36話 竜の山窟
「……買っちゃった」
俺達はちょうど今、ラムード王国を出発し、次の目的地へと向かっていた。
そんな中だが、俺は先程王国にて、あるものを買っていた。
「アンドリュー、その背中にかけているものってもしかして……」
そうそれは、前々から欲しいなと思っていたもの……
「───あぁ、剣だ」
それも、ただの剣じゃない。【魔剣】だ。
「剣術でも始めるのか?」
「まぁな。少しくらいあった方が損はないと思うし」
……剣術なんて、子供の頃以来だな。
あの時はシェリアと、まだ三人いたっけな……
そういえばスカリーの野郎も、あの頃は結構優しい兄貴だったんだけどな……
キキキィィィィィー!!
そんな突然のブレーキ音が鳴り響いた。
どうやら、車が止まったようだ。
「行くぞお前ら、歩きの時間だ」
エドワードはみんなへ、車から降りるよう指示をする。
「ッえ!?ずっと歩きじゃないのか!?」
「当たり前だろ。車を粉々にする気かお前は」
エドワードはそう言って、前方の……進行方向を向いた。
そしてそこには……
「な、何だよこれ!?」
車に乗っていたせいで分からなかった。
前方には、どこまでも続くような高い山が伸びていた。
そして、その山の所々に巨大な鋭い棘が張り巡らされていた。
そして通れるような隙間はほんの少ししかない、まさに一歩滑ればあの世行きだ。
・・・・
「安心しな。ルーナは俺が運んで行ってやる」
エドワードはそこに"ただし"と付け加え、続けてこう言った。
「お前ら二人はダメだ。自力で頑張って逝きな」
間違えでも、そっちの『逝く』はやめてくれ。
フラグになりかねん。
……それにしてもフラグって何だ?
まぁ、何でもいいか……
「それじゃ、俺は先に頂上で待ってるからなー」
そう言ってエドワードはルーナを担ぎ、高く跳躍すると、一瞬にして、地上からは見えない高度まで昇って行った。
つくづく思うが、"この世界"の人間ってのはホントに規格外なんだな……
……この世界って何だ?
ズキズキズキ
突如、頭に激痛が走る。
……意識が。
そうだ、あの夢の続き。
読了ありがとうございます。
感想やいいねもお願いします。
今回の話に関しては、わからない点が多いと思いますが、理解した上でお願いします。
謎については、これから明かしていくつもりです。