表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

きっときこえない

作者: 悠里

 血液の色を初めて知った。

 べっとりと掌についたソレを見る。赤というよりも、黒。とても綺麗とは言い難い液。



「…死んで、よ」



 リストカット。血管を無造作に切っていく、自殺行為。初めてそれをした。

 死にたいと思った。心底そう望んだ。行う勇気は、持ち合わせていなかった。

 カミソリを持つ手が震えてた。何度も何度も落とした。躊躇してしまった。死ぬのを。

 だから、刃を手首に当てるとき、深く深く、致命傷を与えることができなかった。



「死ね、死ね…っ」



 二回目のその行為には、及べなかった。

 恐怖や安堵や吐き気、それらでぐちゃぐちゃになったわたしの頭は、動いてはくれなかった。

 汚い血液。汚いわたし。生きていても、いらない存在なのに。

 ぼたぼたと、涙がフローリングの床を濡らす。

 今更、傷口がぎちぎちと痛み出す。

 もう片方の手で押さえたら、滑りとした触感。



「……死ぬの、怖いよ」



 だれか、たすけてよぉ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ