表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

切り捨てた爪のそれはあなたなのでしょうか?それともただの爪なのでしょうか

「姉じゃなければ結婚できるのに」

 目の中で渦を描きながら弟は嘆いたものだった

 嗚呼、シスコンだった


「良い色だろ、姉さんの肌みたいだ」

 自ら染めたハンカチを頬ずりしていた

 嗚呼、シスコンだ


「もったいないから貰ったんだ」

 黒い束を愛おしそうに整えていた

 嗚呼、シスコンだ


「姉さんにとてもお似合いですね」

 蕩けた目で紹介していた恋人を見ていた

 アレ?シスコンでは無かった


 翌日、恋人は何者かに襲われた。

 鼻を削ぎ落とされたのだ

 私は逮捕されて裁判にかけられた

 弁護士の弟は私を無罪に導いた


「姉さん、いやマミが後少しで完成するんだよ」

 私の前には目を閉じた私がいた

 美容室で捨てた髪は肌色に染められた布の体に繋げられ

 フランケンシュタインのような繋ぎ目も肌色の糸で隠している


 私は弟の狂気を非難した


「僕は知っているよ。近親婚は駄目だってことは」

 弟は厚い刃のナイフを取り出して

「だから作った姉さんを、いやマミを」

 慈しむようにもう一人の私を見る

「でも鼻と目は再現できなかった」

 素早い動きで私を押し倒す。逃げられないように

「鼻は義兄さんから貰った」

 純粋な目で私を見ている

「だから」

 いや、私の瞳を見ているのだ

「分けてちょうだい。お姉ちゃん」


 それからのことです

 私の世界はいつも暗闇です

 でも、弟の笑顔だけは目に映るような気がします

 愛情溢れたその微笑みだけは何故か視界に映るのです


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ