プロローグ
プロローグです。
初投稿となります。皆様の暇潰しにでもなれば幸いです。
よろしくお願いいたします。
──昔、昔、世界が"魔王"に支配されていた頃、とある田舎の村から一人の少年が王国に招待され、"勇者"として魔王討伐の旅に出ました。
"勇者"は街、村、森の中、加えて海の中にまで進み、人々が抱える悩みや魔物による被害から人々や幻獣を救い出しました。
戦って、戦って、ずっと一人で孤独に戦い続けた"勇者"は、剣一つで国々を支配する魔王の部下や、悪の幻獣……そしてついには、世界を滅ぼす力を持つ"魔王"までも倒しました。
"魔王"を倒し、王や、世界中の人々に感謝、祝福された勇者。
それから王の娘を妻に貰い、幸せな家庭を築きました。
その日々は楽しくて楽しくて、とても幸福な日々でした。
しかし勇者は、今までに起こった悪い出来事は全て"神"の仕業ということをある日突然、"神"によって知ってしまいます。
そしてその神は、勇者たちの住む世界に飽き、世界そのものを消し去ろうと考えました。
このままでは"魔王"を倒して築いた幸せが無くなってしまう。勇者は世界の為、人々や人以外の生き物の為──家族の為に再び剣を手に取ります。
そして聖域に乗り込んだ勇者は、自らを犠牲にして神を愛剣で滅ぼしました。
しかし神が亡き世界、それでは秩序が乱れてしまいます。
それを駄目だと考えた勇者は、責任を取る事も兼ねて自らが神と成り、愛する家族の元に戻る事をせずに永久にその場に留まる事にしました。
世界が本当に救われ、人々は歓喜の声を上げ、世界に平穏が訪れました。
ただ一人、勇者の妻を除いて……。
勇者の妻は勇者を待ち続けます。帰ってくることが無いと信じられず、しかし子供たちも直ぐに成長するのです。妻は勇者を待つのを止め、子育てに専念しました。勇者以外の男性を夫にせず。
世界は勇者に救われ、しかし勇者はいなくなり、世界の平穏と秩序を引き換えに今も聖域で世界を、私たちを見守ってくれていることでしょう。──
*****
「──おしまい。今の世界があるのは数千年前に勇者様が自らと引き換えに世界を救ってくれたからなのですよ」
「へー! すごいなあ勇者って! ぼくも将来勇者になる!!」
一人の老婆が少年に話していた。
その場所は小さな家。そこにはパチパチと燃える暖炉があり、老婆はロッキングチェアに座って少年は老婆に膝に肘を置いている。
どうやらこの二人は祖母と孫のようだ。
少年の名は──『ライ・セイブル』。
ライは勇者の話を聞き、キラキラと純粋な目を輝かせていた。
そんなライを見た祖母は笑って言う。
「ホホホ……勇者になる。ねぇ……今の世界じゃ勇者が居ても居なくても変わらないかもねえ……なんせ、幻獣や魔物は殆どが人に支配されて、その人ですら権力者しか良い思いをしなくて、争いしか起こさないからねえ。……まあ、人のみならず、他の生物も似たようなモノなのかもしれないねえ」
「えー! 勇者になりたいよぉ……。そしてこの世界のえっと……きゅーせーしゅ? になってみたいのにい……」
祖母の話を聞き、勇者は必要の無いモノと言われたライはガッカリしたように肩を落とす。
そんなライを見た祖母はホホホと笑い、ライの頭を撫でる。
和やかな雰囲気が流れる中、それは突然やって来た。
──次の瞬間、バタンと家の扉を荒々しく開ける音が聞こえる。
「!?」
「…………」
ライは急に響いた音に驚き肩を竦ませ、祖母はそちらを見て黙り込む。
「遂に突き止めたぞ!! 王がお呼びだ!! 着いてこい!!」
そこからは鉄の鎧を着用し、槍を掲げた兵隊らしき者達がぞろぞろと家に上がり込み、ライと祖母を包囲した。
「ヒッ……!」
「おやおや、人の家に勝手に上がり込んでその言いようはないさねえ……」
祖母はライを庇うように手を広げ、その兵隊を見たライは祖母の腕に掴まって怯える。まだ子供のライ。ライからすれば大きな存在である大人が荒々しく家に入り込むのは恐怖だろう。
そんなライを無視し、兵士達はお構い無しとばかりに言葉を続ける。
「抜かせ老いぼれが! 貴様に逮捕状が出ている! 何故かは理解している筈だ! さっさと着いてこい!」
「……」
「え、おばあちゃん……逮捕って……おばあちゃんは何も悪い事していないよ!」
兵隊の言葉を聞いたライは祖母の腕に掴まり、罪を犯していないと告げる。
しかし兵隊の目は冷たかった。
祖母は仕方なく「よっこらしょ」と兵士の言葉通りに悪い足腰を動かして立ち上がる。
このまま此処に兵隊を残した場合、ライに多大なる迷惑が掛かってしまう。祖母は恐らく、ライに迷惑を掛けたくないのだろう。
「え!? 嫌だよぉ!! 行かないで!! おばあちゃん!!」
「邪魔をするな! クソガキ!」
ライは立ち上がり、祖母に向かって走る。しかし兵士の一人がそんなライの頭を槍の柄で殴った。
ライは勢いで後ろに飛ばされ、棚にぶつかり食器は落ち、頭を打って頭からは鮮血が流れる。
「うわあああん!! 痛いよお!!」
「本来ならお前に逮捕状が出ていてもおかしくないんだ!! 身の程を知れ!! 穢らわしい愚民が!!」
ライは泣き叫ぶ。
しかしそんな事を気に止めない二人の兵士に阻まれて動けない。
祖母は何とかライに近付きたがっていたが、近付かせて貰えない。
ライは連れていかれる祖母後ろ姿をただ見るしかなかった。
「うわああああああん!!!」
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