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私は何もおかしくないですよ!?〜虐げられた令嬢は世界で一番醜い辺境伯に恋をする〜  作者: ひなゆき


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79 これがアーサーの通常運転



「………聖女様、本当に行ってしまわれるのですか……?」


「ノエル殿下、本当にしつこいですよ。誰がなんと言おうとサラはグラハドールに連れて帰ります。

 これ以上駄々を捏ねるおつもりなら―――……」 


「辺境伯のその沈黙が怖いんだよ!ううっ…聖女様のご意思が大切なことはちゃんと分かっているさ…」


 アーサーに無言で王家を潰すぞと脅されたノエルはようやくサラを引き止めることを諦めたようだった。

 ノエルは謁見、というか華が残した手紙の朗読会(?)が終わってからずっとこの調子だったので、セインは横で「無謀なことを…」と苦笑している。






 華が残してくれたサラに宛てた手紙をすべて読み終えた後、受け入れ難い真実になんとか向き合おうとする者、いまだ信じられずに呆然とする者、これからの対応に頭を悩ませる者と王族達の反応は様々だったが、すべきことはもう決まっている。


 まず一つ目はサラが持つ聖女の力を検証すること。

 直接魔素にアプローチ出来るこの力は世界滅亡を防ぐための大切な要であり、力の全容を確認することは最優先事項である。


 そして二つ目は悪魔と接触すること。

 今、どれだけの悪魔が生き残っているのかは分からないが、彼らがかつての大戦争で本当に絶滅していたならば世界はとっくに滅んでいたかもしれない。

 人間達が出来ることは悪魔を根絶やしにすることではなく彼らを保護して数を増やしてもらうことだ。

 あの時の悪魔の口ぶりからして仲間がいることは間違いないが、とにかく彼らから一度詳しい話を聞く必要がある。



 このことを説明すると最初はアーサーや王族達は悪魔と接触することに対し「危険だ」と難色を示した。

 しかし悪魔達の現状を把握しないことには今後の対策も打てないので、アーサーに「貴方が側にいて下さるのに危険なことなんて何一つ起こらないですよね?」と可愛く(当社比)甘え倒してなんとか了承してもらえた。


 そして悪魔と対峙するにあたり、王都ではなくグラハドールの地を選んだのはもちろん戦力面を考えてのことだ。


 サラを必ず奪いにくると言い残して消えたあの悪魔は、人間側の百八十度方向転換した悪魔に対する方針を知らないので、おそらくいきなり襲いかかってくる可能性が高い。

 そうなると高魔力者にしか対応出来ないので、グラハドールで悪魔達の襲来を待ち受けるという選択が妥当だ。

 しかし高魔力者が魔法を使えば使うほど魔素が放出され、その魔素を糧に悪魔が魔術を使うのだから決着がつかないのでは?とネメルが言い始め、ノエルがその意見に便乗して「では聖女様は王宮の騎士達でお守り致しましょう!!」と声高らかに宣言してはアーサーに「ありえん」と秒で一蹴されていた。


 どちらにせよ王都の中心に悪魔が何人も現れては今以上のパニックに陥ってしまうので、やはりサラはグラハドールに戻る必要がある。

 聖女が見つかったというセンセーショナルな話題のおかげで、悪魔が第二王子に化けていたという事件の衝撃は多少薄れはしたが、それでもこの出来事は人々の心に影を落としたはずだ。

 そして『悪魔の真実』に関してはこれ以上のパニックを防ぐため、悪魔に話を聞いて今後の方針が決まるまで国民には知らせないと先ほどの謁見で決められた。 



 グラハドールに戻ればやらなければならないことがたくさんある。

 サラ達は国王陛下を筆頭としたロイヤルズに見送られながら慌ただしく王宮を後にした。











「―――では、これからグラハドールにて悪魔達の襲来を迎え撃てばいいのですね?」


「あ、撃たないで下さい。話し合いたいのです!」


「そ、そうでした…。ずっと悪魔とは討伐対象であると思って生きてきましたので、悪魔がこの世界における重要な役割を担っていたと聞かされてもやっぱり急には受け入れられないですね……」



 今はグラハドールへと帰る飛行車の中、なにも知らないヴァンにこれからサラを奪う目的でやって来るであろう悪魔にどう対処するか説明していた。

 急に悪魔は世界になくてはならない存在だから殺してはいけないと言われても生まれた時からの認識を正すことは中々出来ないようで、説明中もヴァンはかなり混乱気味だった。


「私の予想が正しければ彼らはギリギリのところまで追い詰められているはずです。わりとすぐに姿を現すかもしれません」


「では、グラハドールに戻ればすぐに対策会議を―――」


「いや。領地に着いたら何よりも先にやることがある」


 サラとヴァンは真面目な顔で話し合っていたのだが、アーサーが二人よりもっと真剣な顔で悪魔対策より先にやることがあると言い出したので、「これ以上に大切なこととは何なのか」とヴァンに緊張が走る。サラには嫌な予感がしている。


「グラハドールに戻って真っ先に取り掛かるべき事案はサラの生誕祭についての話し合いだ」


「奥様の…………生誕祭……?」


「やっぱり…」


 ヴァンはポカンとした顔で頭の上にはてなを浮かべているし、サラは額に手を当て「嫌な予感が的中してしまった…」とため息をつくしかない。


 アーサーが「明日の昼にはグラハドールに着くからすぐに会議を開くとして、諸々の手配はブラッドに任せるか」とブツブツ呟くものだから、領主不在の城を守る多忙なブラッドに一体何をやらせるつもりなのかと、サラはジト目でアーサーを見つめる。


「アーサー様?確かにグラハドールに帰ったら誕生日のお祝いをして下さるお約束でしたけど、状況も変わってしまいましたし何もこんなにゴタゴタしている時に祝って下さらなくてもいいのですよ?」


「なにを言っているんだ。サラの誕生日を祝うこと以上に大事なことなどない!

 最愛の妻の誕生日を知りもせず当日に祝えなかったことで鉛を飲み込んだかのように気分が落ち込んだというのに……その上誕生日パーティーすら開かないなんていう情けない夫になりたくないんだ。

 サラ、俺のためにもどうか協力してくれないだろうか?」


「うっ…!その言い方とその顔はずるいですよ……!」


 アーサーはサラの気持ちを知ってから自分に自信が持てるようになったらしく、以前サラが格好いい表情として挙げていた、「少し困ったような顔」で懇願してくる。

 この顔でこんなに愛しいことを言われてしまえばサラはもうお手上げだ。



「閣下は奥様の誕生日当日に祝えなかったのですか…それなら大掛かりなパーティーも仕方ないですね。

 それに城のやつらも奥様の誕生日を祝いたいと思いますよ」


「うう…!ヴァン様まで…!とても有り難いのですが、私の誕生日よりも世界滅亡を防ぐ話し合いの方が遥かに大事なのですから、ちゃんとそのことも話し合って下さいね!?」



 サラは悪魔がやってきた時の対策についても考えるようアーサーにしつこく言い含めていたのだが、いつしか飛行車の中で眠りについてしまう。

 しかしアーサーはサラが寝静まってからもヴァンと二人でどのような誕生日パーティーにするか遅くまで話し合っていたので、サラの言葉がどこまでちゃんと伝わったかは定かではない。









***


「おかえりなさいませ!閣下、奥様が聖女様とはどういうことですか!?城や領地は今その話題で持ち切りなのですよ。魔物肉の商談で王都に赴かれたはずが、一体何があればそうなるのです!?

 それに王宮に悪魔が現れたそうですね、閣下が対峙なされたとか!」


 昼過ぎにグラハドールへと戻ってきたサラ達をブラッドがいまかいまかと待ち構えており、アーサーが飛行車から降り立つなり質問攻めにしている。

 グラハドールは王都から馬車で一週間の距離にある辺境だが、通信魔道具の発達によりどんな情報もすぐに手に入れることが出来るのだ。


「ああ。そのことも後で共有するから急ぎで幹部を招集してくれ。夕方から緊急会議を開く」


 会議で説明すると言いつつ、主な議題が「サラの誕生日パーティーについて」だと知っている本人としては居た堪れなさすぎて視線を逸らすしかない。


 しかしそんなサラの様子を意味深に捉えたブラッドは「大変なことが起きたのでは!?」と慌てた様子で、会議の準備をすべくその場を離れて行ってしまった。



「もう…。アーサー様、本当にちゃんとした内容の会議をして下さいね?」


「? もちろんだ」 


「それ絶対に分かってないやつぅ…」

 

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