入口付近へと到達した。
「さて、じゃあそろそろ俺たちも旅の続きに戻るか。ちょっとした寄り道だったけど、良い街だったよ"ヒノモト"もな」
「ふふ、そう言って貰えると幸いです。またお越し下さい。手厚くおもてなししますよ♪」
「ハハ。それは良いな。じゃ、また今度来れたら今度はもう少しゆっくりして行くよ」
今回は侵略がメインではないので、アマテラスたちも見送ってくれた。考えてみれば人間の国では魔族の国のような同意の元の侵略ではないので見送られる事は中々無い。この様なものも悪くない体験である。因みにモバーレズ、孫悟空、ユニコの三人は今回の情報を纏める為に今日一日は"ヒノモト"に留まるらしい。
そんなアマテラスの言葉にライは返し、ライたち五人は"ヒノモト"の街を後にする。
「じゃ、此処は結構遠いから……レイ、エマ、フォンセ、リヤン。準備はいいか?」
「え?」
「「む?」」
「……?」
そしてアマテラスたちの前で四人を抱き寄せ、足に力を込める。それと同時に大地を踏み砕き、衝撃波を纏って第三宇宙速度で加速した。
「えええぇぇぇ……!?」
「まさか……!」
「またこれか……!」
「……っ」
四人の感想のみが小さく聞こえ、一瞬にして遠退くように掻き消えた。
その光景を見たアマテラスたちはポカンと口を開けており、モバーレズ、孫悟空、ユニコの三人は苦笑を浮かべていた。
「い、行ってしまいましたね……」
「ハハ……面白えじゃねえか……」
「フム、彼女たちも苦労しているみたいだな」
『ハッ、相変わらずだな』
「ハッハ。まあ、先を急いでいるンだろうな」
「大変ですね……リヤンさんたちも……」
ライたちが去り、辺りは静まる。しかしアマテラスたちとモバーレズたちも即座に行動へ移り、城の方に戻った。
「……。あ、ライさんの力について聞くのを忘れていました。……まあそれも一興ですね」
その道中、アマテラスはもう一つの議題を思い出したが、もう既にライたちは居ない。なので仕方無いと割り切った。
何はともあれ、これにて人間の国"ヒノモト"にて起こった百鬼夜行の騒動が終幕を迎える。当の百鬼夜行は逃がしてしまったが、妖怪達の数からしても後数十年は行動を起こさない事だろう。
何はともあれ、ライたちにとっては世界征服に関係性の無い事柄。しかし百鬼夜行との決着を付けられた今、残る標的はヴァイス達と人間の国の他の主力達くらいだろう。
終盤に差し掛かった世界征服の旅。目的を遂行し、ライの目的とする理想郷を創造する為に、その旅を続けるのだった。