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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第3章 三人旅 : 中央大陸編
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第53話 世界均衡

「説明しろよッ!!??」


 俺は宿主に叫び散らかしていた。

 どうやら、あの二人どころか宿に泊まっていた全員が失踪したらしい。

 

「…… 分かりかねます」


 宿主はそう否定した。

 だけど知らないはずがない。

 こいつらがやったんだ。

 きっとそうだ。

 許さない。

 

「お前らがぁ……!」

「分かりかねます」


 何度言おうと、同じ言葉を繰り返す。

 こいつはロボットかよ……ん?ロボットって何だ?


「その少年には言ってもいいよ」


 そんな、懐かしい声が聞こえた。

 宿の入り口からこちらへと歩いてくるその男は……


「エド……ワード……?」


 消えたはずのエドワードだった。

 いや、偽物は確実に消えている。

 だったらこっちが……


「本物……」


 彼こそが、エドワード本人。本物のエドワード・ルーンなんだ。


「悪いが説明する時間がない、向かいながらでいいなら……」

「あぁ、頼む」


 エドワードに案内されるがまま、俺は馬車に乗った。


「エドワード……俺の事知ってる?」

「そりゃあな、《鬼王》から助けた相手なわけだし。それに……」


 そうして少し、エドワードは語った。

 どうやら、《鬼王》バランから俺とカーナを助けたエドワードは、本物だったみたいだ。

 そしてエドワードも、偽者の存在には気づいていなかったみたいだ。

 だから俺は、偽エドワードの事は話さなかった。

 

「それで、あの失踪はどういうことなんだ?」

「それは……」


 エドワードは、次は長々と語り出した。

 

「世界均衡……知ってるか?」

「うん、最近離島の魔物が大陸に迫ってきているってやつだよね」

「まさしくそれだ」


 どうやら騎士団で今、それを必死に食い止めているみたいだけど、中々に厳しい状況みたいだ。

 北と南の騎士団にも要請は送ったが、来るまでに数週間はかかるみたいだ。

 つまりは、人手不足ということだ。

 

「それで……ぐぅっ……」


 エドワードは、その先の言葉を言いたくなさそうにしていた。

 ここまでくれば、俺でも大体察しがつく。

 騎士団には、どこまでも嫌気がさすよ……


「それで……王者血戦コロシアムの参加者に、協力してもらうことにした……」


 その言い方は、ムカつくな。


「……協力?違うだろ。これは一方的な押し付けだ!無理矢理だ!」

「……すまん」


「許せるかよ……参加者の中には、俺と同じくらいの子供だっているんだぞ。そんな戦争みたいなものに、俺達を巻き込むなよ……何のための騎士団なんだよ……」


 人員が足りなければ子供も攫って無理矢理戦争の道具とする。

 これが騎士団のやり方なんだな。


「すまなかった……本当に!」


 エドワードは俺に土下座してきた。

 そんなので済むなら……


「許す気はない……だけど、それならこれもいいよな?」

「え?」


 馬車が止まった。

 どうやら、目的地に着いたみたいだ。

 俺は馬車を降りると、今だ土下座しているエドワードに向かってこう言った。


「俺が協力するのも、ありなんだよな?」

「ま、マジでか!?」


 エドワードは凄く驚いていた。

 土下座の体勢のまま、口をあんぐり開けてこちらを見ていた。


「分かった……だがそれは、俺の同伴の元ならな!」

「……まあそれくらいなら」


 と、まぁ色々あったが、俺はエドワード同伴の元、世界均衡に参加する事になった。

 二人を守るって決めたんだ。

 二度と失わない。

 俺はそう、再び誓った。


 


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