心強い面々、しかし協調性は無!
永倉組長、原田組長に屯所を案内してもらいながら、これまでの新撰組の話や幹部の話しを聞いたりしていた。
「そう言えば、苑流、お前夜間は魔物伐倒組組長だが、日中は別の組に入るらしいじゃねーか」
……な ん だ っ て!!
『ちょ、それかなり激務じゃないですか!新人をもっとやさしく扱ってくれないんですか?!』
魔物が京の都を徘徊するのは暮六つから明六つにかけて……てっきり、日中は休ませてもらえると思っていたのに……!
「悪いが、休ませてやれるほど新撰組も余裕ねーんだよなぁ」
そんなことを廊下で話していたら、後ろからちっこいのがやってきた。
「新ぱっつぁーんっ、苑流!見つけたぜー」
「お、平助。」
さっき、藤堂組長は土方副長に用事があるとかいってたっけ。
「土方さんが日中の組は苑流が入りたい組に入れってさー!ていうわけで、俺の組に入れよ!」
おいおい、いきなり勧誘ですか……。
『僕は別にどの組でも大丈夫ですが』
できれば、沖田さん?の組の一番組は嫌だ!
あのひと鬼畜そうだったし!
「あ?うるせーよ、平助の分際で!苑流は俺の組に決まってんだろ!なあ?」
いや、なあっていわれても困るよ永倉組長。
まああの時に、僕に刀向けた隊士を止めてくれたの、永倉組長だしなぁ。
一応命の恩人っていう形になるのかな?
『僕、永倉組長の組がいい』
そう言ったら、永倉組長はすごく喜んでくれて、逆に藤堂組長は悔しがっていた。
さっそく、報告をしに、土方さんの部屋へいった。
――スパンッ
「新八ィィイイイてめえ襖は静かに開けろって何度言えばわかるんだこの脳内筋肉馬鹿が!」
『ぶふっ』
脳内筋肉馬鹿……ぴったりすぎるよ土方さん!
確かにこの状況で勢いよく開ける必要はなかったな。
「すまねぇ土方さん!そんなことより「そんなことじゃねぇ」う・・・・・・苑流は二番組にもらうことになったからよ!」
「あぁ?……意外だったな。まあいい、じゃあ新八しっかり業務教え込めよ。ちょうどいい、各組から集めた7名の魔物伐倒組の隊士を紹介する…入れ」
すると、反対の襖からぞろぞろと隊士が入ってきた。
「俺は一番組の木沼染五郎と申します。よろしくお願いいたします、苑流組長」
「二番組、孝之介といいます」
「三番組の檜佐木連峰といいます。自分、苑流組長と同じく陰陽師の家系でして、安倍家ほどの正統派ではありませんが、多少、使えるかと」
ここでまさかの、陰陽師が現れた。
新撰組にも、同族がいたんだ……。
「四番組の猿渡と申します、以後よろしくお願いいたします」
「私、この度魔物対峙のため新撰組預かりとなり申した朝倉と申します。会津藩士にございます、貴殿の噂は聞き及んでおりますので、この伐倒組が突破口になれば幸いでございます」
さすがに今回の事件を大きく見た幕府が、会津藩に要請をし、会津中将お預かりの新撰組に会津藩士が派遣されたという。
今後この藩士が幕府との連絡係になるという。
「監察方、紀炎と申します」
「幕府お抱え御庭番衆、望月でございます。特技は暗殺」
『それ、特技ちがう』
なんとも心強い面々が、集結した。
即戦力になりそうなのは、御庭番の望月と檜佐木くん、かな……
『陰陽師、安倍苑流と申します。よろしくお願いします!』
「新設されたばかりの組だから、きまりなんかはおまえらで決めてくれ、以上だ」
相変わらず土方さんは投げやり。
もしかしたら、幕府や会津藩から派遣された人材が、気に入らないのかもしれない。
土方さんは新撰組が大好きだから。
解散して見回したら、すでに監察方の子と御庭番はいませんでした。
『協調性とか、無に等しいよね……きっと』
すでに心が折れそうです。