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元・魔王と行く異世界征服旅  作者: 天空海濶
第一章 魔王の力
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三話 和解。そして敵襲

 話を聞く体制に入るため、女性は服を着ると言った。

 なので向こうに行っててくれと言われたライは、取り敢えず言うことを聞いて座っていた。

 そして女性を待ってて暇な中、ライは魔王(元)に気になった事を尋ねる。


(で、何か知っているんだろ? 何なんだよあの血気盛んな女性は?)


【……ああ、此処に来た時から気配を感じ、もしやとは思っていたが……しかし『数千年も前』だ。はっきりと覚えているわけではないな】


(数千年前……!? つまり……それは……)


 魔王(元)の言葉にあることが引っ掛かるライ。魔王(元)はその女性の気配を知っているらしく、数千年前に会った事があるらしい。

 その言葉が意味する事、ライがそれを言おうとした時、背後から声がする。


「もういいぞ。それで、話とはなんだ?」


 早くも着替え終えたのか、女性が草影から現れた。

 髪は動きやすいようにか、後ろに纏められている状態だ。

 その女性の服装を見ると、剣士という割には軽装だったがしかし、胸や腹部に下半身。といった、攻撃を受ければ致命傷になりうる箇所には、しっかりと頑丈な材料を使った装備が施されており、腰には剣を差し込んでいた。


「ああ、そうか(魔王。今度改めて聞く )」


【そうか】


 女性が来たため、魔王(元)の詳しい話は後に聞くという事にしたライ。

 そして立ち上がり、女性に視線を向けて言葉を発した。


「……単刀直入に聞く。貴女は人間か? 人間だとしたら国の兵士とかなのか?」


 まずは最も気になっていた"種族"についての質問をする。

 しかし人間でも魔族でも、この女性はさっきの勘違い以外では敵意が無い為、倒すという事はしない。

 そして人ならば、ライの住んでいた国調査の為に派遣された兵士なのかが気になるところだ。


「ほう……初対面の私に向かって"人間か?"とはな……面白いことを言う……裸体を見ておいて……」


 女性はフッと笑って言う。どうやら裸を見られたことは相当根に持っているらしい。

 ライは、いきなりこの質問はおかしかったかな? と、内心で思っているような表情だ。


「ああ、すまない。気に障ったのならば謝る。そうだな。先ずは自己紹介をしよう。俺の名前は、ライ・セイブル。昨日まではここから北東五キロほど離れた街の外れに住んでいた」


 そしてまずいと思ったライは気を取り直し、女性が質問を応える前に自己紹介をした。

 取り敢えず名前を知らなくては相手からしても話(にく)い事だろう。一先ず名を教える事で警戒心を解かせようと考えているのだ。


「え? ……ああ、私は『レイ・ミール』。此処から西に五〇キロ程離れた街から来た旅人よ……いや、旅人だ」


 レイ・ミールと名乗った女性も、ライの素振りに一瞬戸惑ったが、自己紹介をする。

 五〇キロ離れているという事は、徒歩での旅だとしてまだ旅立ってからあまり経っていないのだろう。

 そんなレイは、ライの質問に答えつつ聞くように尋ねた。


「私の種族は人間だ。そして兵士ではない。……私からも質問がある。その……五キロ程離れた北東の街って……まさか……」


「貴女が思っている通り、消滅した街だ」

「…………!」


 その質問に即答で返すライと、それを聞いて絶句するレイ。

 消滅した街という事は、自分の家なども無くなってしまっているかもしれない。最悪、家族もこの世から去ってしまった可能性があるからだ。

 そのような事を考えているようなレイは、自分が口にしてしまった言葉は彼の傷を抉るモノだろうと罪悪感に苛まれる。


「その……ごめんなさい……いや、すまなかった。まさか貴方……お前の故郷が……」


「いや、問題ない」


 "俺の手で消滅したんだからな"。とは言わなかった。

 そう、自分で街を破壊したライはレイの言葉に対し、特に何も思っていなかったのだ。

 率直な感想と言えば、レイは心優しき人間なのだろうというらあである。

 そしてレイに返したライは言葉を続けて話す。


「取り敢えず……レイは人間だけど、派遣されたような兵士じゃないんだな? なら良いよ。えーと……その……湯浴みを見て悪かったな。決して悪意があったわけではない」


「ああ。私も少々早とちりしてしまったらしい」


 ライが話した事は謝罪。湯浴みを見る事に対して何か悪い事があるのか未だに分からないライだが、レイの反応から悪い事だったのだろうと。反省しているのだ

 そんなライの謝罪に応えるレイ。レイ自身、早とちりをしてしまったがゆえにライへと迷惑を掛けた。その事が心残りだった。

 そしてレイは思い出したように質問をする。


「そういえば、何故この森に来たんだ? 私は歩いていたらたまたま此処に着いたのだけど、お前もその口か?」


 それは森に来た事についてだ。

 ライは森に入って数分くらいしか経っていないが、普段人通りが無いのはこの森の静けさを見たら一目瞭然である。

 それを踏まえた上でライは質問に応える。


「まあ、そんなところだ。というか今日旅に出たばかりでまだ進んでいな──」


 ──そこでライは一つの疑問が浮かぶ。

 先程魔王(元)が言っていた、"気配が『少ない』"の事についてだ。

 その気配の一つはこの女性剣士のレイということは分かるが、それならば気配は一つと言うべきではないのか? と。

 何故魔王(元)はわざわざ、気配が"少ない"という表現をもちいたのか気に掛かったのだ。

 そんなことを考えていると、レイが手を差し伸べて言う。


「そうか、ならばどうだ。本気ではないとはいえ、私の剣を避けるほどの才能を秘めた貴方……お前。実力はあるみたいだが、まだ子供だ。私の年齢から三、四歳くらい年下だろう。だったら共に旅をしないか?」


 レイは、ライの実力を認めた上で旅へと誘う。それは優しさからか分からないが、子供のライが此処に居る事に対して心配してくれているのだろう。

 そんな手を見たライは浮かんだ疑問を置き、しばし考える。


(うーん。どうするべきか……)


【何だ? 良いじゃねえか。中々の美人だしよ、この女、俺の予想が正しければ凄い実力を秘めているぞ?】


 そんなレイの魔王(元)は賛成する。

 魔王(元)が実力を認めるということは本当に強いのだろう。

 そしてレイは、俗にいう美少女の枠に当てはまる。魔王(元)自身の欲にも使えるのだろう。


(そうなのか? ……いや、そうじゃない)


「…………?」


 実力があるということはライにも分かった。そして欲を満たす為に使うのは反対だ。

 それはさておきライは、一つ気に掛かる事があった。


(だって、この女性……レイは俺を純粋な旅仲間として誘っているわけだろ? 俺が魔王を引き連れて、世界征服を企んで旅をしているって知ったら、レイも失望するだろ。流石に)


 そう。ライが気に掛かっていたのはライ自身の野望の事だ。

 ライが旅をする理由は、平和な世界を作るために世界を支配するということ。

 真の目的が平和といっても、結果的に世界征服だ。

 元とはいえ、魔王を連れていることも引っ掛かる。

 つまりライは、レイを裏切る結果になりそうな事を懸念しているのだ。


【何だよつまらねーなー。力で捩じ伏せりゃ良いだろ。実力があるといっても裡の力はまだ目覚めていねえんだ。お前の力が圧倒的に勝っている内に調教すりゃ良いだろ】


(……またお前は物騒な事をほざいて……。俺は力による支配をしたい訳じゃねえんだよ!)


 魔王(元)の物騒な言葉に返すライ。何度も力の征服をしたくないと言うライだが、魔王(元)は力による征服の方が性に合っているのだろう。

 そんなライと魔王(元)の会話も、傍から見ればただ黙っているだけ。

 その事にレイは訝しげにライへ問う。


「……どうしたの……? やっぱりさっきの事が気に掛かっているの……か? ならば無理()いはしない。先に仕掛けたのは私なのだからな……」


「ああいや、そう言うことじゃないんだ。何というか……その……貴女を裏切る事になるかもしれないというか……」


 ライは、誘われたのは嬉しい。しかしレイを傷付けたくない。と言うように言葉を返す。

 そしてそれを聞いたレイには、ある単語が引っ掛かった。


「……裏切る……?」


「あ……(やべ。口が滑った……!)」


 ライは慌て、思わず言ってしまった言葉を取り消そうとする。

 そう、仲間になるとして、裏切るという返答をするのはおかしな事である。

 裏切るという言葉は仲間になり、敵に回る時使われる言葉。にもかかわらず、ライは仲間になるより前に裏切ると言ってしまったのだ。


「あ、いや……」


「裏切るとはどういうことだ? 私は人間でも幻獣でも構わないよ……構わないぞ」


「……」


 返そうとしたライだが、言葉に詰まる。そういえば、自分が魔族ということもまだ教えていなかった。

 仮にそれらを説明すれば、──"魔族が元・魔王を率いて世界征服"。

 とまあ、こんな感じで明らかに悪役の行動となってしまう。

 そしてレイは"幻獣"でも構わないと言っているが、"魔族"でも構わない。とは言っていない。


「……」

「……?」


 暫く無言の空間が広がる。

 聞こえるのは風が揺らす木々の音と、獣が鳴いているであろう鳴き声だけだ。

 その空間に耐えられないライは、重い口を開こうとした──


 ──刹那。



 ドンッという音と共に、森が大きく揺れた。



「「……な、……何だ!?」」


 口を揃えて発言する二人。

 そんな二人が気付いたその瞬間、辺りは黒い影に囲まれていた。


「これは……!」

「これが……! (魔王の言っていた、他の気配の正体……!)」


 各々(おのおの)で思考を回すライとレイ。

 ライは魔王(元)の言っていた気配のこと、レイは何が起こったかを。

 まずはこの状況を理解することが先決だ。

 そんな風に考えていると、遠方から岩が飛んで来る。


「こんなものっ!」


 レイはそちらを見て、剣を構える。

 そしてザンッと、岩を切断した。

岩の欠片は後ろの温泉へと吹き飛び、水飛沫が上がる。


 だがしかし、連続して弾かれるように次から次へと岩が飛んで来る。


「くっ! 面倒な!」


「同感だ! (魔王を使うべきか使わざるべきか……)」


 二人は構え、次々に飛んで来る岩を処理する。

 ふと気付いた時、いつの間にか周りを囲んでいた黒い影は消えていた。

 そしてライは魔王の力を使い、一気に片付けるかを悩む。

 使いにくい理由は大きく分けて二つある。

 一つは敵の場所が分からないから。

 敵の場所が分からなければ、闇雲に力を振るうしかない。しかしそうすれば、確実にこの森とレイは消し飛んでしまう。

 そしてもう一つは、レイにバレてしまうからである。

 何をバレるかではなく、何故大雑把に、バレる。と一括りで表したのかというと、厳密に言えば何がバレるか分からないからだ。魔王の事か、魔族の事か、バレる恐れがあるものは沢山ある。

 そんな思考を続けるライに向かい、魔王(元)は面倒臭そうな声音で言う。


【使えばいいじゃねえか。なんなら……『俺自身が飛び出してやろうか』?】


(……は?)


 そしてライは、魔王(元)の言った"俺自身が飛び出してやろうか"の部分が引っ掛かる。当然だろう。何故なら魔王(元)は、ライの中でしか生きられない。

 つまり、外へ飛び出せば自身が消滅してしまうかもしれないからだ。

 その事を疑問に思っていると、魔王(元)は再び言う。


【ああ、その事か、それなら問題はねえよ。今なら俺も三秒くらいは外に出られる。それだけありゃ敵を殲滅するのは楽勝だ。そして、お前が俺と馴染むに連れて俺も徐々に離れていくだろう。ま、完全に離れることは……多分出来ない】


(な……!?)


 初耳だった。

 しかしその通りだと思ったライ。

 身体が馴染めば馴染むに連れて力が強くなると魔王(元)は説明した。

 いずれは魔王(元)を完全に具現化し、自在に操ることも出来るのだろう。


(いや、いい。先ずは敵の居場所を突き止めてからだ)


【そうか。つまらんな】


 そこまで思考したライは取り敢えず敵を探すことにした。

 魔王(元)もつまらなそうにしていたが、主がライなので渋々承諾する。

 敵を探すという事をレイにも伝え、同意したレイと共に森を散策する。


「何かすまないな。返事をする間を与えずに、こんなことを提案して」


「……いや、考えれば確かに闇雲に捜索して一人で敵と鉢合わせるよりは、二人で探索した方が良い。恐らく敵もある程度数がいるはずだからね……な。そして投げ込まれた岩を見る限り、かなり力があるか、念力を使える」


(レイは女性なのに男みたいな話し方だな……でも、何だか無理してそうだ)


 レイを見、気になる事を考えるライ。

 レイは先程から時々女性口調になるが、男性口調に戻している。その事が気に掛かった。

 そんな思考を落ち着け、二人は月夜に照らされた闇の森を進む。

 満月が再び雲に隠れ、うっすらと雲の隙間から除き込む光は何処か不気味で気味が悪かった。

 そして、暫く歩くと──『温泉に戻っていた』。


「「なっ……!?」」


 二人は一瞬驚くをが、直ぐにその場を理解し推測するように言葉を発する。


「……いや、そうか、成る程……どうやら魔物の線が高いな……」


「……そうか。そうだね……な。人を襲う為に森へと迷い込ませて、混乱しているところを食らう魔物も居るらしいし……」


 この場の状況、それはとある魔物がライとレイを此処に誘い、混乱させるのが目的かもしれないという事。

 そして推測していたレイが訝しげに言った。


「しかし妙だよね……いや、妙だな……そういった魔物は人間なら一人しか森へと誘わないと聞くけど……"魔族"や"魔物"を除いて……」


「…………そうだな……」


 レイの言った言葉にライは、俺が魔族だから。とは言えなかった。レイの言っている魔物は人を何処かへ誘い、一人になったところで食らい付く魔物の事。

 しかしそのような魔物は、"人間"が一人の時にしか姿を現さず、"魔族"や"魔物"が獲物の場合はまた別の誘い方を行うと言う。

 つまり今は、ライが魔族だからこそ人間のレイ一人と魔族のライの計二人が誘われているのだろう。

 そんな会話をしつつ、二人はまた森を進む。

 そしてライは気になる事をレイに尋ねる。


「なあ、アンタ……いや、レイ」


「え、何? ……いや、何だ?」


 唐突な名前呼びに焦るレイ。

 また口調を直しているが、気にせずライは問う。


「何でそんな話し方をしているんだ? さっきから大変そうに見えるけど……」


「あ……」


 レイは赤面する。

 どうやら聞かれたくなかったことらしい。

 しかしそのままだと話しにくいのでライは構わず追及する。


「なんか話ずらそうだったし、普通の口調で話しても良いんじゃないか?」


「…………」


 その追及に対し、レイは言葉に詰まっている様子だ。

 それでもライはレイの発言を待つ。そしてレイはようやく重い口を開いた。


「──私……旅する前は普通の話し方で普通の生活をしていたんだ。それで、幻獣や魔物……外の世界に憧れて、親の反対を押しきって家を飛び出したの。昔から剣術や魔法を学んでいたから、腕には自身があった……けれど、話し方で舐められて……女性っぽい話し方じゃ駄目だと思った私は内面から変えなきゃって……自分を強く見せるために、さっき見たいな話し方をしようと考えて……」


「……そうか」


 要するに、外の世界に憧れた少女は凄い実力があるけど、心も強くするために話し方を変えた。と言うこと。

 それを聞いたライは何でもないように言う。


「じゃあ──話し方を使い分ければいいんじゃね?」


「……え?」


 その言葉に対し、レイは素っ頓狂な声で返事をした。

 そんなレイを見たライは気にする事なく続ける。


「時と場合によって話し方を変えるんだよ。旅仲間や友人には素の話し方。敵とかには上から口調……的な?」


 淡々と口にするライ。

 それを聞きつつ、唖然としていたがレイは、


「……そうだね、やってみるよ。確かに舐められるのが嫌なら、嫌な相手にだけさっきの話し方をすれば良いのかもしれない。私自身の力を見せ付けて舐められないように……ね!」


 ライの言葉に笑顔で頷く。

 どうにか一段落着いた様だ。そして、そこでライは考える。

 出会って数分にも関わらず、あまり話したくないことを話してくれたレイの為にも、自分も正体を明かすべきか否か……。

 無言で歩く二人、ライは覚悟を決める。


「なあ、レイ。俺も話していない事が……」


「…………?」


「俺は……実は……──」


 ──次の瞬間、再び巨大な岩が降って来た。

 敵がまた攻撃を仕掛けてきたのだろうか。ライは(岩を飛ばすしか出来ないとは芸のない奴らだ……)などと考えながら敵の居場所を探る。


(……敵は何処だ? ……岩が飛んで来た方向は……彼処あそこか……!)


 そしてあっさり見つける。

 いや、わざと見つかりやすい方向から投石した。と言った方が良いだろう。


「行こう! レイ! アイツらを倒さなきゃどのみち抜け出せないんだ!」


「うん! 分かった!」


 そして確認した二人は駆け出した。

 ライとレイが少し行くと森を抜け、広場らしき所に出る。


「……こんな所があったなんて……」


「恐らく魔法で隠していたのか……それとも催眠術か……どのみちそれを隠さなくなったってことは……」


「本格的に"狩り"をするつもり……」


「だな」


 ライとレイは、ゆっくりと広場の中心へ行き、背中合わせで辺りを警戒する。

 木々の擦れ合う音と、虫や獣の鳴き声以外は聞こえてこない。

 そして、雲に覆われた満月が顔を出した時、それらが聞こえる。



『ウオォォォォォォォ!!!!!』



 鼓膜を突くような轟音、それが前後左右斜めと、上下を除く全方向から聞こえてくる。

 幻獣か魔物か分からないが、ライたちを餌として見ているのは違いないだろう。


【ククク……こいつは面白そうだ。どうするんだ? 俺を使うか?】


(……そうだな。どうせレイには教えるつもりだったんだ)


 轟音を聞き、魔王(元)は楽しそうに笑い、ライは先程決めた覚悟を此処で出す決意をした。

 そこに、またもや岩などが飛んで来る。


「どうやらまだ様子を見ているようだな」


「そうだね」


 二人に降り注ぐ岩、それを軽くいなす二人。

 しかし敵は岩を投げつけるのを止めない。そんな敵のやり方を見、ライはそろそろ痺れを切らしていた。


(仕方ない。……おい、魔王。中指にお前を纏わせる)


【お、ようやく出番か。いいぜ。けど、最終的には俺の事をあの女に教えるんだろ? 何で全体じゃなく指だけなんだ? そんな回りくどいことをしてどうする?】


 魔王(元)は、やっと戦えることへの喜びと同時に、面倒だし一気に片付けようぜ? という感情が表れる。

 ライはその事に答える。


(それはアレだ。徐々に力を見せていかなきゃ、レイが混乱するかもだろ?)


【ケッ、別に良いじゃねえかよ。面倒だし。まあいい。さっさと殺ろうぜ?】


(言われなくとも……)


 次の刹那、ライの指に漆黒の渦が纏わりつく。それによって血が熱くなり、溢れ出す力……。



 ──さあ、これからがお楽しみだ。……どちらが餌なのかを再確認しようじゃないか……?──

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