93 問題解決の糸口
おはようございます!
この物語は100話で完結予定です。(まだ書けていませんが…)
最後までお付き合い頂けると嬉しいです(*^^*)
あれから昨日の会議はサラの誕生日パーティーについての話し合いに流れ込み、まともな会議は短時間で終了してしまった。
レイメイやヤマトにとってはそれこそ死活問題のはずなのに、サラの誕生日パーティーについての話し合いの方が生き生きとして意見を述べている姿が解せなかった。
そんな彼らに「もうあてにならない!」と見切りをつけたサラは、会議で挙げられた問題点について昨日からずっと一人で考えている。
「うーん……。込められた力の残量が分からないのと、私が死んだ後どうするかってことだよね〜…」
「サラ!?縁起でもないことを言うのはやめてくれ」
「えー、だって私は人間ですし、そりゃあいつかは死にますよ」
「分かってはいるが……サラには健やかに長生きしてほしいんだ」
「そんなの私もですよ。アーサー様、一緒に長生きしましょうね!」
サラは今日も部屋で書類仕事を片付けるアーサーの手伝いをしているのだが、ヴァンは訓練で不在なので現在二人きりだ。
そのため、どれほどイチャイチャしても咳払いされたり小声で「バカップル…」と呆れたように呟かれる心配はないので、サラは遠慮なくアーサーと見つめ合う。
そしてひとしきりイチャイチャタイムを満喫した後、アーサーが先ほどサラが呟いていた考え事について尋ねてきた。
「サラは魔核をどのように活用すれば恒久的に悪魔の魔素中毒を癒すことが出来るか考えているのか?」
「はい…。ですがそもそも魔法や魔術で出来ること・出来ないことについての知識が少ないのでアイデアを出そうにもそれが実現可能なのか分からないんですよねー」
「サラのアイデアというのは気になるな。アルセリアは聖女ハナの知識を元にここまで発展した国だ。
同じ異世界の知識を持つサラならば俺達が思いつかないような発想でこの問題を解決出来るかもしれない」
アーサーはペンを置いて立ち上がるとサラが座るソファに移動して腰掛けた。よほど興味があるのか真剣に話を聞こうとしてくれている。
「そうですね、魔核に込められた“魔を吸い取る力”の残量が分からない問題については、残量と音を連動させ可視化するのはどうでしょう」
サラはスマホなどのアラームやタイマー機能をイメージしながら話す。残り何パーセントになれば警告音がなるようにすればたとえ透明でも残量が分かるはずだ。
「音か…。物体の振動……サラの力を振動させることが出来れば或いは…。いや、そもそも魔核の中は真空なのか…?それだと音を伝えることは出来ないな……」
アーサーは溢れ出る魔力を有効活用しようと魔道具開発にも力を入れているので、サラのアイデアに触発されてブツブツと呟きながらどうすれば実現出来るかの思考にすぐさま没頭する。
一方のサラは好き勝手にアイデアを出せばいいだけなので気楽なものだ。
「あとは魔核に込めた力を恒久的に使用する方法として、充電が出来たらいいなぁなんて考えてます」
「充電?」
「はい。魔核自体に私の力を記憶させて外から魔力を流して力を回復させるのです」
こちらもイメージはスマホの充電だ。電気で充電すると様々なアプリを使用することが出来る感覚で、サラの力を記憶させた魔核を別の力で動かせばいいのでは?と考えた。
「それは新しい発想だな。魔核を魔道具と考え魔力で動かす感覚か。
魔核にサラの力を記憶させる………一つの魔核に十以上の魔法を埋め込むことが出来れば可能かもしれない…。いや、しかしあれほど小さな魔核にはたしてそんなことが……?」
またしてもアーサーはブツブツ呟くと紙とペンを持ち出しなにやら試算し始めたが、サラには何を書いているのか難し過ぎてさっばり分からない。
「それともう一つ思いついたアイデアは、現状ある二つの問題をまとめて解決出来る方法です」
「ほう…?それは凄いな。教えてくれ」
「それは魔核をタイムループさせるのです。そうすれば残量を気にすることも、私がいなくなったあとも“魔を吸い取る力”は理論上永遠に残り続けるはず」
「“タイムループ”とはなんだ?」
「タイムループとはある特定の時間に戻って同じ時間を繰り返す現象を指します」
「………つまり魔核に宿る力が一定量減ると過去の満タンまで詰まった状態に戻り、それを永遠に繰り返すのか…!」
アーサーは持ち前の頭脳でこの世界に概念がなかったタイムループについてすぐに理解する。
「そうですそうです。でもこれはちょっと現実味がないかなぁと…」
「なぜだ?」
「だって私が元いた世界でタイムループのお話なんてフィクションでしかあり得ない設定ですよ。そんなファンタジー物語みたいことはさすがに……」
「だが前世の世界に魔法は存在しなかったのだろう?ならばサラにしてみれば今いる世界は十分『ファンタジー』なんじゃないのか?」
「た、たしかに…!」
言われてみれば剣と魔法と悪魔が存在する世界なんてファンタジーそのものだったと、サラは目から鱗状態で納得する。そう考えるとタイムループもまったくの夢物語というわけではないのかもしれない。
「ファンタジーか……。面白い。タイムループ、この案を実用化まで持っていこう」
サラとのこんなやり取りがあった後、アーサーの鶴の一声で『魔核タイムループ計画』は城をあげて始動することとなった。
この話を最初に聞かされた者達は「本当にこんなこと実現可能なのか」と戸惑っていたけれど、魔法・魔術使い特有の好奇心が刺激されたのか今では種族の垣根を越えて人間と悪魔が一つの目的に向かってあーでもないこーでもないと意見をぶつけ合っている。
魔核のタイムループ計画の実現は魔法だけでも魔術だけでも成し得ない。人間と悪魔の双方が手を取り合う必要があるのだ。
そんな彼らの姿はきっと世界が望んだ理想そのものだった。
そして、かれこれタイムループについて研究すること二週間―――サラも魔核に力を込めるというお手伝いをしながら、学者さながらタイムループ現象について話し合う人々を微笑ましく眺めていた。
すると、レイメイと少し離れた場所で話し込んでいたアーサーが戻って来た。
「サラ!やっと決まったぞ」
「え?何がです?」
「誕生日パーティーの日取りだ。一週間後に決定した」
「なんでこのタイミングで決まるんですか!?え、ここ最近皆さんは真剣にタイムループ計画に取り組まれてて私の誕生日について考える余裕なんてなかったですよね!?」
「サラ様、俺達のことを舐めてもらっちゃ困りますよ!」
「そうそう。サラ様の誕生日プランを練る隙間時間に研究をこなすなんて朝飯前ですから!」
「逆ですよ!?研究メインで頑張って頂きたいのですが…!」
アーサーはあわあわしているサラの頭にポンと手を乗せるといい笑顔で宣う。
「心配しなくても大丈夫だ。一週間後の誕生日パーティーできっとこれまでの成果を見せることが出来るだろう」
「えぇ……?そうなのですか…?」
サラは半信半疑ながらもとりあえず大人しく頷いておいた。
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