第61.5話 ロインの修行道②
これは、害獣達との戦いより、ほんの数日前のお話。
ロインと大陸王による、決闘。
武器なしというハンデを除いて、本気の大陸王相手に、ロインは互角といえる勝負をしていた。
「やり合うたびに、闘気が引き出されてる」
ロインがもつ闘気の量は、絶大なものであった。
量だけなら、大陸王の十倍はあるようだ。
だが……
「しかしまだまだ完全には引き出せていない。それでは本来の一割にも満たないですよ」
………けど闘気の操作に関しては相当うまいといえる。
必要な部位に、的確な量を、最適なタイミングで纏っている。
扱い方だけなら、俺よりも上かもしれない。
そして……
ロインは剣を投げ、それを囮にして消えた。
俺が剣を弾くと同時に、ロインは俺の背後をとっていた。
そして渾身の一撃を、俺の背中へ放った。
「っ!?」
そう、この筋力!!
闘気もそうだが、あいつの肉体も、そこらの一般人の比じゃない!
何者だよ、あいつ……
俺は受け身をとり、すぐに反撃の構えをとる。
だが、ロインは止まっていた。
「あんたの負けだぜ、大陸王」
「は?」
俺は困惑していた。
「あんたが言ったんだろ、俺が一撃を加えたら勝ちだって」
「あ………」
くそ……つい熱くなってしまった。
それで本来の目的を忘れてしまっていた。
「そうだな……お前の勝ちだ、ロイン」
「……勝ちは嬉しいんだけどさ、正直俺は、もう少し修行をしてたいんだけど……」
そっか、これで修行も終わりになるのか。
「安心しろ、お前にうってつけの修行がある」
最近伝言板で見た、あの事件。
「世界均衡が起こっているそうだ。お前の力試しに、行ってこい」
そうしてロインは、2年ぶりの戦いへ出向くこととなる。
後にアンドリューに出会うことになるのは、次の話から……