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三百三十九話 宇宙の戦い・終了

「──って事で、それが我ら七十二のゴエティア悪魔が持つ目標だ。まあ、悪魔のほとんどは面白そうだからという理由で参加しているんだがな」


「ふぅん、成る程ね。それで僕に協力を要請したって訳……。確かに僕は世界的に見ても最上位の実力者で戦闘好きだね。そこは自負しているよ」


「そういう事だ。力の強い者が多いこの世界に置いて、基本的に戦闘がメインとなってしまうのが世の常。貴方程の実力者ならば、不足は無い筈。どうか参戦して欲しい」


 説明を終え、改めてグラオに判断を委ねるバアル。

 事は中々に深刻そうであり、悪魔の王であり神々の王だったバアルですら頭を下げる次第。

 今バアル達が直面している事態は、大きな戦争の引き金となっているのだ。


「そして、その問題は間接的にだけど僕に原因が無いとは言えない。まあ、それを言っちゃえば世界の殆どを創った僕がこの世界全ての問題を生み出したって事になっちゃうから置いておこう……」


 近くの切り株に腰掛けつつ軽薄な態度を取っているが、表情は真剣その物でありバアルの言葉におふざけ無しで話すグラオ。

 バアルの説明を聞く限り、グラオ自身にも多少の原因がある事だ。

 それはグラオの創ったモノの中にある事だからである。

 つまりもう、その権利を殆ど放棄しているグラオは全くと言って良い程に関係無いのだが、一応仮にも神なので相談には乗るようだ。


「要するに僕の力を借りて、状況を有利に運びたい訳だね? 必然的に強者と戦う事になるから、僕ならば喜んで参戦してくれると思った訳だ」


「力を借り、事を有利に運びたいのは本当だ。だが、喜んで参戦してくれるとは思っていない。地獄から上の様子を見ていた時、貴方には何かの目的があると理解しているからだ」


「成る程。その辺りの礼儀はわきまえているようだね。たまに居るような、相手を上手く騙そうとしている奴は嫌いだ。けど、君はそうじゃない」


 バアルの説明を要約し、自分の力を借りたいのか。そして自分だから誘い易いと思ったのかと尋ねるグラオ。

 確かに戦闘好きのグラオならば、戦闘を行えるというだけで嬉々として参戦するかも知れない。

 その事について話すバアルだが、グラオが簡単に乗らないと理解していた。グラオの目的は何か分からないが、仲間と共に行動していた事から何かあると推測したのだろう。

 その返答を前に、そういった場ではしかとわきまえているとバアルに対して笑い掛けるグラオ。

 グラオは苦労せずに利益のみを求める者を嫌い、もしもバアルがそのつもりだったのなら即座にこの話を切り上げるつもりだった。

 その点バアルは、流石上に立つ者という事だろう。


「けど、今回はパスかな。もう少し早く来てくれれば乗ったと思うけど、今は別の仲間が居るからね。まあ、後ろに"(仮)"が付くかもしれない仲間だけど、今はその者たちと手を組んでいるんだ。"兄弟喧嘩"は自分達でやっててくれ」


「そうか、残念だ。まあ、無理強いはしない。本来ならもう昔に決着は付いたのだがな……それは遠い昔、我が神だった時だ。今はもう、残念ながら神では無い……奴は神の王になろうとしているんだ。死を司る奴が王になってしまえば、間違い無く世界に混乱が蔓延はびこる事になるだろう。貴方程の実力者でも、その点に対しては気を付けていてくれ。関係無い者は巻き込みたくないのが心情だ……。ベルゼブブでは無く、バアルとしての……な」


 バアルの目的、それはバアル自身の兄弟と関係しているらしい。

 それを理解した上で断るグラオと、それに対し意外にもすんなりと諦めるバアル。

 補足ついでに兄弟の目的だけを話したが、それは同情を誘うものや世界の為に協力を頼むという甘い事柄では無く、何かしらの影響が来るかもしれないから注意していてくれという意味が秘められていた。


「そうかい、忠告ご苦労さん。後補足についてだけど……もう既に世界は混乱が起こっているよ。僕たちの目的の所為でね……」


 忠告を快く受け入れ、フッと笑うグラオ。

 しかしバアルの兄弟関係無く、既に世界は混沌としていると告げた。

 それは虚偽では無く真実。しかもその混沌は、グラオ達によって広がったと何でも無いように話す。


「……! ……。……いや、ああ、分かっている。幻獣の国へ戦争を吹っ掛け、魔物の国と協定を結ぼうとしているんだな……」


「ハハ、地獄から現世の事はお見通しか……話が早くて助かるよ。……取り敢えず、仮に君や君の兄弟が何をしようと……僕たちの目的が達成されようと……僕と敵対する者の目的が達成されようと……そのどれもが不発に終わろうと……宇宙は変わり無く回り続けるって事さ。それ程までにこの世界は面白いんだからね。かつての勇者と神や魔王の争いがあった今でも昔と同じように世界が動いているって事が証拠さ」


 スッと立ち上がり、フッと視線を向けて話すグラオ。

 大昔、数百億年以上前にこの宇宙を創造した混沌の神、カオス。

 そんなグラオ・カオス曰く、誰の目的が達成されようと誰の目的が達成されなかろうと、世界は変わり無く続いて行くとの事。

 それは人間や魔族、幻獣・魔物のような狭い視点からでは無く、原初の神であるカオスとして宇宙的に見た結果の答えだった。

 世界や宇宙は、今まで様々な神々や人間・魔族・幻獣・魔物などの手によって終わりが近付こうとしていた。

 しかしその全ての窮地を乗り越え、過去から今現在未来永劫、宇宙は巡り続ける。

 それを考えると、宇宙に終わりが無いのではと思ってしまうのがグラオの考えだった。


「まあ、実際……僕は誰よりも早くに生まれた存在って謂われているけど本当にそうなのかと思う事も多々あったね。原初の神にして全ての概念を生み出したカオス()。全ての始まりらしいけど、イマイチ実感が沸かない。もしかしたら、僕にも親とかが居たのかもしれないからね」


 宇宙の行く末は誰にも分からない。いや、もしかしたら分かる者も世には居るかも知れない。それが分からない。

 つまりグラオ。もといカオスは、自分の創ったこの世界が何処に行くのか分からないとの事。

 それは神のみならず、人や魔族、そして幻獣、魔物にその他の生き物も同じ事だろう。

 自分の子が将来どんな姿になるのか、想像する者は多い。しかし想像と現実は違い全てに置いて差違点が生まれてしまう。

 想像だけでは必ず限界が訪れる。つまりこの宇宙がどうなるか、分かる者も居るかもしれないが少なくともカオスには分からない事だ。


「つまり、君が兄弟の行く末を心配したとしてもしょうがないという事さ。上には上が居るこの世界、七十二人の悪魔を仕える王である君が兄弟喧嘩に僕を誘う必要は無いって事だね。何なら、一噌いっその事全ての世界を巻き込んだ戦争でも起こしたらどうだい? "大罪の悪魔"には強力な者が多い。君の力でも、何人かは連れて行ける筈さ。相手が神だろうと悪魔だろうと、倒すだけなら大抵の者は神であり悪魔である君なら容易い筈だ」


「……」


 淡々とつづり、バアルに向けて話すカオス。

 バアル・ゼブル。バアル・ゼブブ。神の力を持った悪魔──ベルゼブブ。

 それ程の実力者ならば、自分が手を下さずとも兄弟に勝てるという事。

 なので自分は手を貸さないと言い放ったのだ。


「ハハ、話が大きく逸れたけど取り敢えず……見てみなよ、世界のレベルと広さを。地獄なんて数兆キロしかない狭い空間さ。起こるかもしれないだけの兄弟との戦争に対する悩みなんかちっぽけなもの。僕の力が無くても何とかなるさ」


 ゆっくりと歩を進め、バアルの周りを歩くように動くグラオ。

 そしてピクリと片眉を動かし、バアルの後ろに回り込んで呟くように話す。


「今僕が戦う敵は彼だからね」


 その者に向けて。


「よお、グラオ。いや、カオスって言った方が良いか?」


 その場に来た、魔王を宿すライと神の子孫であるリヤンである。

 バアルとダンタリオンもそちらの方を見やり、その二人の方へ視線を向けた。


「貴方は……ライ・セイブルだったか? 確か、魔族の国を収めたって噂の」


「へえ? 公言していないのに知られているのか……悪魔の情報網ってのは凄いんだな」


「フッ、地獄は色んな世界に繋がっている。だから我も貴方の事を見ていたんだ」


「ふぅん、不公平だな。俺たちの世界からはあの世が見えないってのに」


 ライを見、何故かライが魔族の国を征服したと分かっていたバアル。

 それに対してライは情報が広がるような事はしていないと言うが、バアル曰く地獄は現世などを見渡す事が出来るので分かると返す。

 天界や地獄からはライたちの世界が見えるのにライたちの世界からはあの世が見えないのは何ともおかしな話である。


「そうでもないさ。現世の様子を見れるって言っても、大きな事件とかしか見えない。閻魔様の気遣いか、プライベートな事は見えないようになっているんだ」


「へえ? ハハ、それでも現世よりは情報が直ぐに伝わってるじゃないか。俺が征服したって事は魔族の国の者しか知らない筈だからな。それに、魔族の誰かが外に伝えたとしても全世界に伝わるには時間が掛かる。世界に一斉送信出来るような機械があれば楽だけど、機械を導入しない国も沢山あるからな。結局地獄より遅くなってしまうんだ」


 その事に対し、地獄もそれ程便利という訳では無いと謙遜して話すバアル。

 しかしライたちの世界では一人が伝え、それを別の者達が伝え、更にそれを様々な手段で伝えなくてはならない程面倒な方法だ。

 環境は兎も角、情報の早さならば地獄の方が良いと言うライ。


「そうか。地獄は苦痛の多い場所だが、現世に少しでもまさってる点があって良かった。我ら悪魔も誇らしい」


「ハハ、悪魔にとっては地獄の方が暮らしやすいんじゃないのか? というか、悪魔だったのかアンタ」


「フフ、ごもっとも。まあ、地獄に居る以上、一日何千回は罰を受けるからな。暮らしやすいが過ごしやすくは無いな。あと、我は悪魔だ」


「へえ、成る程ね……だからアイツの知った気配か……」

「うん?」

「いや、何でも無い」


 軽い口調で交わし、笑い合う二人。

 ライとバアルは少し似ているのかもしれない。

 それは見た目や口調では無く、その性格が。である。

 どちらも仲間思いで、自分よりも別の事を心配している点がだ。


「……で、そちらが神の子孫かな? ダンタリオンが迷惑を掛けた。その点に対して謝罪を申そう」


「……え……? あ……別に……」


「ダンタリオン? 成る程、ダンタリオンがリヤンを操ったのか。……なら、悪魔ダンタリオンが居るって事はアンタも七十二の爵位を持つ悪魔の一人か?」


 次いでバアルはリヤンに謝罪を告げ、リヤンは突然の謝罪に困惑する。

 そしてバアルの言葉を聞きつつ、ダンタリオンの存在からバアルも七十二の悪魔の一人と推測する。

 そう、ライたちは今来たばかり。なのでバアルの事やグラオとの会話は聞いていなかったのだ。


「おっと、自己紹介を忘れたな。我が名はバアル・ゼブル。まあ、今はバアル・ゼブブやベルゼブブと言った名で呼ばれているがな……」


「……! ベルゼブブだって? 成る程。七十二の悪魔じゃなくて、その悪魔達を収める王がわざわざ来たのか……」


 それに付き、忘れていた事を思い出し自己紹介をするバアルとその自己紹介に対し、驚愕したような表情で話すライ。

 当然だろう。何かしらの悪魔という事は分かっていたが、まさか王が直々に出向くとは思わなかったのだから。

 ベルゼブブ。もといバアルはありとあらゆる生き物の姿となって人前に現れる。だからこそ見た目だけではバアルとは分からないのだ。


「そうだな、君達にも告げて置こう。結果的になら現世も関係しそうな事だからな。カオスとのいがみ合いは我の話を聞き終えてからにしてくれ」


「「……?」」


 そしてバアルは、改めて目の前に居るライたちと後ろに居るカオス。つまりグラオを見やり、ライとリヤンに向けて尋ねるように話した。

 その理由が分からないライとリヤンはお互いの顔を見やったあとでバアルの方を向き、小首を傾げつつ訝しげな表情となる。


「近々、我はとある神に勝負を仕掛けるつもりでいる。その余波が現世や天界にも降り掛かるかもしれない。その事を覚えていてくれ」


「……とある神?」


 その様子を見兼ね、自分達の目的を話すバアル。

 バアルが行おうとしている戦いは大きなものとなるだろう。その注意を兼ね、ライとリヤンに伝えたのだ。

 バアルの話を聞き、また新たな疑問を浮かべるライ。バアルはスッと目を細め、ライの方を向いて返した。


「ああ。我の血縁──"モート"だ」



 ──"モート"とは、死と乾季を司る神である。


 モートという名は別の国の言語で"死"を意味しており、俗に言う"死神"の一種である。


 破壊の恩恵をもたらす神であり、兄弟のバアル・ゼブルとは敵対関係にあった。


 人肉を好み、バアルが神の座に付いた祝宴に人肉が出てこなかった事が敵対の始まりと謂われている。


 その身体は冥界その物であると謂われ、口が冥界の入り口であり全ての生物を飲み込むと謂われている。そして、その口からは如何なる生物も逃れられないらしい。


 バアルは神の時に何度かモートを仕留めたが完全に消し去る事は叶わず数年後に蘇り、かつては七年間戦争を続けたと謂われる。


 バアルの兄弟にして冥界その物である死と乾季の神、それがモートだ。



「モート……」


「そのモートと近々戦闘を行うかもしれない。心得ていてくれ」


 モートの名を聞き、復唱するように名を呟くライと頷いて返すバアル。

 血縁上の兄弟と戦争を行うという事は、神々や悪魔達の世界ではよくある事。

 ライたちの世界でも兄弟の英雄達が争う事もあったと神話で伝えられている。その事は、何ら不思議では無いのだ。


「ああ、分かった。忠告ありがとう。知ってると思うが、俺たちも戦争をしている最中さなかだ。もしかしたら何かの形で鉢合ってしまう事もあるかもな……」


「うむ。争いの絶えぬこの世界、二つの戦争が合わさる事は珍しくない。互いに心得よう」


 バアルの忠告に頷いて返し、自分たちの戦争も神や悪魔が関わってしまうかもしれないと告げるライ。

 バアルはその事を了承しており、可能性はあると考えていた。ならばこれ以上追求する必要は皆無だろう。

 これにてライとバアルの話が終わり、バアルとダンタリオンは魔力の塊である渦を創り出し、地獄へと帰った。

 ライはリヤンを操ったのかダンタリオンは許せていないが、バアルに免じて討ち滅ぼすのを止める。

 そして、ある程度の事が終わった今、この星では別の問題が生じていた。


「……さて、グラオ・カオス。次はアンタとの問題だ」


 それは、その場に残されたライ、リヤン、そしてカオスの問題である。

 ライたちとカオス達は幾度と無く争いを続けてきた。

 実際に戦ったのは十回にも満たないがそれはさておき、取り敢えず因縁の相手ではあるだろう。


「ハハ、待ってました……って言いたいけど、本当はバアルが戦ってくれるって言ってたのに帰っちゃったよ。何か乗らないし、今日は僕も帰らせて貰おうか」


 しかしカオス。もといグラオはバアルと戦う予定だった。だがバアルが地獄に帰ってしまった為、気分的にライと戦う気にはなれないらしい。なので今日のところは拠点へ帰るようだ。


「……へえ? 逃げるのか?」

「……。僕が逃げるだって……?」


 そんなグラオに対し、挑発するように話すライ。

 逃げるという言葉に反応したグラオは止まり、一度ライの方を見やる。


「ハハ、冗談はしてくれよ。勘違いするんじゃない、今の君とは戦いたくないだけだ。だってその腕、さっき治ったばかりっぽいからね。多分バハムートとの戦いでやられちゃったのを神の子孫に治療して貰ったんでしょ? レヴィアタンとバハムート。その二匹を相手取ったんだ。肉体的なダメージは治療しても、精神的な意味ではクタクタだろう?」


 それに返すグラオは、逃げるのでは無くライの状態から今は戦いたくないだけらしい。

 腕の傷はリヤンによって治療されたが、連戦によって精神的な疲労がある筈。なので完全な状態では無いライと戦うのはつまらないのだろう。


「ハハ、お見通しって訳か。まあ、確かに精神的な疲れはあるな。肉体的には無傷の状態になったけどさ」


「そゆ事。次挑む時は、本当の意味で感知した時がやりどころだね」


「オーケー、分かった。取り敢えずアンタを倒さなきゃ、俺の目的に支障をきたすからな。次は仕留める」


「ハハ、心待ちにしているよ。じゃあね」


 グラオの言葉にその通りと嘘偽り無く返すライ。

 実際問題、世界的に見て強大な生物二体を相手にしたライは精神的な疲労が極限状態だった。

 なのでグラオの言葉に甘え、今回は戦わないという事となる。

 それだけ交わし、グラオはこの星から元の星へと移動する。


「さて、と……次は置いて来てしまったドラゴンたちを迎えに行くか……リヤンは此処から帰れるのか?」


「うん、私の力で創ったから……帰る事は出来る……と思う……」


 バアルとダンタリオン、グラオが帰り、そろそろ自分も行くかと動き出すライ。

 そんなライは、リヤンが元の星から数光年離れたこの星から帰れるのか心配だった。

 リヤンそのものの力が上がっているのは理解し、幻獣魔物の力で宇宙空間でも行動可能とも分かっているが、病み上がりの仲間は心配なのだろう。

 それに対し、自分の創った星だから問題無いと話すリヤン。

 此処に来たのも自分の力なので、その点に関しては問題無いのだろう。


「へえ……そうか、なら安心だな。リヤンが創ったなら……え? リヤンが創ったなら!?」


「……!?」


 突然の声に、ビクッと肩を震わせるリヤン。

 ライはリヤンの姿をまじまじと見、とてつもなく怪訝そうな表情となっていた。


「……。…………。そうか、リヤンも成長しているんだな。心配は杞憂って事か」


「……?」


 何かを察し、軽く笑うように話すライ。

 リヤンはその言葉が分からずキョトンとしていたが、ライには何処か安心したような雰囲気がうかがえた。


「なら、ドラゴンたちを連れて直ぐに帰るから、リヤンもレイたちによろしくな!」


「……! うん、分かった。ライも気を付けてね。ライは私の大事な人だから」


「ハハ、面と向かって言われると照れるな……けど、ありがとう、リヤン。じゃ!」


「うん、数分後にね……!」


 二人の話が終わり、ライは宇宙空間へ置いてけぼりにしてしまったドラゴンたちを迎えに行く。

 リヤンはそれに頷き、聖なる力で空間を創りその星から消え去った。

 リヤンが消えたのを見ると同時に踏み込み、光の速度を超えて進むライ。その衝撃で星の表面が抉れたが、それは今更だろう。



 ライとバハムートの戦いとリヤンとグラオの戦いは終わりを迎え、バアルから重要な事を聞き世界に大きな変化があると理解する。

 一先ず宇宙での戦いは幕が降り、次いで地上への戦いへと移行する事となった。



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