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元・魔王と行く異世界征服旅  作者: 天空海濶
第一章 魔王の力
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十三話 奴隷vs怪物

 街へ着く頃には日が昇っていた。

 何事も無く街へ辿り着いたライ一行。

 森を通ったからこそ一日で街に辿り着けたが、通常ならば二、三日以上掛かっていただろう。ライたちはつくづく運が良いらしい。

 しかし運だけではなく実力も備えたからこそだ。

 森には危険な幻獣や魔物が居るので、戦闘をしない普通の人では通ることも出来なかった筈だ。


「着いたな……」

「随分と早かったね」

「まあ、森を通ったからな」


 その街は最初の街より数倍も広く、活気が溢れており、賑やかな都会だった。

 一見は明るく楽しげな雰囲気だが、裏路地の方に視線をやると、──死んでそのまま放棄された奴隷や、路上で生活をしている人が居た。

 表通りもよく見れば、奴隷を連れた貴族風の者もおり、黒い部分も鮮明に見える、裏と表がハッキリとした街だった。


「……この街は奴隷制度が行われているらしいな……。よく見ると人だけじゃなく、魔族や幻獣も居る……」


「……うん」


「まあ、そういうものだろう。人の支配欲はヴァンパイアである私ですら嫌悪感を示すほどだ。この街で私やライの正体を明かしたら、直ぐ様兵隊などが駆け付けるだろうな」


 その街の黒い部分に目を通しながら、街中を歩くライ、レイ、エマの三人。

 因みにエマは森で見つけた大きな葉を傘代わりにしているので、日光の影響が少なかった。

 少し歩いていると、ある貼り紙が目に入る。

 その内容は──



『"闘技場からのお知らせ"


今日こんにちの正午、魔族出身の奴隷と、この街で育成した怪物モンスターの賭け戦闘を行います。


暇で暇で仕方がない王族や貴族の皆様、暇潰しに如何でしょうか?


お金を持っているならば、平民の皆様も如何でしょう。


          バルトナーレ街 "闘技場"』



「……これは……」


 ライはそれを見て呟く、この街の名は"バルトナーレ"というらしい。それはさておき、ライが最も気になったのは──『魔族出身の奴隷』の部分だ。

 魔族出身という事は、魔族の国から来た可能性が高いということになる。

 そして何より、自分と同種族の者が奴隷として戦闘を強いられる事が気になった。


「……行ってみよう……」


 気が付けば、ライは口走っていた。意識せずとも気になってしまうのが同種が居るかもしれないという事への興味なのだろう。

 そんな言葉を聞いたレイとエマはライへ何も言わず、頷いて返す。


「……そうだね。その奴隷が気になる……」

「良かろう。私も興味深い」


 まずは闘技場とやらに向かうことにしたライたち。恐らく目の前に見える巨大な建物がソレだろう。

 ライ、レイ、エマの三人は数分でその建物に辿り着くが、そのような見世物が行われる時間はまだらしいので闘技場内を見て回ることにした。

 そんなライたちは闘技場に入ろうとしたが、警備員らしき人物に止められる。


「すみません。闘技場に入るのならば入場料が必要となります。しかしまあ、入場料を払ってしまえば闘技場の外に出ない限りは自由に見て回れますので」


 どうやら入場料が必要らしい。

 まあ当たり前だろう。貼り紙にも、"お金を持っていれば"と書かれていた。

 ペルーダ騒動で得た持ち金は結構あるので、簡単に入る事ができたライたち三人。

 そんなライたちは、入る前に警備員から二つ注意される。


「奴隷や怪物達の檻には危険なので近寄らないようにしてください。……あと、まだ始まっていませんが……良いのですか?」


 らしい。

 ライたちもその事は承知していたので、軽く言葉を交わしてから闘技場に入るのだった。

 まずは指定席へと向かう。指定席は上の方で、割りと見渡しが良い場所だった。

 眼前にとてつもなく巨大な者でも居なければ、問題なく見れるだろう。

 そしてライたちは、次に闘技場内を散策する。

 闘技場内は広く、売店やトイレは勿論、飲食店や大広間に貴賓室きひんしつ、そして意外にも書庫などの部屋があった。

 ある程度の部屋を見て回った為、ライたちは書庫で開始時間を待つことにした。


「へえ。こんな本もあるのか……"国の成り立ち"・"世界の幻獣"・"英雄伝説"……ハハハ、此処なら幾らでも暇潰しができるじゃん」


 その本はライが見た事のない物が多く、好奇心旺盛である、ライの心をくすぐる代物だった。

 ライは興味津々で本を手に取り、次々とその文章を読み進めていく。


「ほう……? "人間の歴史"……か。フフフ……面白そうだ」


 少し探していたエマにも自分の気になる本があり、人間社会を詳しく知る為にその本を取る。


「あ、これで良いや」


 そんな二人を横目に、レイは適当な本を取り暇潰しに読見進めてゆく。

 そうこうしているうちにあっという間に正午へとなり、闘技場内にアナウンスが響き渡った。


《これより試合開始時刻になります。ご覧の方達は観客席へお越し下さい》


「よし、行ってみよう。魔族の奴隷が気になる」


「ええ」

「うむ」


 それと同時に本を棚に戻し、観客席へ歩みを進めるライたち。他の人々も闘技場へ向かっているようだ。

 そして、先程下見した席へと辿り着いた。

 ワアー! ワアー! と、鳴り止まない歓声が闘技場内を揺らすほど響き渡る。

 その激しさにライたちは圧倒された。


「凄い盛り上がりようだな……」

「う、うん……」

「フフフ、賑やかで良いじゃないか」


 これが奴隷と怪物の戦いじゃなければ楽しそうなのにな。と考えるライ。

 因みにエマはと言うと、日光対策に売店で日除ひよけ傘を買ったので自身がフラフラになるという事は無いだろう。

 そして門が開き、人影と巨大な影が姿を見せ、戦闘が開始される。


「…………」

『…………』



*****



 ワイワイザワザワと、熱気が冷め止まぬ闘技場。

 最初に出てきたのは人影の方だ。

 その人影はどうやら女性のようで、顔立ちは整っており、髪型は黒いショートだ。目の色は美しい黒で、特に変わった色という訳でもない。

 しかしその女性は、武器を持っていなかった。

 それだけではなく、防具すらマトモな物ではなかったのだ。言ってしまえばただの服である。

 その服は全体的に汚れた麻であり、奴隷ということもあってみすぼらしい格好をしているのだ。

 防御力が皆無に等しい服装でどうやって怪物を倒すのか、幾ら人間より身体能力が高い魔族とはいえ大変な事だろうと気に掛かる。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 無口で登場した魔族の奴隷と違い、雄叫びを上げて登場する怪物。そんな怪物の姿は、龍のようなワニのような、見た事のない姿だ。

 色んな幻獣や魔物を配合させて創り上げたのだろうか気になるところだが、思考する間も無く周りの人々は歓声を上げる。

 恐らくだが観客全員が、魔族の奴隷は死んでも構わないと思っているのだろう。

 人間にとっては忌み嫌われる存在の魔族。中には嫌っていない者も居るが、少なくとも此処の観客達は嫌っているのだろう。


《それでは試合を開始します》


 アナウンスの声と同時に、魔法で透明な壁が張られた。

 恐らく観客への被害が及ばないようにしているのだろう。魔法の壁ならばちょっとやそっとの衝撃では砕けないモノだ。

 そして闘技場全体に壁が張られたその刹那、怪物が咆哮を上げ、相手となる女性に向かう。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 大地を蹴り、その巨躯から想像できないほどの速度で女性に突進する怪物。


「…………」


 女性はその怪物をヒラリとかわし、怪物は何もない場所に激突して振り返る。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 怪物は吠えるのを止めず、振り返ると同時に再び女性に向かって駆け寄った。

 突進しか出来ないのだろうかと思った矢先、怪物が火炎を口から吐いて女性を狙った。


『ギャアァァァァァァ!!!』

「…………」


 女性はその炎も避け、怪物の吐いた炎は壁に当たって火の粉と共に散り行く。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 次に怪物は、粉塵を巻き上げながら跳躍し、勢いを付けて落下し、女性を潰そうと試みていた。

 巨躯の怪物、そんなモノに押し潰されてしまえば、ライからばまだしも、ライから見たら普通のこの女性は無事では済まないだろう。


「…………」


 女性は空にいる怪物に向け、そのてのひらかざした──その刹那、一筋の旋風が巻き起こり、闘技場内がざわつく現象が起こった。


『ギャ……? ギャアァ!?』


「「「「「…………なっ!?」」」」」


 ──怪物が、『空中で停止した』のだ。

 その現象を理解出来ぬ観客達のざわつく声が闘技場内に響き、何やら話しているような声も聞こえた。

 そんな観客達を横にライとエマは、何故怪物が止まったのかを即座に理解した。


「……"風魔法"……? いや、"風魔術"……? 分からないけど……つまりあの女性は、"魔法使い"か"魔術師"……!」


「……うむ。そのようじゃの。しかし、それにしてもかなりの威力がありそうな魔法・魔術だ……」


「……! 魔法使い・魔術師……!?」


 それはその女性が魔女、もしくは魔術師の一人という事。

 それを聞いたレイは復唱するように驚き、ライとエマはレイの言葉に頷いて返す。

 確かに魔法使いや魔術師ならば手を触れずに怪物を止めたのも頷ける。

 しかし、あの巨体を停止させるとなると膨大な力を必要とする筈、なのにあの女性は魔法陣などを描かず、片手をかざしただけで怪物を止めたのだ。

 その威力に驚愕の表情を見せるレイ。

 そしてその女性は、空中で停止させた怪物を透明な壁に吹き飛ばす。


『ギャア!!』


 次の瞬間、怪物は勢いよく壁に激突した。一瞬ビビった者も居たが、無論魔法の壁は砕けず何ともない。観客が驚いた理由は反射というやつなので仕方ないだろう。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 壁に叩き付けられた怪物は怒り狂って叫び声を上げ、魔法の壁を蹴り抜き、先程の倍以上の速度で女性に攻撃を仕掛ける。


「……」


 そんな怪物を前に女性は、手を軽く横へ薙ぐ。

 すると、『地面が反り上がった』。


『グギャア!?』


 今度は地面から出来た壁に激突し、悲鳴を上げる怪物。その衝撃で闘技場の中には土煙が舞い上がり、客席から闘技場内の様子が分からなくなる。

 そんな土煙が晴れ行く中、そんな反り上がった大地を見たエマはハッとする。


「まさか……。風だけじゃなく土まで操るのか……!?」

「え!?」


 それを聞き、何かおかしな事でもあるかのとエマの方を見て言葉に反応するレイだったが、エマが返す間もなく闘技場が更に賑やかになっていた。


「な、なんだあの奴隷!?」

「なんであんなレベルの奴が!?」

「お、俺……あの奴隷買おうかな……」

「本当に言っているのか? 確か……誰の言うことも聞かず、奴隷としての役割を果たさなかったから此処に送られたんだろ?」


 様々な意見が飛び交う闘技場内。当然だろう。ただの奴隷と思われていた、まだ童顔である一人の女性が怪物を圧倒しているのだから。

 ライ、レイ、エマが話、観客達が騒がしくなるそんな中、怪物の怒りはピークに達していた。


『ラ……グギ……ギャ、ギャ、ギャアアアァァァァァァァァ!!!!!!!』


 散々こけにされた怪物が我を失い、女性に向けて炎を吐きながら高速でぶつかりに行く。

 その怒りは凄まじく、その怪物が走るだけで闘技場の地面に地割れが起きる程だ。


「……」


 しかしそんな怪物を前にしても尚、その対象となっている女性は黙ったままだ。

 そして、今度は怪物が向かってくる正面にてのひらを向けた。


『ギャアアアァァァァァァァァ!!!』


 そんなものは気に留めず、怪物は真っ直ぐに女性へと向かう。大地の振動が壁越しに伝わり、怪物が女性の直ぐ近くまでやって来た──その刹那、


「……!」


 女性のてのひらから銃弾のような勢いで水が吹き出し、怪物を貫通した。


『ギャ……!』


 そんな水弾的確に怪物の急所を撃ち抜き、興奮状態の怪物を怯ませる。

 まだ絶命しない様子を見ると、この怪物の生命力は中々高いのだろう。


「今度は水……まさか……!」

「フフ、それは十分にありうるぞ」

「そうか。成る程……。もし次に……」


 それを見たレイは何かを思い呟き、その言葉にエマが返す。そんな話の横にて、ライは冷静に女性の様子を見続ける。


『ギャアァァァァァァ!!!』


 撃ち抜かれた怪物は接近戦では近付くことも出来ないと察したのか、先程とは比べ物にならない程の強大な轟炎を放出する。

 その炎は闘技場の空気と大地を揺らし、真っ直ぐ女性へと放たれた。


「……ハァッ!!」


 そして女性は初めて声を上げ、轟炎に向かって手を突き出す。それと同時に、直ぐ様掌てのひらへと熱が籠り、女性も炎を繰り出した。


『ギャアァァァァァァ!!!』


「……」


 怪物の出した轟炎は依然として周りを焦がしながら女性へ向かい、女性の炎も怪物へと向かう。そして次の瞬間、怪物の轟炎と女性の炎がぶつかり合った。

 その時、



 ──女性の炎が怪物の轟炎を……『消し去った』。



 炎によって炎が、『焼き消された』のだ。怪物はそのまま反応する間もなく焼かれて絶命した。

 風、土、水に引き続き、その女性は炎をも操る。それを確認したライは、疑惑が確信に変わった。


「やっぱりだ。あの女性は……"四大エレメント"の全てを操る……!」


「……!!」


「……」



 ライの言葉に、まずはレイが驚き、その次にエマが無言で頷く。



 ──"四大エレメント"とは、"四元素"とも言い、魔力によって創られる"火"・"水"・"風"・"土"を表す名称だ。

 それは魔力のみならず、それら"火"・"水"・"風"・"土"の四属性によって世界は構成されている。と考える思想でもある。



 ライの世界に居る魔法使いや魔術師は、他の属性もあるが、主に四大エレメントを主体とした属性を扱う。

 魔法使い・魔術師らは、一つの属性を強化して戦闘したり、生活に役立てるのだ。

 しかし、あの女性は全ての元素を操る。

 要するに、一人の魔法使いや魔術師が厳しい修行をしてようやく一つだけ得ることの出来るモノを、この女性は容易く扱えるということだ。

 大歓声が鳴り止まぬ中、あの女性に秘められた凄まじい才能を犇々(ひしひし)と感じるライ。

 ふと見ると、──女性がライの方向を見ていた。


「……」


「……!?」


 ジーっと女性によって見つめられるライ。

 自意識過剰や、気のせい。──というのではなく、明らかに女性はライの方を意識して見ているのだ。ライの座る場所と女性の居る場所は距離にして数百メートル。その高さから、決して近くは無いのだがそれでも確かに女性はライの方を見ていた。

 その視線に驚くライの様子を見、気に掛かったレイが聞く。


「……? どうしたの、ライ?」


「あ、いや……あの女性さ……此方こっちの方を見てない?」


 ライは戸惑いながら女性に指を差し、小声で話す。それを言われ、レイとエマは闘技場に居る女性の方を見やった。


「……確かに……そんな気もする……」


「うむ……。まばたき一つせずに見ておるな」


 だろ? と、視線で言うライ。レイとエマも頷いて納得する。やはり二人の意見からも女性は此方を見ているのだろう。

 ──そんな事を考えていた次の瞬間、闘技場の女性が此方こちらに手をかざした。


「「「…………は?」」」


 ライ、レイ、エマの三人は同時に素っ頓狂な声が漏れ、少し考えたあとに、女性の意図に気付く。


「……!! や、ヤバイ!! 気を付けろ! あの女性、此方こっちを狙っているぞ!!」


「な、なんだってぇ!?」

「本当だ! よく見たら狙っている!!」

「で、でも……壁が張ってあるし……」


 ライが声を上げ、周りの観客が騒ぐ。

 そう、その女性はライの方へ向け、魔法・魔術のいずれかである四大エレメントを放とうとしていたのだ。

 しかし一人の客が言ったように、先程透明な壁が張られたので、大丈夫だろ? 的な考えの人が多い。


 ──しかし、その考えは大外れだったことに気付くのに、そう時間は掛からなかった。


「…………」


 その刹那、手をかざしていた女性がその手を軽く振るう。そして、それと同時に闘技場の地面が鋭利な形になり──


「……ハァッ!!」


 ──振るった手を前に突き出し、女性の創り出した鋭利な地面が勢いを付けてやって来たのだ。

 それを受け、ガラスが割れるように崩れる壁。それを見た楽観的な観客達は、全員が蒼白した。


「うわああああ!! 壁が破られた!!」

「分かったぞ! アイツは楽しんでいた俺達を殺そうとしているんだ!」

「ま、まずい!! このままじゃ俺達も死ぬぞ!!」

「ぜ、全員……逃げろォォォォ!!!」


 砕かれた魔法の壁を見、蜘蛛の子を散らすように一斉に駆け出す観客達。

 やはり命が惜しいのだろう。生物としては当然の行動である。そんな騒ぎを聞き付け、闘技場の兵隊も出動する。

 アナウンスからも逃げるように指示されていた。

 ドタバタと一気に騒がしくなる闘技場内、最早もはやライ、レイ、エマと魔族の女性しかその場には居なかった。


「……」


 鋭利な地面を消し去り、ライたちの元へ跳躍して近付く女性。

 ライたちは警戒を高めて女性へと尋ねる。


「……何者だ? アンタ……」

「……私たちに何か用があるの……?」

「フフフ……随分と派手にやったじゃないか」


「…………」


 尋ねたライの質問に答えない女性。そんな無言の空間が続く中、ふと魔王(元)が気になる事を言う。


【……何か、俺はコイツを知っている気がするぜ?】


(何っ? 知っているだと?)


 そんな魔王(元)の言葉に聞き返すライ。魔王(元)の言った言葉は、ライとってかなり気になる事だった。そんな魔王(元)は、考えるように言葉を続ける。


【いや、会った事もねえし、見た事もねえ……けど、何か知っている】


(はあ? どういう事だよ。それ)


 ライは魔王(元)の言っている事が矛盾しているのが気に掛かる。

 "知っている"のに、"見た事ない"。この言葉の意味が分からなかった。

 ライは魔王(元)と話しているので、はたから見たら黙っているだけだろう。

 レイとエマはそんなライの様子から、ただ女性の返事を待っているだけかと思っていた。

 ライと魔王(元)が話す中、女性がライに話す。


「お前……『魔王を宿している』な……?」


「……!!」


「「……な!?」」


 女性の言葉に大きな反応を示すライ。

 レイとエマも女性の言ったことに反応し、信じられないような顔付きだ。

 しかし、ライの反応を見てただならぬ事態ということは理解できた。



 闘技場が兵隊に囲まれ、ライたちも包囲されたのは、これから直ぐの事だった。

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