40話 呪い
『呪い』
呪いとは、剣や杖などの武器や盾や鎧などの武具に付与される特別な能力のこと。
呪いは、使用者に悪影響となる能力を備えさせるが、代わりに強大な能力も備えさせることができる。
諸刃の剣ともいえるが、稀に《バッドスキル》に対して《ハイスキル》が非常に高い呪いを備えた武器や武具も出現するといわれている。
「で、兄ちゃんの《スキル》は何なんだ?」
俺は、知らねえと首を横にふる。
「実はこれを手に入れたからそんなに経ってないんだよ。だから《スキル》なんて言われても、何のことだか……」
「そうか……ん?お前、まさか!」
男は頷きこちらを見ると、突然慌てふためきこう言った。
「お前、魔術師か!」
「そうですけど」
俺はさらりとそう答えた。
すると男は黙りこみ、静かに後ろを向くと、後ろに置かれていた巨大な戦斧を軽々と持ち上げ、こちらへ振りかぶってきた。
「……は?」
俺は咄嗟のことに混乱していたが、すぐに状況を読み後ろへ回避した。
「いきなり何すんだ!」
俺は怒りをあらわにし、男へ叫んだ。
「……………」
……何か喋れよ!
……くそ、俺が一体何したっていうんだ。
「あー、よく分かんねえけど、俺が悪かった!謝るから許してくれ!」
「……ならば貴様の名を答えてみろ」
「……は?え?……あ、アンドリュー」
「……やはりかぁぁぁあ!!!!!」
男に自分の名前をだすと、更に昂り荒ぶり突進してきた。
ホントに何なんだよ……!
……いや、待てよ。
まさかこいつ……俺が魔術師なのに剣を持っていたから怒ってんのか?
だったら……
「俺は魔術師じゃねえ!」
俺がそう言うと、男はピタリと止まった。
やっぱりそうか!
これで……
「もう一度問うぞ、名は?」
「……え?」
何で名前のことを……
魔術師って名乗ったからじゃなかったのか?
クソ……ここは何て名乗るべきか……
「……早くしろ」
アンドリューは絶対に禁句だ。
他に名前は……
俺は咄嗟に思った名前を出した。
「……ロイン」
それは、最も信頼する男の名前だった。
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