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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第1章 冒険者編 北の大陸
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第6話 初の正式依頼〜そして死迫 

読了ありがとうございました!

できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

 大陸の南端にある、古くさい宿。

 ここでは冒険者が集いあう場所、いわゆる《ギルド》という宿が置かれている。そして、依頼は主に《ギルド》で受けることができる。


 そんな中、俺達は今その《ギルド》で、冒険者としての初仕事を探しているのであった。


「何かいい依頼はありますかね?」

「あっ!これはどうだ!?」


 俺は良さげの依頼を見つけ、手に取った。


「なになに?『宿泊用の宿を占拠している盗賊を追い払ってほしい』……だと!」

「盗賊かぁ。危ないのは嫌だな……よし、やめ………」


 と俺が言っている最中でロインが叫び出した。


「依頼達成報酬は5000Gだと!!」


 5000G………!軽く一年は働かずに暮らせる額だぞ。

 まずい、ここにはシェリアがいる。

 金に目がないアイツならきっと………


「受けましょう!」


 次はシェリアが叫んだ。

 やっぱか。

 くそ!そんなに目を輝かせてこっちを見てくんな!


「……はぁ。分かったよ」


 こうして俺達の初の依頼が決まった。






◇占拠されている宿屋にて◇


 俺達は、依頼場所へときていた。


「ここが………いかにもって感じですね」


 宿屋の中は薄暗く、盗賊のアジトらしかった。


 ガチャリ!


 そんな金属音と共に、前のドアが開いた。


「何だお前らは!」


 怒鳴り声と共に出てきたのは、十人ほどの男達だった。


「あなた達が盗賊ですか。ボスの居場所を吐きなさい!さもなければ痛い目に合いますよ!」

「誰がだよ!調子乗ってんなよこの女が!」


 男達はそんなセリフを言い放ち、俺達へと襲いかかってきた。

 

「ここは私が………」


 と、ロインが前にでてシェリアの言葉を制止した。


「いや、俺一人で充分だ」


 そう言ってロインは大剣を横に一振りした。

 瞬間、風を切るような音と共に男達が吹っ飛んだ。


「何だ今の!?」


 俺はわけがわからなかった。

 が、シェリアがすかさず説明を入れてくれた。


「あれは斬撃です。《闘気》と呼ばれる内なるエネルギーを剣に纏わせて放ったのでしょう」


 何だそりゃ。

 すげぇな。


 説明されたはずなのに、それでも理解は追いついていなかった。


 ロインとシェリアは俺にとって、別次元の存在すぎた。

 そしてあまりにも………


「かっけぇ………」


 カッコよく見えた。


「………何してんだ、お前ら」

「え?」


 気づかなかった。

 男達の後ろに、二人の強面の男が潜んでいたのだ。


「お前らもあいつらの仲間ってことでいいんだよな?」

「あんなゴミ共と一緒にするんじゃねえよ。俺とボスだけは格が違う」


 茶髪の男がそう言った。

 セリフから察するに、茶髪の男の後ろに立つやつがボスってわけか。


「気いつけろよサム、こいつら案外やれるぞ」

「分かってますよ、ボス」


 サムと呼ばれる茶髪の男が、臨戦態勢に入った。


「サム、お前はあの女とガキを殺れ。あの男は中々やりそうだ、俺が殺る」

「了解です」


 サムはそう答えた瞬間、弧を描くようにして俺達の方へと飛んできた。

 

 サムの剣とシェリアの拳が、ぶつかり合った。

 両者、隙を与えることなく、互いの剣と拳をひたすらにぶつけ合わせていた。それはまさに互角の戦いだった。

 だが………


「ぐはっ!」


 互角と思われたその戦いは、片方の一撃によって怪しくなってきていた。

 

「くっ!こいつ………!」


 瞬間、サムの剣が弾き飛んだ。

 そしてサムの腹部へと、シェリアの強烈な一撃が直撃する。


「ぐぶふあぁっ!」


 血を吐いて吹っ飛ぶサム。

 そう、優勢なのはシェリアだった。


 互角のように見えたそれは、圧倒的にシェリアが優勢であったのだ。


 そんな中ロインは………


「その程度か、拍子抜けだな」


 片方が、片膝をついて倒れていた。

 そしてもう片方は、剣を倒れた方へと向けていた。

 

「クソが………化け物め」


 大剣を持った男は、長剣を持った強面の男の前にて倒れ散っていた。

 

「ロインッ!」


 シェリアが気づき、飛び出す。


「バカが!」


 ボスと呼ばれる男は、斬撃を放ってみせた。

 

 無駄だ。

 シェリアならあれくらいかわすか、いなすかできる筈だ!


 ビュン!


 しかし斬撃は、急激に軌道を変えた。

 

「えっ?」


 斬撃はシェリアを通り過ぎた。

 だとすれば向かう先はただ一つ………


「俺かよ!」


 斬撃は、もう既に俺が避けられないほどのスピードと距離にあった。

 終わった。


「アンドリュー!」


 そう叫んだのは意外にも、シェリアだった。


 案外、悪くない人生だったな………


 ぐさっ!


 そんな効果音と共に血が流れる。

 そして血が流れていたのは………


「俺だ」


 奇跡的にも、斬撃は肩を掠めただけですんだのだ。

 一瞬、本当に死を悟ったよ。


 俺はシェリアにグッドポーズをする。

 

「良かった………」


 安心したようで、シェリアはすぐさまロインの方へと飛んでいった。


「交代です、ロイン!」

「ダメだ、こいつは俺達とは次元が違いすぎる………やめろ!」


 ロインが倒れたままそう言う。


「こいつの言うとおりだ。何せ私は《鋭流》の上級剣士だからな」

「上級だと!」


 ロインが本気で驚いていた。

 そんなに恐ろしい奴なのかよ。


「そしてお前もコイツと同様に、地に這いつくばることになる」

「………坊ちゃんを傷つけた恨みです」


 パコンッ!


 そんな鈍い音と共に、シェリアの上半身が揺れた。


「テメェッ!」


 ロインが激昂する中、俺はボスと呼ばれる男を見ていた。


 俺は見た、男が思いっきりの反動をつけて、シェリアの頭部を殴りつけていたのを。


「シェリア!」


 そのやばさに、俺はやっと気づいて叫ぶ。

 あんな大男の、更に《闘気》とかいう未知の力を纏わせた怪力パンチ。それを頭部に直撃。

 脳震盪どころの話じゃないぞ。

 あれじゃもう………


「はぁ……」

「………はぁっ?」


 男は呆然としていた。

 そりゃそうだ。

 俺も、ロインも、同じく呆然としていたんだから。

 

「シェリア………お前」


 何事もなかったように、よっと体を起こすシェリアがそこにいた。


「今のは、坊ちゃんを守れなかった自分の不甲斐なさへの一発です………」


 そして次の瞬間………


 バコンッ!!!


 そんな破裂音と共に、ボスと呼ばれていた男が倒れた。いや、叩きつけられた。


「え?」

「へ?」


 ロインと俺は、気付かず内にそんな間抜けな声を出していた。


「これが、坊ちゃんを傷つけた恨みです」


 シェリアはそう言って、男の血で血まみれになった拳を握りしめながら、男を見下ろしていた。






◇帰り道◇


「………なぁ、あれ見えたか?」

「いや、何も………」


 俺とロインは、こそこそとそんな話をしていた。


 シェリアが放った拳が速すぎて見えなかったという話だ。

 気づいた時には、男が倒れていたんだ。拳が瞬間移動したみたいだったよ。


「………シェリアもロインも、すげえよ」


 それに比べて俺は………


「坊ちゃんだって、すごいですよ!」


 何がだよ………


「そうだぞ〜〜」


 だから何が……


「今回ので分かった、俺は何にもできないってことが………」

「そんなこと………」

「………ッ!あるよ!」


 俺は叫んだ。思いっきり。


「同情ばっかすんなよ!お前らだって、本当は内心、俺のこと馬鹿にしてんだろ!」

「どうしたんだ、アンドリュー?」

「もういいよ、お前らなんて大嫌いだ!」


 何言ってんだ、俺


「待てよ、アンドリュー!」


 謝れ俺、早く謝れ


「どうしたの、坊ちゃん!」


 もう嫌だ、こんなの


「待てって!」


 初めてできた友達を、何で俺はいつもいつも………

 

 俺は必死になって走った。

 気づけば森の中へと入っていた。

 二人の声も遠くなっていった。 


「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」


 俺は何してんだろ。

 ホント馬鹿だよな。

 さっさと謝ればいいものを………

 何であんなこと、言っちゃったんだろう……

 

 俺は、こんな自分が嫌いだった。




読了ありがとうございました!

できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

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