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魔伝回廊  作者: 七薫
浅葱と出会い紡ぐ物語 序章
2/14

~京と魔物と新撰組と~


 幕末、様々な思想や策略がうずまき、政権が揺れ動く混沌(こんとん)とした激動の時代。

倒幕派と佐幕派が攻防を繰り広げる中で、京の都には不穏な闇が蔓延(はびこ)っていた。

それは、妖怪のような類のものであったり、人に取り付く魔物であったり……。

普通の刀では斬ることのできぬソレは、瞬く間に京中を恐怖に陥れた。

暮六(くれむ)つ(18時頃)には戸を締めよ、出歩くば魂を喰われるぞ。

誰もが恐れ、幕府や朝廷ですらお手上げであった現状を打破したのは、まだ幼さの残る一人の少年だった。名前を、阿部 苑流(えんりゅう)と申す。

文献などで古くから伝わる、阿部。

陰陽師の阿部 清明の末裔だという苑流は、今回の事件を阿部に対抗する道摩法師(どうまほうし)といわれる一族の仕業であると考えていた。


道摩法師は、かつて清明がその邪悪な力を封印し、一族を追いやったという記録が残っている。しかし、先祖が追いやった道摩法師がこの幕末、再び力を取り戻したのは、何か裏で糸を引く人物がいるやもしれぬ。

祖父にそう言われて、苑流は江戸からはるばる京へと(おもむ)いて情報収集を始めた。

京について早々、薄暗い小路から悲鳴が聞こえてきた。

走ってその場所へと向かうがその場には既に先着がいる。

京に集まって幕府をよく思わない過激派の人間を捕縛している、人斬り集団新撰組。壬生狼(みぶろ)と呼ばれている、そんな連中が浅葱の羽織を(なび)かせて、魔物と退治をしていた。


 事の真実を知るため、首謀者を滅するため、苑流は京都守護職お預かりの彼らの元に飛び込み、協力を要請する。

魔物に手を拱いていた新撰組も、苑流の持つ不思議な力に助けられながら、ともに道摩法師を追い詰めていく。

池田屋事件、禁門の変、そして五稜郭の戦い。

新選組は榎本武揚(えのもと たけあき)とともに、品川沖から開陽丸を旗艦(きかん)に8隻の軍艦を率いて江戸を脱出し、蝦夷地に向かった。

途中仙台で会津戦争で敗走した伝習隊(でんしゅうたい)、旧新選組や彰義隊の残党を吸収し、北上、鷲ノ木に上陸し、各地を平定、五稜郭を攻略し、蝦夷共和国を作り上げる。

そして、ついに首謀者にたどり着く。


 首謀者である男は、安政の大獄で処刑されたはずの吉田松陰だった。

時代の荒波に揉まれながらも、闇に立ち向かい奔走する新撰組。

たどり着いた蝦夷の地で、新政府軍と戦う最中に現れた吉田松陰は、ぽつりぽつりと、今回の事を引き起こしたきっかけを語り始めた。

それは、革命を起こせなかったことの無念。

激しい戦いも、新政府軍勝利と共に終わりを告げ、新選組は松陰と共に北の大地に散った。

最期を見届けた苑流は、彼らの存在した証を、後世に語り継いでいく。


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