表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第3章 三人旅 : 中央大陸編
58/71

第50話 破壊の国アーストロン

 朝になった。

 俺達は、次の行き先へと旅立とうとしていた。

 

「気をつけていけよ」


 宿主のおっさんはそう言い、見送ってくれた。


「おっさんもな」


 俺達はそう返して、宿を去った。






◇◇◇


「次の目的地は〝破壊の国アーストロン〟だね」


 破壊の国アーストロン。

 喧嘩の最盛地として知られるこの国では、世界最強を決める王者血戦コロシアムが毎年行われているらしい。

 ちなみに、騎士団の見習い学校にもあった剣魔闘祭は、これをモチーフにして作られたそうだ。

 

「しかもこの王者血戦コロシアム、開催日が一週間後なんだよ」


 嫌な予感がする………


「まさかお前、出る気か?」

「あたり前だろ!」


 やっぱりか……


「アンドリューも出るだろ?」

「絶対無理」


 俺はグリムの提案を完全否定しておいた。

 面倒ごとはごめんだ。

 それに、この王者血戦コロシアムは剣魔闘祭とは比べものにならない程の猛者が募る。

 勝てる見込みはゼロだ。

 

「そんな負け確の戦いに出るのはよっぽどの馬鹿だけだろ」

 

 そう言うとグリムが睨んできた。

 なんかすまん。


「私も……出てみたいかも」


 ルーナは賛同してきた。


「やけにやる気だな。どうした?」

「理由………は、ないんだけど。えっと……あ、そう!力試しがしたいの!」


 理由ないんじゃないのかよ……


「へー、まぁ二人が出るなら俺は観戦で応援してるよ」

「あぁ、頼むぞ応援!!」


 ということで、俺は応援を任されることとなった。

 





◇破壊の国アーストロン◇


「ここが破壊の国、アーストロンか!」

「モサッとしてて、まさに猛者が集う場所って感じね!」


 アーストロンに着いた俺達だったが、ここにくるまでは色々と大変だった。

 あの離島事件の影響か、行く先々で、やけに強い魔物や魔獣に出くわすことが多かった。

 そのせいで大分体力を消耗した。


「とりあえず、一休みしたいな」

「僕は王者血戦コロシアムの参加申し込みをしておくよ」

「あ、じゃあ私もそれやっておくわ」


 俺達は集合場所と時間を決め、それぞれ別々に行動をすることにした。

 



◇食べ歩き


 俺はこの国の名前を聞いた時、荒々しい雰囲気の国だと思った。

 だが、入った途端そんな考えは吹き飛んだ。


「うわぁぁぁーーー!!すっげぇぇぇ!」


 あたり一面に広がるのは、香ばしい匂いを撒き散らせる店の数々。

 そして一番に目に入ったのは───


「………たこ焼きだ」


 匂いだけで分かった。

 この生地とタコを合わせたような、完璧なバリエーションの匂いは、こいつしかいない。

 俺の大好物のたこ焼きしかいない!


 瞬間、俺は獣の如く走り出した。

 誰よりも速く、鋭く、細かく、最高速度で走った。

 それは音速をも、光速をも超越した速度での走りとなった。

 そして───


「おっちゃん!たこ焼き八個入り五つください!」

「は……八個入り五つ?坊主、間違えじゃねえな?」

「うん、それで合ってる!」


 まずは小手調べに四十個。

 まぁまぁだな。

 

「はいよ。毎度あり」

「ありがとう!」


 俺はたこ焼きを受け取ると、またすぐに走り出した。

 目指すは最短距離。

 最速を維持かつ、最短距離にある食事場所フードスペースを確保する必要がある。

 もっとだ、もっと加速しろ!

 限界を越えるんだ!

 『今ここで限界を超えろ。それしか道はねえ』

 誰かが言っていたような気がする!!

 行ける!行ける!

 俺はあまりのスピードに、体に風を纏っていた。

 そしてその風を纏ったまま、俺は食事場所フードスペースへと直進していた。


 そんな中、食事場所フードスペースで優雅に食事を楽しむ二人の男性はこう会話をしていた。


「ん?なんか来てね?」

「大丈夫大丈夫。さすがに止まるだろ。でなきゃ頭おかしいって」

「だよな。………でもさ、なんか止まらなくね?」

「んなわ


 バコーーンンン!!!!??


 勢いよく食事場所フードスペースへと突撃した俺の体は吹っ飛んだ。

 そして優雅に食事を楽しんでいた哀れな男性二人も共に吹っ飛んだ。

 まぁ運が悪かったんだ。ドンマイ。


「ふざけんな!どうしてくれんだよこ…いででででで!!」


 俺は突っかかってきた男性一人の腕を掴み、そのままダメな方向へ捻じ曲げた。


「悪いのはどっちだ?俺か、お前か?」


 俺です。


「いででで!お、俺!俺が悪いででで!悪かったでででで!」


 悪いのは完全に俺だが、まぁ()()()()()許す器はもってなきゃダメだからな。俺はその教訓をしてやっただけだ。


「次からは気をつけるように」


 さすがにやりすぎたな。

 完全にクズじゃんか俺。

 

 とは思いつつも、俺はその後も呑気にたこ焼きを食べるのであった。

 

 

 


 

 


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいね、感想などお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ