97 明るい未来
おはようございます!
なんとか最終話まで書くことが出来ました(ギリギリ)
100話完結です☆どうか最後までお付き合い下さいませ!
「あの、皆さんのこれまでの努力を疑うわけではないのですが……魔核の見た目が変わらないのでいまいち本当にタイムループしたのかが分からないんですよね……」
「ああ、そうですよね。この小さなサイズの魔核ならサラ様の御力は大体一回分しか込められていないのですが―――」
レイメイは言葉をきってタイムループした魔核をヤマトに手渡す。魔核を受け取ったヤマトは力を流して体内の魔素を吸収させた。
「私の身体の中の魔素はちゃんと減りました。この魔核はレイメイが力を使う前の状態に戻っています」
「本当に!?え、このタイムループ装置の仕組みはどうなっているのですか?」
疑うわけではないと言いつつサラはまだ半信半疑だ。なにせ見た目が変わらないのと悪魔にしか魔素の増減は確認出来ないので効果が分かりにくい。
そしてサラの疑問にはアーサーが答えてくれた。
「この装置のボタンを押すと時空が割れるほどの電気が魔核に流れるようになっているんだ。その衝撃で魔核は過去に飛び、力を内包した状態で戻ってくる」
「え……よく分からないのですが、そんな都合良く過去にいって戻って来られます…??」
「流す電気の量によって違う時空に行ったまま戻って来なかったり、遠くの過去に行き過ぎて力が込められていなかったりと調整の部分には本当に苦労した。
あと、電気を当てる角度によって戻って来なかった時もあって気が狂いそうなほど微調整したな」
「気が狂いそうなほど…」
遠い目をしてしみじみと語るアーサーを見るによっぽど大変だったのだろう。
サラが説明を聞いて思い浮かんだのは、最適な角度で最適な電流を流すと魔核が時空の中をブーメランのように移動して戻ってくるイメージだ。
「ただ、今のところ三十秒ほど前の過去にしか戻れない。だから力を使用したらすぐにタイムループさせる必要がある」
「ああ、だからさっきレイメイさんはすぐに装置を作動させていたのですね」
「ああ。そしてこの装置に組み込んだほとんどの魔道具は結界だ。時空が歪むほどの電気を受け止めるために相当な強度が必要となりこれほど大きくなってしまったが…これからの課題は小型化だな」
タイムループを実現させただけで十分偉業を達成していると思うが、アーサー達はまだまだ高みを目指すようだ。
「もう少し検証は必要ですが、このタイムループ装置があれば我々悪魔の未来は明るいです。サラ様、本当にありがとうございます」
レイメイが頭を下げると他の悪魔達も次々と深く頭を下げていく。何もしていないサラは彼らの行動に目を剥いた。
「えぇっ私ですか!?私は本当に何もしてませんけど!?この装置に使われている電気って魔術ですよね?むしろレイメイさん達が頑張ったんじゃ…」
「確かに細かい調整が永遠に終わらなくていっそのこと装置をぶっ壊してやりたくなりましたが…」
「ぶっ壊したく…」
レイメイ達も相当追い込まれていたようだ。
「ですが魔法と魔術の力を掛け合わせることでこうしてタイムループ装置は完成しました。……人間と協力して何かを作り上げる、こんな未来がくるなんて想像すらしたことがなかった。
私達悪魔と人間を繋げて下さったのはサラ様です」
「レイメイさん…」
「そうだな。サラが神に与えられた力ももちろんそうだが、人間と悪魔が手を取り合うことをずっと願って行動していた。俺達はそんなサラの気持ちに応えたいと思ったまで」
「アーサー様…」
これが神の望んだ結末なのかは分からない。けれど確かにこれはサラが見たかった光景に間違いなかった。
「皆さん…タイムループなんて無理難題を実現させて下さって本当にありがとうございます!!こんなに素敵なプレゼントは他にはありません!」
パチパチパチパチ!と温かい拍手に囲まれながら、サラは願いを叶えてくれた皆に向けてペコリと頭を下げる。するとアーサーにひょいと抱き上げられてしまう。
「まさかこれがプレゼントなわけがないだろう?」
「え?ですがさっきジャック様が言ってたみんなでまとめてって言うのはこの装置の完成のことなんじゃ…?」
「本当のプレゼントはこっちだ」
「?」
アーサーに連れて行かれたのは大ホールの横にある控え室。
ここにも前に一度入らせてもらったことがあるのだがその時に「広いなぁ」という感想を抱いた記憶があるのだが、今日アーサーが扉を開けて室内に足を踏み入れた時、サラはまず「なんか狭いな?」と思った。
それは物や箱がところ狭しと並べられているせいだった。さながら新居に引っ越ししたての段ボール開封前状態になっている。
しかしよく見ると美しい色の用紙に包まれた様々な形の箱のすべてにカラフルなリボンが巻かれていた。
他には両手でも抱えきないほどの花束、豪華な額縁に収まる絵画、クリスタルと宝石で出来たうさぎの置き物、もこもこのぬいぐるみ、重箱に入ったサラの好きなお菓子の詰め合わせ、大きい物だと細かな細工が施された全身用の姿見、ハイタイプのドレッサー、そして初めて見る魔道具などがいくつも置かれている。
「ま、まさか…これって……」
「あいつらからの誕生日のプレゼントだ。この部屋に入らなかった馬は裏庭で餌をやっている」
「う、馬!?というかこれ全部がプレゼントなんですか!?お店が開けそうなほどありますけど!?」
まさかとは思ったが、高価な物しかないこれらが誕生日プレゼントだと聞いてサラは目玉が飛び出るほど驚いた。
大きい箱や物に目がいきがちだが、手のひらサイズの箱にはサラでも知っているジュエリーショップのロゴが入っている。
「ひ、ひぇ〜〜…」
「サラのプレゼントに妥協はしたくないと、あいつらは何度も街へ足を運んでは納得出来る物が見つかるまで探し歩いたらしい」
「そうなのですね……」
子爵領の森で一人暮らしをしていた時はイザベラが毎年サラの誕生日を祝ってくれた。
プレゼントの手作りの服を着ておめかしをしてから二人で小さなケーキを食べるというのがお決まりの流れで、こじんまりとしながらも心温まるひとときだった。
今日のパーティーは二人きりの誕生日会より規模もプレゼントも桁違いで少し慄いてしまったが、かつてイザベラに祝ってもらった時に抱いたものと同じ温かい感情が胸に灯った。
「あとで皆さんにお礼を言わないと……」
サラは目に浮かんだ涙を指で拭って微笑む。
「そうだな。あと、俺からのプレゼントは外にあるんだ」
「えっ!」
てっきりこの部屋の中にあると思っていたのだが、アーサーからのプレゼントはまさかの外にあるらしい。
サラは「馬より大きなプレゼントって何だろう?」と思いながらアーサーの後について行った。
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