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魔伝回廊  作者: 七薫
浅葱と出会い紡ぐ物語 序章
9/14

たまには真剣に考えることだってあるんだよ!

 門前に集まって巡察に出かける。

日中の、明るいうちは京の町も賑わいを見せ、お店も繁盛している。


「そいやぁ最近、長州訛りのあるやつをよく見かけんなぁ」


永倉組長が、辺りを見回しながらそういった。

長州藩・・・・・・攘夷思想の強い、危険な連中。

佐幕派の人間はそんなことをいうけれど、彼らには彼らの思想があって、この日ノ本を本気で思って戦っている。


僕たちと同じ。


ただ守るものが違うっていうだけの、人たち。

どうして同じ国の人たちが、争わなければならないんだろう。

どうして藩が違って、考え方が違うだけで斬り合わなければならないのだろう。

手と手を取り合って平和な日ノ本を、なんて、甘い考え方なのだろうか。



「最近長州の連中が京に集まっていると聞きます」

「何企んでんだぁ?あいつら」



ズキンズキン

心が痛む。


同じ人間が、血を流すのはなんだか違う気がするんだ。


『なんだか物騒ですね』


思わず、他人事のようにいってしまった。


永倉組長は、筋肉馬鹿のようにみえて実は頭がいい。

政治について結構詳しいのだ。


「まぁーおれたち新選組は、近藤さんや土方さんについてくんだ。どれだけ時代が変わろうと、それは変わらねぇよ」


そう言って笑った。


そんなことを話していたら、向こうから同じ浅葱の隊服が並んで歩いてくるのが見えた。


「おっ、十番組だ」


『原田組長たちですね!』


組長たちは藤堂組長と合わせてとても仲がいい。

影じゃ三馬鹿なんて呼ばれているらしいけど。


「おー、なんかかわったことはあったか?」


「まあいつもどおりだけどよ、変わったっちゃー長州の連中をよく見かけるようになったことくらいか」


「なんでも池田屋に集まって何かを企ててるらしい」

「近いうちになんか動きがありそうだな、一応土方さんの耳にも入れとくか」


そういって帰路に着こうとした・・・・・・その時、



「新撰組!平間の敵!とらせてもらうぞ!」


そう言って、浪士三名が刀を向けてきた。


平間・・・・・・新選組が、斬りかかってきた浪士に応戦して切り捨てた男。

そして見せしめと言わんばかりに路地に遺体を放置したらしい。


平隊士の神崎くんが耳打ちしてくれた。


新撰組の掟は敵と一体一で切り合うことなかれ。

「おまえら馬鹿だねぇ、たった三人で俺らに挑んできたのか」

「だが、その心意気は認めてやる!おまえら手加減無用!戦力削ぎ落として捉えろ!無理っぽかったら斬り捨てろ!」


永倉組長は、時に残酷なことをいう。

そして、乱闘が始まって、でも結果は見えていた。


新撰組:負傷者なし 浪士:三人中二人死亡、一人捕縛


捕縛した一人も結局切腹させられたらしいが。

ということは、新選組にとって必要な情報を彼は持っていなかったということ。



『なんだかなぁ・・・・・・』


一部終始を聞いて、ほんとうにこんなやり方でいいのだろうかと思った。

まあ、新撰組の判断に口を挟める立場ではないんだけど。


「なんだ、苑流。思いつめた顔してるな」

『あ、土方さん』


「俺らのやり方、気に入らねえか」


土方さんは僕の心はお見通しだった。

「新撰組の敵になるやつは誰であろうと斬る。それが人間でも、魔物でも」


土方さんには土方さんの考えがあって、その志のために戦っている。

『気に入らなくなんて、ないです』

「お前も、俺らを裏切るようなら斬っちまうぞ」


『覚悟、できましたから。僕は新撰組を裏切らないし、この日ノ本の行く末を新撰組とともにみてみたい、だから強くなります。ぼく』


今まで、陰陽師としてしか、狭い視野でしか世間を見てなかったけれど。

もっと日ノ本について深く考えてみようとおもった。



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