カタナの勇者と彼とわたし
わたし、ミュン・ホーエンツォレルンにはご主人様がいる。でも『ご主人様』って言うと微妙な顔をするし、あんまりしつこいと怒る。侍女みたいなことをすると変な顔をするし、『よ、夜のお相手は……?』と聞くと『もうちょっと育ってから来い』って顔をしかめる。なんか顔のことばっかりだけど、それはわたしが『ご主人様』ことアルアのことをよく見てるから。好きだから、というのもあるけど、ただ、ずっと見ていたいのだ、彼のことを。いつか、わたしが知っている、どんなすごい英雄よりもすごいことを成し遂げるような、そんな気がするから。それを、絶対に見逃したくないから。一番、近くで見ていたいから。だからわたしは、今日も彼についていく。
これは、奴隷に堕ちた少女と、変わり者の剣士が紡ぐ、新たな伝説の物語。
これは、奴隷に堕ちた少女と、変わり者の剣士が紡ぐ、新たな伝説の物語。