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魔伝回廊  作者: 七薫
浅葱と出会い紡ぐ物語 序章
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土方さんの視線で心が折れそうです

 人斬り集団と名高い新撰組、僕はその屯所にいる。

腕をしっかりと縛られて……

これから、僕の処遇(しょぐう)について詮義(せんぎ)されるらしい。


「で、お前か……珍妙な術を使ってあの魔物を倒したという男は」


目の前で、すごく視線で人を殺せるんじゃないかってくらいのお兄さんが問いかける。この人の名前は、新撰組副長の土方歳三さんというらしい。

噂に名高い、鬼副長というのはこの人のことだろう。


うわぁん怖いよー。


『うぅ……珍妙な術じゃなくて、れっきとした陰陽師の術ですよ!僕の家、代々陰陽師で結構有名なお家柄なんです……』


陰陽師という単語に、人の良さそうな人と、笑顔がちょっと怖い男の人が反応した。平安時代にはかなり栄えたこの家柄。徳川が収めるこの時代、あまり世間に交わることはなくなっている。


「むっ、君の家は陰陽師なのか!?」


「これはこれは……珍しいですね。かつて平安の時代に名を馳せたあの陰陽師ですか……」



周りの人たちは阿呆面をしていた。

そりゃそうだ、だって平安を最期に、僕たちはできるだけ目立たないように生活してきたんだから、学のある人が文献を読んでしっている程度の認識だろう。


『僕の家は正統派の安倍(あべ)家、僕は安倍清明の末裔(まつえい)で、一族の中でも波動が一番強いんです。だから、今回、京の都を徘徊する魔物を滅しろっていう密命(みつめい)が朝廷から下ったんだ』


「ほぉ、朝廷からねえ……で、あの魔物は一体なんなんだ」


『わからないけど、たぶん操ってるのは、僕ら安倍家と敵対する道摩法師(どうまほうし)の仕業だとおもう……います……かつて、平安の世で、先祖様が遠くの地に追いやって、力を奪ったんですけど、何故か力取り戻して、今暴走しているんです。力取り戻した背後には誰か糸を引くものがいるって……じいちゃんが』


 平安の世で、陰陽師は正統派な者ばかりではなくて、各地に散らばって、暗殺とかに協力する闇陰陽師とかもいたって聞いたことがある。


安倍が清明さんの登場で急に力をつけたから、それを気に食わない連中もいたって。


「正直、新撰組も京の治安を守ると言いつつ、アイツ等の排除に手も足もでなかった……貴様が、俺らに力を貸すというのなら、俺たちもその、黒幕の情報収集に協力してやる」


 なんか……すごく上からなのがちょっと腹立つ……。

でも一人じゃどうしようもなかったし。


『協力してくれるんですか?』


「ああ」

「ふむ、では新撰組に入隊したまえ!」



あれ?なんだか話が面倒なことに…


『入隊、ですか。僕刀は使わないですよ』

「かまわん、して、お前の名は」


あ……自己紹介してなかった。


『失礼しました、陰陽師筆頭、安倍清明の末裔、安倍 苑流(えんりゅう)と申します。以後、よろしくお願い奉ります』


「苑流だな、ではさっそくだが、お前には魔物伐倒組(まものばっとうぐみ)の組長をしてもらう」


魔物伐倒組、なんでも最近作られた組らしい。


「各組から、闇討ちが得意な奴と、監察方を選抜する。詳しいことは明日追って話す。以上だ」



 そういって、土方さんはでていった。


「私は局長の近藤だ!よろしく頼むぞ、苑流くん!ああ、あともうひとり局長がいるんだが、今不在でな、また夜にでも紹介しよう。では」


……ひとつの組織に二人も局長がいるなんて……なんか変な組織だなぁ。



「山南と申します。ああ、申し訳ありません、君の腕のそれ、外していませんでしたね。……よっと、さあ取れましたよ、これから宜しくお願いしますね、苑流くん」


そういえば腕縛られっぱなしなこと忘れてたーっ!!!


土方さんの視線が怖すぎてそれどころじゃなかったよ!



「さて、じゃあ苑流、俺たちは自己紹介したからわかってるだろうが、後のやつらを紹介するぜ。まずはこの美少年、新撰組(うち)の特攻隊長、一番組組長沖田総司だ」


若そうな、細身の男性がこちらを見て優しい顔で微笑んだ。


「よろしく……苑流くんだっけ、僕のこと見て細身で弱そうとか、そういうことを思ったりしたらちょっとばかし痛い目見てもらうからそのつもりで、ね?」


前言撤回、この笑みは真っ黒だ。


「総司、新人を脅すな。じゃあ次はこの筋肉馬鹿は飛ばして三番組組長、斎藤一だ」


先程の、筋肉馬k(ry

永倉新八さんは二番組。


「斎藤一……わからないことがあれば聞くといい」


なんだか無口な人だなあ。

あれ……この人、右差しなんだ。


「四番組組長の松原忠司だ、よろしく」

強面なお兄さん。

でも人は良さそうだなぁ。


「五番組組長、武田観柳斎と申します」


武田さんは、綺麗系な人だと思った。

美意識高そう……


「じゃあ次は源さんだ、六番組組長、井上源三郎」

「どうぞよろしくお願いいたしますね、苑流君」

「源さんは試衛館の時からの仲間で、古株なんだ。いろんなこと知ってるからよ、源さんを頼れよ」


試衛館……どこかの道場かな?

源さん、あ、いや、井上さんも暖かそうな人。


「谷三十郎、私は七番組組長をさせていただいてます、よろしく」

「じゃー次は俺だな!!八番組組長、藤堂平助だ!!苑流ー、仲良くしようぜ!」


谷さんの自己紹介の後にすかさず、藤堂さんが名乗ってきた。

小さい、元気のいい子だなと思った。組長各の中では、圧倒的に若い。


「九番組組長、鈴木三樹三郎です」


物静かな感じの人。

「で、最後が俺、十番組だ」


自己紹介を済ませた人たちは、さっさと帰ってしまった。

残っているのは、永倉さん、藤堂さん、原田さん。


そのあと三人に、屯所の中を案内してもらった。


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