第49話 ルーナの恋心
◇ルーナ視点
「……………」
いつもの如くグリムの寝言はうるさい。
そして寝相も悪い。
「これじゃ寝れないよ………」
そんな風に、いつも通りの夜を迎えようとしていた時。
「……………はぁー」
窓の外から、そんな大きなため息が聞こえた。
窓の外にいたのはアンドリューだった。
そして私は思った。
(チャンスだッ!)
悩みなんて無さそうにしているアンドリューが、あんな風に一人でいるなんて、きっと何か悩んでいるんだ!
そして私が優しく話しかけにいって、悩みを聞いてあげる!
そんな私にアンドリューはこう言う。
「好きだ、俺と結婚してくれ」
(キャァァァ!!もちろんです〜!!)
一人芝居で妄想しながら、私はアンドリューの方へと駆け寄った。
「どうしたの?ため息なんて吐いちゃって?」
「まぁ……色々とな……」
はぐらかされちゃった。
だが、ここで諦める私じゃあない!
「そればっかりじゃんか!」
そう笑いながら言った。
大人のお姉さんのように、陽気に振る舞うのよ私!
そして時には優しく話を聞いてあげる。
そう、まさしくこうやってね!
「何か、悩みがあるんでしょ?」
完ッッッッッッッッ壁!
「ねえよ」
何じゃとぅぉぉぉぉぉぉぉーーー!!!
「本当に?」
「あぁ」
チッ!
いや、まずは理由を聞くのが先よね。
うんうん。
内容はその後よ。
うんうん。
「どうして話してくれないの?」
「は?何で俺がお前に話さなきゃいけないんだよ」
くっそがぁぁぁぁ!
こうなったら、私だって反論してやるんだから!
「あ、そう言うってことはやっぱり何かあるんじゃない!」
「あぁ、あるよ。悩みくらい誰だってあるだろ」
「そうだね。確かにあるよ………私にも」
「お前の悩みって何だよ?」
私の悩みと言ったら、たった一つしかない。
だけどそれは………
「それは………アンドリューには言えないよ」
「お前も言わないのかよ」
そうじゃない………
「言わないんじゃない、言えないの!」
「………何でだよ?」
「………それは」
言えるわけないじゃん!
恥ずかしい!
「何でもない!」
私はそう言って、そのまま、爆速で、宿へと帰っていった。