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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第3章 三人旅 : 中央大陸編
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41.5話 ロインの修行道①

投稿が遅れてすいません。

今回はロインの修行の話です。


どうぞ見ていってください。

 俺は今も、大陸王と共に剣の稽古をしている。

 そして今日で、俺が大陸王に弟子入りしてから丁度2年が経過していた。

 そして今日─────


「ロイン。今日からは実践稽古を始めるぞ」


 遂に、まち臨んだ《実践形式》での稽古の許可が下りた。


 だったら俺はこの2年間、何をしていたのか。

 今日はそこから話していこうと思う……。






 修行は、俺が大陸王に頼み込んだあの日から始まった。

 俺は大陸王に案内されるがまま、森の奥地へと進んでいったんだ。

 そしてそこには、広大な敷地と数々の歴戦の跡があった。

 聞くと、そこは大陸王の訓練場的な所らしい。

 

 まぁつまりは、俺にもそこでその訓練とやらをさせてくれるんだろう。と俺は思っていた。


 しかし現実は、訓練や稽古とは名ばかりのものだった。

 そしてそれはあまりにも過酷な道のりだった。


 まず最初に、俺は訓練場の中央に座らされた。

 そして……蹴られた。

 次は殴られた。

 そして叩かれた。

 踏まれたり、潰されたり、蹴飛ばされたりといろいろされた。

 そして当然、痛かった。ものすごくだ。

 血もだらだらと出ていた。

 

 死にそうになったら回復薬で少し戻してまた蹴られる。そしてまた死にそうになって回復薬。そして殴られる。そしてまた回復薬……

 俺はそんな日々を二年近く続けた。

 おかげというべきか、俺の精神力は化け物並みに上がった。

 それと共に、《闘気》の量も爆発的に跳ね上がった。

 ただ、その《闘気》全てを使うのは無理なようだ。

 今は己の闘気を全て引き出せるよう、体術訓練をしている。


 そして今日、大陸王との《実践訓練》が行われようとしていた。

 実際の所、今の俺は二年前から遥かに成長している。

 もしかしたら大陸王に勝てるかもなどという希望すら抱いているほどにだ。

 そして今回は、二年ぶりに大剣を振り回すことが許可されている。

 大陸王はハンデとして、素手のみとなっている。

 

「ロイン。俺に一太刀浴びせることができたら、修行は終わりだ」


「ま、まじか」


 思わぬ言葉に、俺は驚いた。


「ただしもし負けたら、後一年はこれまで以上にきつい訓練を行うことになるがな」


 そしてその言葉に身震いした。

 冗談じゃねえ、あれ以上きついことしたら、俺は本当に死んじまうよ!

 何が何でも勝たなきゃな!


「それじゃあ……いくぞ!」


 俺は一声と共に大剣を持った。


「え………!」


 俺は咄嗟に大剣を落としてしまった。

 なぜなら、その大剣がありえないほど軽かったからだ。

 

「これに、何かしたのか?」


「いいや、それは何も変わっていないよ。それはね」


 ……変わったのは俺だってことか。

 ここまで成長していたのか。

 あんなに重たかったはずの大剣が、今じゃ小石みたいに軽い。


「さてと、仕切り直しだ。それじゃ改めて、行くぞ!」


 俺は体勢を立て直し、いざ大陸王に向かって走り出した。


「ッ!!??」


 瞬間、正面に捉えていた大陸王の姿が消えた。

 

 いや、消えたんじゃない……視界に映らないほど高速で移動したのか!


 俺は立ち止まり、感覚を研ぎ澄ませる。

 

「……………見えた」


 大陸王の反則的な動きが見える、目が追いつく。

 奴の反則的なスピードに─────


「ついていけてる!」


 俺の刃が、奴の懐に直進していく。

 俺の刃が当たりかけた瞬間、刃先から爆発が起きた。

 

「……それは反則だろ!」


 見るとその爆発は、刃先ではなく奴の掌から放たれたものだった。

 

「魔術はダメだと言った覚えはないぞ!」


 そう言って、大陸王が向かってくる。


「今のが噂に聞く、混合魔術か……」


 《混合魔術》

 主に、五大魔術の内の二魔術を練り合わせて発動する魔術のことである。二魔術を同時に分けて行い、二つの魔術分子を一直線上でぶつけ、練り合わせ、一つの魔術分子を作り、それらを更にくっつけて魔術が完成する。そのため、瞬時に無詠唱で行える者は少なく、世界でも未だ五人しか存在していないとされている。そんな五人の怪物共のことを、皆はこう呼ぶ。


「《五大魔術師》……!」


「……よく知ってたね」


「疑ってはいたが、これで合点がいったぜ!それだけの実力があって、《大陸王》最弱の筈がねぇ!」


「……何が言いたいんだ?」


「三十年前、最強と謳われていた暴君。最強の大陸王。それがあんただ。俺は知ってるよ、あんたに憧れていたからな!」


 小さい頃からの憧れ。

 三十年前に、俺の村が魔族の襲撃を受けた時に、たった一人で全てを倒し、村を救ってくれた。

 その時、俺はまだ生まれてなかったが、親父からそれを聞いて、俺は震えた。

 そんなかっこよくて強い人がいるんだと。

 あの人みたいになりたい、強くなりたいとそう願った。


 初めてアンタに会った時、俺はその雰囲気に戸惑っていた。

 聞いていた人と違いすぎて、本当に強いのか、疑っていた。

 

 だが今、その本人と、憧れだった人と、こうして戦っている。

 そして、本物だと知れた。

 こんなに嬉しいことは、他にない!


「だからさぁ、武器無しとかのハンデがあってもいい……だから……全力でやれよ」


 それが、俺の願い。

 この時俺は、友達を、アンドリューとシェリアの仇を討とうと志していたことをすっかりと忘れ、ただただこの男との戦いだけに、全身全霊を注いでいた。俺は今、心の底から、昂っていた。きっと俺はこの時を、ずっとずっと待っていたんだと思う。


「………後悔するなよ」


 男と男のぶつかり合い。

 それがこの戦い。


 片方の問いに対し、片方は呼応するように返事をした。


「………いくぞぉぉぉ!!」


 瞬間、大陸王が消えた。

 

 ガキィ!


 刃物が何かにぶつかる、そんな音が聞こえた。

 それは、俺の大剣と大陸王の拳がぶつかり合う音だった。

 

 ついていけてる。

 勝てる。

 あの大陸王に!


「うがあああぁぁぁぁぁ!!」


 俺は必死に剣を振るった。

 気づくと、標的は目の前にはいなくなっていた。


 まずい


 ただ、それに気づくのが遅過ぎた。

 それが俺の敗因。


 俺は振り向いた。


 ビュン!


 風を掻き切る、吹き飛ばすような轟音。

 振り向いた先にあったのは、圧倒的高密度な量の闘気を纏った、暴君の拳だった。

 遠慮も世辞も無い、顔面に目がけた直進的なパンチ。

 それは直進的故に、速く強く、そして痛かった。

 咄嗟に闘気を全て顔面へと集中させ、致命傷寸前にまで抑えることができた。そんな俺が見た、大陸王の……いや、あの暴君の姿は……まるで怪物のそれだった。



 


読了ありがとうございます。

これからも途中途中に、ロインの修行道というものを出していこうと思っています。


また次回も見ていってください。

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