第51話 後悔
たこ焼きを食べ終えた俺が次に向かったのは、とある本屋だった。
これまで鍛えてこなかった剣術も、とうとう鍛えるべきだと思ってな。
俺は剣術の教本を買うことにした。
本屋に入ると、やはり数々の種類のジャンルの本が置かれていた。
「さすがは本屋だな」
俺はそう思った。
そして、俺が自分に合う教本を探し始めてから少しが経過し、これだ!というものを俺は見つけた。
それがこの本─────
「『上級剣士・必読すべし!天級への道はここにある!』これ、お願いします!」
俺は早速既に、店員へと本を差し出していた。
胡散臭い題の本ではあるが、これはこれで逆に骨董品のように古代の剣術が載せられていたりとかするかもしれない。
俺は、そんな淡い希望を抱きながら店員へと金を支払う。
値段も手頃だし、もしクソみたいな本でも後悔することはなさそうだ。
「ありがとうございました!」
そうして店員に見送られながら、俺は店を後にした。
◇◇◇
一方その頃
「初心者戦でよろしいですか?」
僕とルーナは、王者血戦の申し込みをしていた。
しかし問題があった。
受付のお姉さんが、何度言っても初心者戦にしか入れてくれないことだ。
「いや、ですから……僕達は上位戦に出たくて!」
「しかし、見る限り貴方達では確実に予選落ちですよ。それどころか最悪死ぬかもしれません」
このババア、完全に舐めてんな。
しょうがない、少し見せてやるしかないか………
「だったら、俺達が強かったらいいんですよね?」
「えぇ、ですがどうやって見せるんですか?」
「簡単な話ですよ。今から上級魔術を見せます。それで終わりですよ」
ただ、やはりこの王者血戦。中々にレベルが高い事はわかっている。
たかが上級の魔術を使える程度であれば、予選突破が限度だろう。
「では見せます」
だがそれは、ただの上級魔術の場合だ。
それが少し変わった………例えば無属性魔術士のように変わったものだったならばどうだろう?
「風撃」
僕は無詠唱で、風撃を放った。
風撃は、近くの木を数本薙ぎ倒して止まった。
「凄い………確かに今のは上級風魔術の風撃。それも………無詠唱で!?」
受付人は、驚いた表情をした。
「ぶ、無礼な態度をお許し下さい!どうぞ上位戦への申し込みを望みます!!」
こうして僕達は見事、上位戦予選への挑戦権を手に入れたのであった。
◇◇◇
「ん?」
何だろう………
俺はそう不思議に思った。
俺が再びたこ焼きを買い、そして食べていた時だ。
やけに騒がしい、というか人の気配が多いと、そう感じていた。
周りを見たが、そこまで変な異変といったものは無さそうだった。
ほんとに何なんだ?
俺はそう思いつつも、まぁいいか。とも思い、そこまで気にはならなかった。
今思えば、最初からこの異変に気づいていれば………いや、もう少しここにいるだけでもよかったんだ。
何故この後すぐにこの場を離れてしまったのか………
それだけが、名残惜しく、悔しくある。後悔してもしきれない。
俺はこの後………数週間にも渡り後の事だが、俺は悔やむことになるだろう。この瞬間、今、たった一度の行動で、俺の人生は、アイツの人生は、大きく変わっていたのだから………
俺は本当に、過去の自分に、そしてアイツに、懺悔してもしきれない。
だけどそんな事、俺が知るわけもない。
だってそれを知っているのは未来の俺であって、今の俺の行動なんて、運命通りで、どうやったって覆ることはないのだから………