二百十八話 幻獣の国・一匹目の幹部
──"幹部の居る北の街"・大樹付近。
賑やかだった広場から離れ、一つの大きな大樹前へとやって来たレイ、シター、ドラゴン、ジルニトラとその他の部下兵士たち。
その大樹は存在感があり、支配者の棲む世界樹の欠片程は無いにしろ、天を突く大きさがあった。
その木は天空の雲まで伸びており、その雲に隠れて先が見えない程だ。
その空を見上げるとそこには青空と白い雲が視界に映り、燦々と輝く太陽がレイたちを照らす。
レイたちは威圧感を覚えつつ、何処か神々しさを感じる大樹の中へ入って行った。
「わあ……この樹も大きいねぇ……この国には普通よりも大きい樹が多いかも……」
「ええ……幻獣の国での上位者が君臨する建物は城とかの代わりに大樹を使っているのね……」
大樹の内部を見て歩くレイたち。
レイとシターは大樹を見渡し、大樹に差し込む光を身体に受けながら会話をしていた。
そんな中でも幻獣たちの姿が視界に映り込み、直ぐ様視界から消える幻獣たち。
それでも尚視線や気配は感じ、至るところから幻獣たちが見張っていると言う事が分かった。
それは敵対しているという意味では無く、レイやシターといった幻獣の国にいない生き物に対する興味である。
何者であれ、見た事の無い存在というモノは興味であり恐怖である。
得体の知れない存在に恐怖を抱く者は多いが、それと同時に"それ"とは"何"かを知りたくなる知的好奇心に生まれ変わる事もあるのだ。
つまりレイたちを見る幻獣たちは"レイたち"とは"何者"かを目で見て研究しているという事である。
それを調べる事で安全な存在かどうかを見極め、それに近付くのだ。
「そう言えばドラゴンさん……この街って何て言う街なの? 北の街らしいけど……星を一周しちゃえばこの場所からの南も北になるし街の名前を知りたいな……」
大樹内の道を行きつつ、レイはドラゴンに向けてこの街の名前を尋ねた。
北の街という呼び方だけでは、他の街と混ざってしまう。それが南の街だとしても、北へ北へと進んで行けば最後、球体の惑星なので一直線になり、南も北も変わらない同義となってきまう。
無論、南は南で北は北なのだが……これは物の例えである。真っ直ぐ行けば星を一周する。なので南も北も直線上にあるのなら繋がっているという事だ。
話がやや脱線したが要するに、レイは困惑しないようにドラゴンへこの街の名を尋ねたとの事。
『……そうだな、この街の名は"カトル・ルピエ"。私の部下というのかは分からないが、幻獣の国の幹部が居る街だ』
「"カトル・ルピエ"……!」
"カトル・ルピエ"。それがこの街の名とドラゴンは言い放った。
話を聞くに、必ずこの街に幹部は居ると言う。しかし、幹部は外の世界へ行く事もあるのでこの街に"今"居るかは分からない。
だが何はともあれ、手掛かりが無いよりはマシだろう。今現在、現在位置のこの時間、この街に幹部が居るか居ないか、たったそれだけ、その程度の違いである。
そもそもこの街に来た理由は幹部と話を終わらせ、この街に棲む幻獣たちの避難と幹部も戦闘員として戦争に参加する交渉。
居ても居なくとも、国の為にドラゴンはその幹部を探すだけである。
「えーと……支配者さんは幹部の居場所を知っているのかしら……? 私の知る限り、幹部は割りと自由だし……」
それを踏まえ、もしいなかった場合に幹部が何処へ行くのか知っているかどうかと尋ねるシター。
幹部を探すにしても、居場所に心当たりが無くては意味がない。
それについてどうなのか気になったのである。
『ふふ、大丈夫だ。気配で分かる……幹部は他の幻獣より大きな気配を持つからな……存在感とでも言うべきか……』
「ふぅん? なら大丈夫そうね……」
ドラゴンは、幹部についてならば気配を感じれば分かると告げた。それに対し、少し不安ながらも頷いて返すシター。
「でもそれって……支配者さんも気配が大きいって事だから……敵に見つからないように飛んでいたとしてもバレちゃっていたりするかも……」
『うむ……可能性はあるな……』
唐突に、それを聞いていたレイが悩ましげな表情でシターやドラゴンに向けて話す。
その言葉に低く唸り、少し考えるドラゴン。
それもその筈。気配を感じるには見えても見えなくとも関係無い事なのだから。
実力者にはその気配が分かってしまうだろう。
「その時はその時だね……覚悟を決めなきゃ……」
「ええ、ジルニトラさんの言う通りだわ……」
それに対してジルニトラが言い、シターが頷いて同調するように返す。
そう、仮に敵がこの街"カトル・ルピエ"に攻めて来たとして、遅かれ早かれ何れ敵の組織と戦闘を行わなくてはならなくなる。
望まなくとも何れそうなるので、相応の覚悟を決めておく必要性があるのだ。
『そうだな。では、幹部の元へ急ぐとしよう……!』
「「「…………」」」
歩みを進めるドラゴンと、それに無言で頷いて後を追うレイ、シター、ジルニトラの三人。
後ろの兵士たちもその会話から張り詰めた空気となり、緊張感が漂っていた。
そしてドラゴンは一つの扉に辿り着き、その扉を開けた。
*****
──"幻獣の国"・???
「オーイ、ヴァイスー? さっき上空にとても大きな気配を感じたよー? つまり相手側も行動に移ったみたいだし……そろそろ僕たちも次の街を攻めるのはどうだろうか?」
光が殆ど入らない、暗い空間。そこに一つの声が響き、グラオはヴァイスに向けて戦闘を促していた。
「そうだね……確かに気配を感じた……しかも四つ……一つの気配はとてつもなく大きく、もう一つは次点で巨大……残り二つは同等の気配だけど大きいのには変わり無かった……そして一つは知った気配だ……」
グラオの言葉を聞き、己が感じた事を話すヴァイス。
四つ気配を感じたヴァイスは腕を組み、戦闘へ行こうとと言う言葉を無視して頷いた。
「ヴァイス。テメェが言わなかった方の気配は俺が知ってるぜ……」
「ああ、私も知っている……」
そしてグラオとヴァイスの会話に混ざるよう、ゾフルとハリーフが言葉を綴る。
二人はヴァイスとグラオの心当たりがかる気配のみならず、もう一つの気配に覚えがあるらしい。
「へえ? じゃあつまり魔族の国、幹部かその側近の気配と言う事か……確かライたちのチームにはキュリテって言う幹部の側近である超能力者が居たけど……それなら僕とヴァイス、シュヴァルツも気配が分かるから必然的に別の街の幹部かその側近って事になる……」
二人の言葉を聞いたグラオは頷き、二人の言葉からその一人は何者なのかを推測する。
魔族の国、幹部の側近を勤めていた二人が知っており、キュリテでは無い気配だとすると。
「……成る程ね。ライたちが協力して僕たちの兵士らと戦った事がある……なら、同盟関係になってもおかしくない……。要するにいつぞやの"マレカ・アースィマ"の幹部かその側近って事かな……」
ヴァイス、シュヴァルツ、グラオが連れた兵士達。その兵士達との因縁があるのは王政の街"マレカ・アースィマ"の者と言う事になる。
そこからグラオはそう推測した。
「ああ、多分だが"マレカ・アースィマ"の幹部かその側近……強さは俺たちと同じくらいか俺たちよりやや劣る……ま、誰なのかまでは分からねェけどな」
「……その分、十中八九"マレカ・アースィマ"の者達が幻獣の国に手を貸しているって事は分かるね……」
グラオの推測を聞き、それに同意するよう頷いて返すゾフルとハリーフ。
魔族の国、幹部の側近だった二人が言うのならば先ず間違いないだろう。
今この国に、魔族の国から手助けする者達が来ていると言う事だ。
「ふむ……それは中々面倒かもしれないな……それを筆頭に他の魔族達も来るかもしれない……全て倒せれば二つの国を同時に手中に収める事が出来るけど……支配者が厄介だ……」
「そうだね……私には支配者をどうにか出来る力が無いよ……?」
その可能性を考慮し、悩むように呟くヴァイスとマギア。
ヴァイス曰く、魔族の国は四つ国で一番レベルが低いらしいのだが、それは幹部達の総合力についてだ。
支配者だけで言えば確実に上位争いをするだろう。
ヴァイスの中では幹部を含めた組織力で評価しているのだが、個人力だけなら間違いなく魔族の国の支配者は上に位置する。
「ククク……まあ、そうなっても良いだろ……いざと言う時はバロール以外の秘密兵器もある……そして魔族の国の最高戦力が全てやって来る前に幻獣の国を終わらせりゃ良いんだ……」
「ああ、その通りだ。シュヴァルツの言う通り……俺的にも多くの強者と戦り合えるのはありがたい……!!」
思考するヴァイスを横に、シュヴァルツとゾフルが笑いながら話す。
二人は強者と戦えればそれで良いと言う考えなので、逆にこの状況が楽しいのだろう。
「そうそう、ヴァイスにマギアはは少し考え過ぎさ……その時はその時で楽しもうじゃないか……」
二人に続き、グラオも笑いながら話す。
ヴァイス、ハリーフ、マギアの三人はため息を吐き、取り敢えず何人かで気配の感じた方向へ向かうのだった。
そして次の瞬間、その六人のうちマギアと数人がその場から消え去った。
それと同時に兵士達も数人が消える。今この時、マギア率いる者達が兵士を連れ気配の方向へ辿り着く事となるだろう。
*****
──"カトル・ルピエ"、幹部の大樹。
そしてその扉の向こう側に行き、その者を確認したドラゴン、レイ、シター、ジルニトラの三人と一匹。
その者はドラゴンを見やり、ドラゴンはその者に向けて言葉を発した。
『どうやら居たようだな──"ワイバーン"よ……』
『居たら何だ? ドラゴンさんよ……そんな風にゾロゾロと部下を連れて……』
──"ワイバーン"とは、ドラゴンに近い存在の幻獣である。
その見た目は長い舌を持つドラゴンの頭に蝙蝠の翼、鷲の脚に蛇のような尾を持っておりその尾の先端は矢尻のような棘がある。
主にドラゴンの亜種として扱われ、能力もドラゴンに近い個体が多い。
違いと言えば見た目と名前くらいだろう。
ワイバーンも高速で飛行する事が出来、炎を吐いて攻撃をする。
ドラゴンの亜種である存在、それがワイバーンだ。
『単刀直入に言おう、ワイバーン。お前も俺たちと協力し、今この国に攻めて来ている者達と戦おうぞ……!』
ワイバーンの言葉に対し、ドラゴンは率直に告げた。
ワイバーンは目を細め、それに対して言葉を返す。
『何を言うかと思えば……そんな事か……その程度の事で幹部を招集しようと言うのかドラゴンよ……』
『そんな事だと……? その程度の事だと……? お前も知っているだろう。今、この国はかつて無い打撃を受けている……それをそんな事呼ばわりとはな……』
ワイバーンの言葉に呆れるドラゴン。
そんなドラゴンを見たワイバーンは低く唸り、言葉を続けて話す。
『そもそも、だ。貴様が支配者とやらにならなければこんな事にもならなかったんじゃないか? 今、世界は四つの国に別れている……おかしいんじゃないか? 我々幻獣は元より自然体。人間・魔族のような規則に縛られる必要性など、全く無いのだからな!!』
ゴウッと口から吐息のように炎を漏らし、ドラゴンを睨み付けて話すワイバーン。
ワイバーンは自由を求める幻獣のようで、ドラゴンが勤めている支配者制度を気に入らないと言う。
『それに、何だ? そこに居る人間と魔族は……? ジルニトラ。何でお前も人間の姿になっている? 前に貴様の側近に猿や豚に奇術師を加えたと思ったら……次は人間・魔族か……猿共は一応幻獣だから良しとしたが……人間・魔族などと協力する筋合いは無い……!!』
ワイバーンは言葉を続け、レイとシターを見て威嚇するように言い放つ。
翼を広げ、その風圧で大樹内に強風を起こすワイバーン。
鋭利な尾を張り、鷲の脚を足元の大樹に食い込ませる。
それによってピシピシと足元に音が伝わり、バキッと何かが折れる音が鳴る。
『ワイバーン……何故嫌悪を示す……人間・魔族も我々と同じ生き物では無いか……お前に何かした訳でも無かろうに……』
そんなワイバーンを見るドラゴンはため息を吐き、嫌悪を示すワイバーンに何故かと尋ねた。
ワイバーンは人や魔族によって苦しめられた事も無い。寧ろ、人間の国では旗などに使われる程待遇が良いのだ。
『ああ、人間・魔族は確かに我"には"何もしていない……だがな、貴様らは今までその場に存在するだけで我々の仲間を葬ったのだ……! 分かるか!? あらゆる伝記に書かれている筈だ、人間の英雄という小さな世界で持て囃されている者達を……!! そいつらは我らの棲み家に押し入り、街を開拓するという理由のみで我々龍の種族を狩り尽くした!!』
大きく吼え、口から炎を吐くワイバーン。その炎は直ぐにドラゴンが消し去り、レイとシターには当たらなかった。
『それだけじゃない……! 魔族もそうだ! 己の力を試したいという理由で龍族に挑む愚者共ッ!! 戦闘好きかどうかなどどうでも良い! 我々の種族を傷付けるなァ!!』
一歩前に出、レイとシターに敵意を剥き出した目で睨み付けるワイバーン。
そう、古来より龍という生き物は神と崇められ、悪魔と恐れられた。
それは圧倒的な力と存在感故に、それを葬る事で英雄を呼ばれ持て囃されている者も多い。
時に恩恵をもたらし、一挙一動で天災を起こす龍という者は、尊い存在なのだ。
にも拘わらず、太古に存在する龍の伝説という物は龍を殺して英雄となった者の話が多い。
つまりワイバーンは、勝手に崇めた挙げ句、勝手に殺すそれらを嘆き怒り好ましくない存在と考えているのだ。
『特にそこの娘……!!』
「……え? 私……?」
『ああ、そうだ。貴様だ……!』
鼻を動かし、ギロリとレイを睨み付けるワイバーンはレイの持つ勇者の剣に注目していた。
レイはそれに気付かず、何故自分の方を見るのか気に掛かる。
『貴様の持つその剣……その剣に我らの同士の匂いが染み付いている……古い物だが……貴様の先祖がそれ程龍の一族を狩ったという事だ……!!』
「……!」
レイは言われて剣を見やり、その柄に軽く触れる。
人間のレイは細かい匂いなど分からないが、ワイバーンがそう言うのなら確実にその匂いが付いているのだろう。
かつて世界を救った勇者だが、世界を救うに当たって多くの生き物を葬った事だろう。その残り臭が剣に付いていたのだ。
『さっさと帰って貰おうか……我々の街は我で護る。貴様らの手助けなど必要無い!!』
『……。聞く耳無しか……』
口を大きく開け、ドラゴン、レイ、シター、ジルニトラに向けて叫ぶワイバーン。
同族を殺された怒りというモノは、それ程凄まじいモノなのだ。
『しかし、幾らお前でも一匹でこの街を護れる訳が無いだろう……敵はお前が思うより更に強大だぞ……!!』
何とかワイバーンを説得しようと試みるドラゴン。
しかしワイバーンは素知らぬ顔をしており、辺りには重い空気が漂っていた。
『……貴様らにもう話は無い……ドラゴン。貴様一匹ならば聞いても良かったが、そのように人間・魔族や側近に部下を連れられていては聞く気にもならぬ。さっさと帰れと言っとろうがッ!!』
『そう敵意を剥き出しにするな!!』
──その刹那、ワイバーンは口を開いて灼熱の轟炎を吐き、それを見たドラゴンが己の炎でその炎を消し去った。
ぶつかり合った炎は辺りに消散し、大樹内を高熱で埋めた。
大樹に炎は燃え移らずに事なきを得たが、ワイバーンの気は変わらなさそうである。
『……ッ……流石の炎だなドラゴン……我の炎より圧倒的に強い……! 我は貴様らが来た時から炎を練っていたが……即席の炎で打ち消された……!!』
『……』
己の炎を消されたワイバーンは目を見開き、ドラゴンを称えるように言った。
しかし、その内心は穏やかでは無いという事が外からでもハッキリと分かる程態度に出ている。
ワイバーンは苛立ちが募り、足元の樹を砕く。
『貴様は何故、そのような力を持ちつつ人間・魔族の作った規則に従う!? 貴様は何故! 龍族の誇りを捨てたッ!?』
『俺は誇りを捨ててはいない!!』
『……ッ!』
一喝。ドラゴンが言い、ワイバーンは口を紡ぐ。
良くも悪くも高い誇りを持ち、己の力に自信を持つワイバーン。
しかしワイバーンは、同じ種族にして若い自分よりも衰えている老体を抱えながら、己を超える力を持つドラゴンに嫉妬していた。
そして、力があるにも拘わらず規則に従うドラゴンに対しての苛付きがあった。
「ほらほら……喧嘩をしていたんじゃ……『侵略者によってこの街も落とされる』わよ……ドラゴンさんにワイバーンさん……?」
『『…………!?』』
「「「…………!?」」」
『『『『…………!?』』』』
その時、ドラゴンとワイバーンの間に入る、二匹に向けて不敵な笑みを浮かべている者が突然現れた。
「『約束通り私たちを案内してくれてありがとうね♪』ドラゴンさん♪」
『……!? な、何を!? 貴様は!?』
その者は、さもドラゴンが自分"たち"を案内してくれたような口振りで言い、相も変わらず不敵な笑みを浮かべている。
それと同時に大樹内へ『巨大な槍魔術』が放たれた。
槍魔術から創られた槍によって大樹内に居た幻獣たちが数十体貫かれ、身体に深い傷を負う。
「ご紹介遅れました、ワイバーンさん……私の名前はマギア・セーレ……『ドラゴン様の命令により』貴方達を駆逐しに参りました……」
『……何ッ!?』
突然現れたその者──マギア・セーレ。
ヴァイス達の幹部にして、高レベルの魔術を扱う魔術師。
『貴様ドラゴン!! そこまで落ちぶれたのか!? まさか敵の組織に内部情報を漏らすとは……!!』
それを聞いたワイバーンは更に怒り、ドラゴンに向けて叫ぶように言葉を発する。
その怒りは底知れず、目を充血させる程だった。
『待て!! 違う!! 俺は決して仲間を売る訳が無い!!』
『この状況を見てもか!? 貴様が平和を乱したのだ!! だったら今此処で、貴様を殺して我が幻獣の国の秩序を正す!!』
口を広げ、大きく呼吸をして灼熱の轟炎を放つワイバーン。
それによって大樹のこの部屋は焼け落ち、辺り一帯に火の手が回る。
「……! 危ない、皆! 私の周りに来て!!」
それを見たシターはレイやジルニトラ、その他部下兵士たちを自分の周りに集めた。
そしてシターは外から来る槍魔術の槍や、回り来る火の手に向け、
「"全体の盾"!!」
己の盾魔術を使い、レイやジルニトラに部下兵士たちを包み込む。
それによって外から放たれた槍は防がれ、ワイバーンの放った炎はレイたちに行かなかった。
『死ねェ!! 我が国にして幻獣の王、ドラゴンよッ!!』
『違うと言っとろうがッ!! 何故貴様は話も聞かずに先急ぐ!!』
『聞く必要が無いと判断したまでだッ!!』
『お前とは戦いたく無い!!』
ワイバーンが口から炎を放ち、ドラゴンも炎を吐いてその炎を防ぐ。凄まじい熱量は辺りに散乱し、大樹全体を大火事にした。
突如として侵略者一行が現れたこの状況、ドラゴンはワイバーンを相手取り、レイ、シター、ジルニトラは辺りを見渡して次の行動を進めるのだった。




