百六十八話 ライの提案
──"マレカ・アースィマ"・貴賓室。
牢獄での騒動が終わり、"マレカ・アースィマ"にて頻繁に利用している貴賓室に入ったライ、レイ、エマ、フォンセ、リヤン、キュリテの六人とブラック、サイフ、ラビア、シターの四人。そしてこの街の王であるマルスと王妹のヴィネラ。
その者たちが貴賓室に集まっていた。
「皆さん……無事でしたか……!」
ライたちが貴賓室に入るや否や、心配そうな表情をしたマルスがライたちに駆け寄って来る。
因みに、マルスやヴィネラのような戦い慣れていない者は兵士達の介抱やヴァイス達の素性調査を行っていた。
「ああ、問題無ェぜ? マルス王」
「俺たちもな」
そんなマルスに返すのはブラックとライ。
問題無いという言葉に同意するよう、後ろではレイたちとサイフたちも頷いていた。
「……さて、取り敢えず此処に集まって貰ったのは他でも無い。俺たちの目的を話そうと思ってな? 勝負には勝ったし、それ以外にやる事も無いしな」
「…………」
「「「…………!」」」
「「…………!」」
そんなブラックたちに向け、ライは考えていた事を話そうとする。
それを聞いたブラックとサイフ、ラビア、シター。そしてマルスとヴィネラが改めてライの方へ向き直った。
「先ず、この街を征服しないって話に嘘は無い。本当に征服つもりは無い。だからこうして再び話し合いの席を設けたんだからな」
先ずライは、改めて征服する意志が無い事を告げる。
話してから数時間しか経過していないが、より確実性を増させる為である。
「ああ、よォく分かってる。それで、テメェらはこの街に何をしようってんだ?」
ブラックはライの言葉を促し、ライはブラックたちに言葉を続けた。
「単刀直入に言おう、マルス君、ブラックたち。"マレカ・アースィマ"メンバーと俺たち侵略者で、『同盟を組まないか』?」
「……ほう?」
「「「……!」」」
「……同盟……!」
「……って何?」
ライの提案、"マレカ・アースィマ"のメンバーとライたち一行の同盟。
ブラックは楽しそうに笑い、サイフ、ラビア、シターはピクリと反応を示す。
そしてマルスが復唱し、ヴィネラが同盟とは何かを尋ねる。
「同盟って言うのは同じ目的の為に手を組むって事だよヴィネラ。……けど、この場合の同じ目的っていうのは……まさか世界征服ですか……? ライさん……!」
マルスはヴァイスに説明しつつ、ライの思考を推測して話す。
つまり、ライはマルスたちに世界征服の手を貸せと──
「……いや、世界征服は関係無いな。マルス君たちの力が使いたいのは別のところだ」
──言う訳では無く、別の用途があるので一時的に征服の代わりに"マレカ・アースィマ"と同盟を組むという事。
「……別のところ?」
そして、ライが言った"別のところ"という言葉が気に掛かり、それをライに尋ねる。
ライはマルスに向けて言葉を続けた。
「ああ、ヴァイス達の目的の方さ……」
「…………!!」
「「…………!」」
「「…………!」」
ライの言葉を聞き、マルスは肩を竦めて反応を示した。
ブラック、サイフ、ラビア、シターも反応しており、ライは話す。
「ヴァイス達の目的は幻獣・魔物を従え、人間・魔族を優れた者のみ残す事……。つまり、ゾフルやハリーフがあちら側についたという事は既にある程度手を回しているって事だ」
「……」
マルスはライの話を静聴しており、レイたちとブラックたちも静かに聞いていた。
「……で、俺が目を付けたのは最近新聞に書かれていた"幻獣の国・襲撃事件"。そしてヴァイスは去り際に"幻獣の国に用がある"……的な事を話していたとさ……」
「……! それなら……!」
ライの言葉を聞き、マルスは立ち上がり言った。
レイたちとブラックたちは何かを考えるような表情ではあるが意見はしていない。
マルスの方を見たライは頷いて返す。
「まあ、マルス君の思っている通り……十中八九、ヴァイス達は今現在……幻獣の国を襲撃しているだろうな」
幻獣の国襲撃。
昨日ライが通り過ぎ様に見た新聞に書かれていた記事。
ライは最初、何処かしらの愉快犯が行ったと思っていたが、ヴァイスと出会い、その話を聞いた瞬間に疑惑が確信へと変わった。
ヴァイスらは幻獣の国を襲撃しており、選別を始めていると。
「……で、此処で本題だ……。この後俺たちは魔族の国の支配者が居る場所へ向かう。そしてそこで支配者の街を征服するつもりでいる。そして、それが終わったら俺は幻獣の国へ行こうと考えている……」
「幻獣の国か……。……初耳だぞ……」
ライの話に苦笑を浮かべながら話すエマ。
ライがそれを目標にしていた事は知らなかったからだ。
しかし、苦笑を浮かべているが特に反論も無く、ライの言葉に身を委ねている様子なので否定はしないのだろう。
「ハハ、皆に教えていなかったよ。悪かったな」
ライは軽薄な笑みを浮かべながら軽く謝る。
そしてマルスたちの方に視線を戻し、更に続ける。
「そこで、だ。恐らくヴァイス達は既に軍隊を作り上げているだろうさ。ハリーフやゾフルが良い例だな。"ハルブ・アドゥ・マウラカ"の兵士達も従えていたし、幻獣・魔物も数体は配下にある筈だ。……だからこそ、この街と同盟を組んで俺たちが幻獣の国に攻める時ついでに幻獣の国を救おうって算段だ……」
ライがやろうとしている事、それは"マレカ・アースィマ"と手を組んで幻獣の国を襲撃しているであろうヴァイス達を叩くという事。
「……俺は別に良いが……それを行ったとしてこの街に何の利点があるんだ?」
そして、それを静聴していたブラックが笑みを浮かべながらライに尋ねる。
ブラックは良いらしいが、やはり幹部としてある程度の利点が無ければ色々と問題があるのだろう。
「そうだな。今、世界は四つの勢力によって分割されている……分かるだろ?」
「ああ、少なくともテメェよりはこの世で生き延びているからな……」
ライは四つの勢力──つまり支配者の事を話した。
無論の事それを知っているブラックは即答で返す。
「……で、今起こっているだろう騒動で……幻獣の国を手助けしたらどうなると思う?」
不敵な笑みを浮かべてブラックに告げるライ。
ブラックは「成る程」と呟き、口角を軽くつり上げて言葉を発する。
「幻獣の国に恩を売っておく事で、魔族の国と幻獣の国……その二国の友好関係を良く出来る……ってところか……」
つまりライは、幻獣の国へ手助けをすれば、幻獣の国から魔族の国へ悪いような扱いされる事は無いと考えていたのだ。
どの道ライも幻獣の国を征服するつもりだが、ヴァイス達の手から護り抜く事が出来れば反感を買う事も少なくなるだろう。
「ああ、そう言う事だな。ヴァイスは順調だと言っていた……って事は、幻獣の国は今ピンチって事。……つまり、幻獣の国に魔族の国にある街が一役買えば、今後魔族の国と幻獣の国同士で政治面や貿易面で利点が多くなると思う。……それに、俺が掲げる目標的にも仲の良くなる国が増えれば万々歳だからな」
ライの考えは征服しやすくする事だけでは無く、魔族の国と幻獣の国の関係が良くなる事で結果的に物事が良い方向へ行く可能性が高いと言う事。
実際、支配者同士で手を組む事が出来れば世界を手中に収めるのは容易では無いにしても幾分楽になる筈だ。
「ククク……確かに利点はあるな……。が、同盟ってのはこの街の兵士達や俺の部下達も戦いに繰り出されるって事だろ? 俺や俺の部下はまあ良いとして……"マレカ・アースィマ"の奴らはどうなるんだ?」
ブラックは、自分たちは戦闘好きだから構わないが、"マレカ・アースィマ"の者達は戦闘をどう思うかが気になった。
言ってしまえばブラックの部下兵と"マレカ・アースィマ"の護衛兵は大きな力の差がある。
幻獣の国にヴァイス達が攻めていたとして、"マレカ・アースィマ"の兵士がどこまで対処出来るのか気になったのだ。
「そうだな。……いや、"マレカ・アースィマ"の兵士達やアンタの部下である兵士達は『戦わなくても良い』」
「……何っ?」
「「「…………!」」」
ライが言い、ブラックが訝しげな表情で返す。それに反応するサイフ、ラビア、シター。
ライは軽い笑みを浮かべ、ブラックたちに言葉を続ける。
「まあ、元々俺たちはこの人数で魔族の国に攻め込んだからな。同盟と言っても、征服を終えた暁に政治面で力を貸して欲しいって事なんだ。同盟を結んでいたとなれば、実際に戦わなくても幻獣の国から評価が上がる。……何故か魔族の国は元々評判悪いんだよな……多分好戦的の性格が原因だろうけど……」
ライは征服した国の者達を纏める時に支配者の力を借りようと考えている。
ある程度は国を纏めている支配者とその幹部。それらの力を借りる事によって征服した後の世界の平穏を保とうとしているのだ。
要するに、ブラックたちが参加しなくとも魔族の国が幻獣の国に力を貸した事実が存在する事でその二つの国に友情? が芽生える可能性が高い。
そうなれば征服した後の世界を回す時、より効率的に魔族・幻獣を纏める事が出来るという事。
同盟したという事柄が残れば、それだけで魔族の国と幻獣の国の関係が良くなるのである。
「成る程な。つまり俺たちが手を下さずとも幻獣の国と良質な関係を結ぶ事が出来る。……だから、表面上だけ同盟を組んだ事にすれば俺たちが戦わなくても結果的に……って事か」
「ああ、悪くない提案だろ? アンタらが手を汚す事無く漁夫の利の恩恵を受ける事が出来る……それなりの権力者なら乗って来る筈だ。それに、もし上手く行かなくても俺たちが余計な事を言わなければ魔族の国に反感が向く事は無い……どうだ?」
ライは笑いながらブラックに話、メリットはあってもデメリットが無い事を告げた。
事実、それが成功すればライの思い描く通り、それよりも良い結果となるだろう。
それを告げ終え、ブラックに返答を促すライ。
「成る程。その通りだ……俺たちにデメリットが無くて世界の発展に繋がるならこれ以上は無い……世界の半分や財宝を貰うよりも良い事が多いな……」
「……だろ?」
ライの言葉を聞いて笑みを浮かべるブラックは少し考え、言葉を続けるように自分の意見を言った。
「……だがしかし、まあ……その提案には乗れないな……」
「……!」
ブラックの言葉にピクリと反応を示すライ。
ライの反応を一瞥し、ブラックは言葉を続けるように話す。
「その事だが、俺は許せねェよ……。自分が何もせずに漁夫の利だけを持っていく……ってのがな? 俺も俺で筋は通している。つまり俺たちと同盟を組みたいなら、俺たち全員を参加させろ。無論、戦いたくない奴を無理に戦わせようとはしない。兵士にも家族が居るからな?」
ピッと指を立てて笑いながら話すブラック。
そんなブラックの言葉に後ろのサイフたち三人も頷いていた。
「同盟って案は悪くねェ。……だからだ。だからこそ、俺たちも相応の事をしなきゃならねェんだよ。……つまるところ、何もしないってのは俺たちの性分に合わねェのさ」
曰く、何もせずに指を食わえて見ているだけでは本人たちが納得しないと言う。
好戦的な魔族ならではなのかブラックたちの性格故なのか定かでは無いが、黙っているのは性に合わないのだろう。
「けど、それでこの街の人々が苦しむ事もあるかもしれないんだぞ? ……『俺がこの同盟を組もうと思ったのは"親戚の街"である"マレカ・アースィマ"』に、無償で利益を与えようとしたり『マルス君の支持率を』…………あ」
「……何だと?」
「……何ですって?」
そしてライは思わず口を滑らせてしまい、その事に反応を示すブラックとマルス。
「……親戚の街……?」
「無償で利益……いえ、僕の支持率を……?」
その、ライが言った言葉をそのまま返すブラックとマルス。
ライは「あちゃー」と頭を掻き、困ったような表情になる。
「親戚の街ってどういう事だ? テメェの親戚がこの街に居るってか?」
「無償で僕たちに利益を与えて僕の支持率るとはどういう事ですか? つまり、僕が頼りない王だからその方法で支持率を上げようと?」
「……ああ、いや……そう言う訳じゃない」
ブラックとマルスに問い質され、アセアセと両手を動かしながら目を泳がせるライ。
親戚というのがバレたのは問題では無い。
マルスに無償で利益を与えようとしていた事が問題だったのだ。
それが意味する事はつまり、マルスの言うように頼りない王だから部外者が手助けする……という事になってしまう。
勿論マルスは街の人々から支持は高い。だから支持率は関係無いのだが、それをしようとしたライのお節介が問題だったのである。
「僕は、しっかりと王としてやっているつもりです! ですから、同盟と言う話ならこの街の資源を使ってくれて構いませんよ! 一つの街の王として、それなりの覚悟は心得ています!!」
「……!」
そして、マルスの言葉を聞いたライはハッとする。
ライは心の何処かでマルスの手助けをしたいと考えていた。
しかし、それはマルスからすれば小さな親切大きなお世話と言う事だった。
何故ならマルスは、一つの街を治める王なのにも拘わらず、年が近いライから下に見られている気がするのからである。
勿論ライは優劣を付けず、皆平等に接しているのだが……この年頃の少年はそういう事を嫌う。
ライ自身も自分が下に見られるのは気に食わない。要するに、誰かの手によって得た名声などマルスは欲しがらないのだ。
「そうだな。悪い、悪かったよマルス君。俺は何処かで君を年下扱いしていたみたいだ……同じくらいなのにな……」
それを考え、無粋な事をしたな。と謝るライ。
それは年の近いマルスを侮辱するような事だった。
デメリット無しで恩恵を授かる事が出来るのなら、殆どの者はホイホイと受け取って己の好きなように扱うだろう。
しかし、その程度の者達とまだ子供のマルスは違った。
マルスの場合は敢えて遠慮し、それを相手に有効活用出来るよう促すタイプの性格なのだ。
例えば宝を分けて貰うとしよう。その宝は五割五割か六割四割、七割三割その他諸々など様々だ。
それを受け取る時、マルスは相手の方に多く宝を分ける性格の魔族。
要するに、相手にも利点のある事を望む者という事である。
自分だけ得する事が出来れば良いという思考は無く、相手にも慈愛を分ける。俗に言う"良いやつ"という事。
心の狭い者からすれば都合の良いやつだが、マルスはそれを気にしない。
流石に妹や街の者が傷付けられれば怒りも沸くだろうが……それは当然なので置いておくとしよう。
「い、いえ……。僕も同盟の件は良い案だと思いました……しかし、僕自身が持つちっぽけなプライドがそれを許さないんです……」
そんなマルスは、ライが謝った言葉に対して自分がそう考えているだけと告げる。
ライはマルスの方を見やり、軽く笑って言葉を続けた。
「……ハハ、そうか。けど、マルス君や幹部……ブラックたちの事を考えずに安直な発言をしたのは事実だ。苦労せずに良い思いをするってのはマルス君たちからすればモヤモヤする事だろうし……我ながら自分勝手な発言だったよ……」
「いえ……そんな……」
「俺は別に気にしねェが……マルス王とテメェが親戚だったとはな……。その事の方が驚きだ」
ライの言葉に慌てて返すマルスとライ、マルスを見ながら話すブラック。
ブラックの言葉にライはピクリと反応し、ブラックに向けて言葉を発する。
「今、俺とマルス君が親戚って……? マルス君と誰かが親戚って意味で……"俺の親戚"とは言っていない筈だが……何処で気付いた?」
そう、ライとマルスが親戚という事はレイ、エマ、フォンセ、リヤン、キュリテの五人にしか言っていない事だった。
それを言い当てたブラックに驚嘆したのである。
「そうだなァ……先ずマルス王が名乗った時。明らかに大きな反応を示していた。……まあ、それだけ見りゃマルス王の名前に何か因縁があるって分かる」
先ずブラックが話したのはマルスがライたちに名乗った時、ライたちが見せた反応。
たかが名前で彼処まで反応するという事に違和感を覚えたのだ。
「……で、次にこの同盟話。征服じゃなくて同盟を結ぶって事はまあおかしくねェ。……だが、何でわざわざ同盟を結ぼうって考えてんだ? って話だ。普通に征服すりゃ、この街はテメェらのモノ……だから別に同盟を結ばなくてもテメェが言えばテメェが征服した街はテメェに協力しなくちゃならねェ。それを望もうと望まなかろうと……な。要するに、わざわざ同盟という形で対等な位置に立とうとするってのは普通に考えりゃ親戚だったり何かしらの縁があると推測したんだよ」
つまり、ライが言った"同盟"という言葉からブラックはライとマルスの関係を推測したという事。
ブラックの言うように、ライたちは魔族の国にある街をこれまで五つ征服している。
なので、それらの街に命令すれば協力してくれるのだ。
幹部の収める街を征服したという事で、現在の力関係は"ライ>幹部"になっているからである。
「まあそんなところだな。俺がマルス王とテメェは親戚と見抜いたのは……。何故テメェなのかって言うと……一番反応が大きかったから……くらいだけどな?」
これにてブラックの推理ショーは終了する。
ブラックの推理は的確でライがマルスと親戚という事も暴いたのだ。
「ハハ、流石幹部……ただの戦闘好きって訳じゃないか。……正解だ。俺はマルス君の遠くて近い親戚さ……」
ライは苦笑を浮かべながらブラックに返した。
特に隠す必要も無いので、魔王の事は伏せつつライは言った。そしてそのままマルスの方に向き直り……。
「じゃ、次は……改めて聞くよ……マルス君……いや、マルス王。俺たちと同盟は組むのか組まないのか……を「その案、乗りましょう」…………え?」
ライの言葉に、マルスは即答だった。
その早さに思わず素っ頓狂な声を上げるライ。
先程のマルスの口振りから、マルス本人は良い提案とは思っていた。が、少し考えそうな雰囲気もあったのでライは以外だったのだ。
「……しかし、一つ条件があります。……それは僕たちの街、"マレカ・アースィマ"の面々もライさんたちへ力を貸す事。ブラックさんの言うように戦いたくない者は戦わないにしても、僕たちはライさんたちに力を貸すという事です!」
マルスの挙げた条件。それは"マレカ・アースィマ"と同盟を結ぶのなら全面的に協力させて欲しいとの事。
世界征服に協力するという訳では無いが……もしも幻獣の国で、本当にヴァイス達の襲撃が行われていた場合に手を貸すという事だ。
「……オーケー。幻獣の国に行く時マルス王たちの"マレカ・アースィマ"に協力を要請する。これにて同盟完了、交渉成立だ!」
ライは立ち上がり、マルスの元に近付いて手を差し出した。
「……はい。国同士の関係が良好になるのなら、それ以上ありませんからね!」
その手を握り、立ち上がるマルス。
マルスはライを見、ライはマルスを見、同じ目線で会話する。
これにてライ、レイ、エマ、フォンセ、リヤン、キュリテたち六人は"マレカ・アースィマ"との同盟を済ませた。