気を見つけなくては…
おはよう
俺には好きで止まないものがある。
武林漫画だ。これらの作品には何回も心を踊らされた…そんな人は俺以外にもいるはずだがそんなことを口に出す奴はない。
だが、みんなと違うのはエンタメとして楽しむのではなく自分もなりたいとおもってしまった。
そんなものに魅了されいつしか俺も漫画に出てくる『剣法』をいくつも再現し作り出した。
そんな俺もいつしか18歳。
でも、いまだに進展はしていない。
体を鍛え、心を鍛え、つながりそうな武術、瞑想、知識、現代の技術を研究した。
時には本場 中国に行くこともあった。
でも結果は何も得られず、自分の中の理想は崩れていくのを感じていくだけ。
俺の憧れた、漫画の中の剣は相手を屠り、地を砕き、天を裂いた。
だが現実はそうはいかなかった。
できることといえば、見ててかっこいい独りチャンバラ。この辺の奴らよりは強いなという自信。一対一では一般人に敵なしという無駄な実績。
他人に言うには恥ずかしすぎるものたちばかりだ。
憧れた姿との乖離を感じていく日々に虚無感…。
憧れ初めて10年。やっと諦める時が来たのかもしれない。
そんなことを頭の片隅に考えながら高校三年生の夏休みが来てしまった。
夏休みまでに見つけられなかったら諦めよう。そう思って朝も昼も夜も過ごしている。
そう簡単に10年の歳月を否定することはできない。
そう思いながら俺は今日も修行をしている。
一日中部屋に閉じ籠り体内に巡るエネルギーを感じる修行を行う。
その間は飲まず食わずの生活。
なんとしても気を見つけなくては…。
今日で一週間目。
いまだに見つからない。
よし、少し休憩しよう。
雑念が頭をよぎって集中できない。
そう思い痩せほってきた体を起き上がらせようとした途端なぜか俺の目の前に床があった。
なんで床が…?
ドサッ。
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『ーーたわ!!』
『目を開けたわ!!』
『あぁ!なんて可愛らしい子だ!!』
誰だ。この人たちは。なぜ俺は抱えられている。
目が覚めた俺の視界には1組の若い男女。年齢は20歳後半っぽいが、、、。顔立ちが日本人とはあまり違い分かりずらい。
(とゆうかなんで俺は抱えられているんだ。早く言って降ろさせよう。)
『おぎゃぁあ!』
(おぎゃ?何を言っているんだ?おれは。もう一回言おう)
『お、おぎゃああ!!』
『まあ、元気な子!!』
『ああ、さすが私の息子だ。』
(私の息子?こんな外人な父はいないぞ)
この時、周りを見ると七色の粒子が見える。
(なんだこれは?もしかして魔力ってやつ?)
(こんなものは存在しないはずだ。なんでこんなものが…。)
(…もしかしてこれ異世界転生ってやつ?)
そうして俺は日本人から、大したことではないがこの国ファストフル王国の田舎貴族オーテン男爵の息子ディン・オーテンとしてうまれかわった。
そして欲しかった力とはちょっと違うが、魔力というものを手に入れた。