三話【静寂】
「なぁ、俺思ったんだけどさぁ?…これって、“異世界トリップ”じゃね?」
オタ友兼悪友である五十嵐康太が言った
…ちなみに、こいつはぺ…ロリコ…ちょっと性癖が人と違うくせに、納得いかないが成績トップである
「まさか、こんなパターン、ネット小説でも見ないぜ?異世界トリップっつったら人が異世界に行くだけで、土地ごととか読んだことねぇよ」
だって大概、ゲーム世界に放り出されるか、神様の登場か、勇者になってくれ、だぜ?ほかにもパターンはあるだろうが…なぁ
「それもそう、なんだが…でも丁度この街だけ切り離されるなんて、土地ごととしかかんがえれねぇだろ?」
「別にそんなんどっちでもいいでしょ。そんなこと言ってるからモテないのよ。アンタらは。」
委員長が割り込んできた
「「なっ…うっせぇ!それ言ったらてめぇだって彼氏「それ以上言ったら、わかってるわよね?」…はい」」
「…でも、どうなるんだろうな…」
俺はいつもなら笑い飛ばせそうなその言葉を、今日は笑えなかった
「ま、心配してもしゃあねぇか。次の指示まで待とうぜ」
全く、性格だけは、イケメンである…顔もイケメンだが
ガラガラガラッ
「えー、静かに。今から着替えを借りに行く。むこうの善意で貸出して頂けるんだ、失礼の無いようにな。では、行ってこい」
結局俺は、ストレッチの効いたジーパンと適当なTシャツ、上に羽織る茶色のコートを選んだ
女子に
「それ、ダサくない…?」
とか
「ちょっと、、えー…」
なんて言われたが、別にいいだろう…泣きたくなるが
もし、先生が言うとおり、わけのわからんことになってんなら
動きやすい服装のがいいだろうと思ったんだよ…
確かに、見た目はちょっと変だがな
「じゃ、戻るか」
学校まではせいぜい50mから100mといったところなのでまぁ、いいだろ
「おう、柳。他の奴らはどうした?」
ジジィだ
「あーっと、女子が選ぶのに手間取って、長くなりそうなので戻ってきました」
「わかった、が一応次からは気をつけとけよ。街の端のほうじゃ、獣も見られているらしからな。一応自衛隊が頑張ってくれているみたいだが」
「分かりました」
「ならいい。…おっと職員室いって水とロウソク、ライター運んどけ。いつ電気や水が切れるかわからないからな。それと、全員帰ってきたら布団取りにいけ。場所はー…保健室の扉の奥だったはずだ」
「了解です」
俺は職員室に向かった
職員室に行くと学年組クラスの印刷された紙の貼ってあるダンボールが並べてあった
紙には
水2L×10
ロウソク大×3
ライター×3
と書いてあった
「…水って、えー…」
確かに水って言ったけど流石に、えー…20kg+α…?
運動部だからって、職員室から教室?
階段がある上に、直線距離で100mは離れてるぜ?
ドスッ!!
っという音と共に水+αを下ろす
「あ゛ーーーー!!きっつ!ったく、こんなんなら女子達待った方が賢明だったぜ…」
と言って席にもたれかかる
「…、もし本当に、異世界なら、魔法とか無いんかなぁ…」
ふと、そう思った
まさか、まさかな?と思いつつも、つい…
『障壁』
ヴンッ
…父が書いているweb小説に出てくる詠唱の真似をしてしまった…
って、え?
「まじ…で?」