身軽さを武器に撹乱戦法!
初めての稽古。
他の隊士がざわついている・・・・・・。
「よーし、苑流どっからでもかかってこい!!」
魔物伐倒組は隊内でも噂になっているらしく、今や注目の的だ。
『ちょっと待ってください、いきなり組長相手は無理です!』
組長の中でも、強いと言われている永倉組長。
そんな人と、いきなり戦えるわけがない。
「なーにもったいぶってんだよ、本気でこい!」
新撰組の稽古は、剣術の稽古では珍しい木刀を使った稽古。
それは、新撰組の幹部の人たちが剣客をしていたという、江戸の道場、試衛館で行っていたものらしい。
真剣と同じ重さの木刀。
『仕方ないか・・・・・・』
永倉組長は打ち込みが重く、激しい。
真っ向から挑んだら数分もしないうちに勝負がついてしまう。
――シュッ
タッタッタッタッタッ
『やあっ』
――カーンッ
勢いよく走り、後ろに回り込んで強く地を蹴り、強く振り下ろす。
「うぉっ」
―カンッシュンッカーンッ
身軽さと速さを武器に、ちょこまかと動き回る。
それが僕の戦法。
武士にとったら、相手の後ろに回り込むなんて卑怯なやり方なのかもしれない。
でも、僕は武士じゃないし。
「なかなかやるなぁ苑流!まだまだぁっ ふんっ」
―ズバッ
『うっ』
重くて、腕がしびれる。
さすが、場数を踏んでるだけあって気迫が違う。
『はぁっとぁっ!』
しばらく打ち合いを続け、永倉組長の刀身がやや上がったのを確認した。
その隙を狙い、組長の股をくぐり抜ける。
「ぬおおっ」
―シュンッカーンッ
『あっ・・・・・・』
回り込んで、組長の体制が崩れたから首元に打ち込んだけど、やっぱり防がれて木刀を弾き飛ばされた。
「一本!勝負あり」
いつの間にか、観衆ができていて、土方副長が終わりの合図をさけんだ。
「ふぅっ最後のはちとやばかったぜー!さすが、やるなぁ苑流!」
『うぅ・・・・・・やっぱり負けたぁ・・・・・・!』
最初から、組長相手に勝てるとは思ってなかったけれど、それでもやっぱり悔しい。
「ねぇ、なに新八さん楽しそうなことやってるの?」
「おっ総司!いやぁー、苑流のやつ、なかなか強えな!」
柱のところに、一番組の沖田組長が腕を組んで立っていた。
その後ろには三番組の斎藤組長。
「先程の勝負を見せてもらった。貴様の剣はまっすぐだ。しかし、見たことのない流派だった。なんという流派だ?」
『斎藤組長・・・・・・流派はありません。僕が今までに出会った人たちから真似たもので、我流、になるんですかね・・・・・・』
その言葉に、沖田組長は目を輝かせていた。
「へぇ、我流であそこまで戦えるなんてやるね君。ねえ、僕と殺ろうよ」
ゾクッ
『ちょっと今日は遠慮しときます・・・・・・』
沖田組長、やろうの字が殺になってます。
「なーんだ、つまんないの」
「しかし、おめぇひょろい男に見えたが、いがいとやるんだな」
『土方副長、僕に失礼です』
確かに僕小さいし、細いし・・・・・・女子と間違われるけどさっ。
袴履いてるのに、男装してるって思われるんだよ、ひどいよね!?
「おら、もう飯の時間だ、さっさと飯くって巡察いってこい」
「「「『はーい』」」」
新撰組は、昼間は二組で巡察、死番と言われる夜の巡察は一組で交代制になっている。
今日は十番組、原田組長の組と僕ら二番組が巡察で藤堂組長の七番組が死番の日だ。
まあ、僕は魔物伐倒組だから、毎日死番なんだけどねっ
人数少ないから仕方ないか。