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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第2章 一人旅 : 見習い騎士編
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第35話 予言者と……

 俺……いや、俺達は、南の大陸を目指して歩み始めていた。

 

 そして、まず最初に到着するは……


「……見えてきたぞ」


 エドワードがそう告げると、前方に巨大な建物が見えてきた。


「あれが……」


 そう、あれこそが、北の大陸南部に位置する、大陸最大の国。


「ラムード王国」


「凄い大きいね!」


 さすがは世界最大の国と言われるだけはある。


「よし、さっさと降りな」


 馬車はラムード王国の目の前で止まった。

 それとともに、エドワードは俺達に、降りるよう指示をする。


 俺達は、よいしょと馬車から降りた。

 そしてそのまま、目の前にある王国へと歩き始めた。

 土っぽい地面は、踏む度にドシドシと音をたてていた。


「土地なんて久しぶり〜!」


 ルーナは楽しそうに地面を踏みはしゃいでいた。


 思えば二人はずっと、王国内にいたし、土の地面なんてのはあんま経験ないんだろうなぁ。


「というか、何でここで止まったんだ?急遽戻るのなら、こんなところで一々止まってるわけにはいかないんじゃ?」


 俺はエドワードに問う。


「俺はここに、少しだけ用事があってな。それを済ませるまでの間は、お前らも自由に遊んでていいぞ」


 遊ぶって……俺はガキじゃねえんだぞ。


「ヤッホー!遊ぼ遊ぼー!」


 グリムがいつになくハイテンションでそう言った。

 頭のネジでもぶっ飛んだのか、コイツ?


「行こうよアンドリュー!」


 グリムはそう言って、俺の手を握ってきた。


「私もでしょ!」


 ルーナもそれに続くように俺の手を握る。


「お、おう!」


 そう言って俺達は走り出した。

 王国に向かって。

 無邪気に、無邪気に。

 

「……………」


 エドワードは、そんな俺達の背中を寂しそうに見ていた……





 --- ラムード王国入国 ---



「凄っげぇー!あれも……これも……何でもある!」


 俺は入国すぐに、この国の凄さを知ることとなった。

 この国には、まるで無いものが一つと無い。

 それどころか、初めてみる物すらもあった。

 この国一つ有れば、他国なんていらなくても良く無いか?とすら思えてくる程にだ。


「何だこれ!」


 そして、俺が今手にしている物は、眼のついた剣だ。

 いわゆる、【魔剣】と呼ばれている代物だ。

 しかも、今しか買えない限定品で、数も一個だけ。

 つまり、この世に一つしか無い限定魔剣なのだ!!


 くぅー!買いたい!

 別に剣術ができるわけじゃないけども……それでも持っておきたい!

 ……何故か?そりゃあカッコいいからに決まってる!


「なぁ二人とも!」


 そう言って俺は後ろを振り返った。

 ……だがそこに、二人の姿はなかった。


「……あれ?」


 これはもしや……迷子というやつなのでは?


「……君、もしかして迷子?」


 案の定と言うべきか、そんな声が隣から聞こえた。


 振り向くと、そこには小さな少女が立っていた。

 迷子……というのは、どっちかというと……


「あんたの方が迷子だろ……」


 そう言うと少女は赤面し、慌て出した。


「な、何ですってぇー!子供扱いして……私を誰だと思ってるのよ!」


「えっと……誰だ?」


 俺は、知らね?と答える。


「なっ……!?」


 少女は後ろによろめき、ガクッとしたポーズをし、驚いたような表情を見せていた。


「超!超超超超超!超有名人のこの私を!知らないですってぇー!」


「……そんなに言うなら、まずは名前でも教えてもらおうか」


 すると少女はハッとした表情でこちらを見ると、失礼……と言わんばかりに、ゴホンッと一度だけ咳き込んで言った。


「そ、それもそうね。じゃあ、改めて言うわ。私の名前は『リーナ』。大予言者リーナよ!」


「大予言者……リーナ!?」


 その名前は何度か聞いたことがある。

 確か、冒険者時代に何度か、ロインが話してくれた、この世界の歴史のに関係のある人だ。


「そんなデタラメが信じられるかよ。大体、予言者リーナってのはもう何百年も前に死んでるんだぞ?ホラ吹きはここいらで終わりにしとけよ」


 俺は相手にする気もないかのように、そう言って立ち去った。


「なーにが……ホラ吹きよぉー!」


 そう言って偽予言者は、ポケットから手帳を取り出した。

 そしてそれをパラパラとめくり、やがてめくる手を止める止めるとこう言った。


「……今から5秒後、そこの看板が落ちてくる」


「……はぁっ?」


 俺は呆れたように答える。


 まだやるのかよ……めんどくさいな……

 ……しかもあいつ、何か数えてるし。


「2……1……」


 すると、偽予言者はニッと笑って言った。


「……0!」


 ガタガタっ!


 すると、俺の真上から何か音がする。

 ……まさか!


 上を見上げると、店の看板が、俺目がけて落下してきていた。


「嘘だろっ!」


 俺は瞬時に後方へと飛んだ。

 

 ドサァン!


 そして、看板も地面に落ちきったようだ。


「はぁ……はぁ……」


 俺は何とか、看板の落下を回避できていたようだ。


 そして安心したのも束の間、俺はすぐに偽予言者……いや、本物の予言者野郎の方へと向き直った。


「あっ!ギリギリ回避成功だね!」


 予言者野郎は、こちらの様子を見て、嘲笑うようにそう言った。


「この野郎……よくも!」


「落ち着きなって、そもそも悪いのは君じゃんかよ。私の事を、ホラ吹きだなんて言って!」


 予言者野郎は、フンッ!と首を横にふる。


 何がフンッ!だよ!

 

「確かに俺も悪かったが……こんな危険なことなら、教えてくれてもよかっただろーが!」


「何言ってんの?ちゃんと教えたでしょ?『5秒後に落下する』って」


「……そんなの、誰が信じるんだよ」


 俺はため息を一つついた。


「お疲れだね、アンドリュー」


「あぁ、本当にな……はっ?」


 何でコイツ……俺の名前を……


「俺の名前……何で!?」


「知ってるよ、何もかもね」


 コイツ一体……!?


「今の君の現状全て……そしてこれから君の身に、周りに起こる事も……全てね」


「お前は一体……」


「私?そりゃあ私は───」



----------



「───はっ?」


 何を言ってるんだコイツは?

 あぁもう、さっきから意味わからんことばかりすぎて、頭の整理が追いつかねぇ!


「それって───」


 俺がそう尋ねようとした時、後ろから声をかけられた。


「おーい、アンドリュー!そろそろ出発するぞー!」


 それは、エドワードの声だった。

 なんてタイミングだよ!!

 俺は思わず、そんなツッコミを心の中でいれてしまった。


「あ……えっと!あとちょっとだけ……」


「ふふっ…邪魔しちゃ悪いし、私はここらで帰ることにするわ。また会いましょう、アンドリュー……」


「ちょ、ちょっと待っ……!」


 瞬間、予言者は風のようにしてフワッと消えた。


「……一体何だってんだよ」




 これから……いや、既に前からかも知れない……


 アンドリューに、そしてその周りに……


 恐ろしい何かが、近づいてきているということを……



読了ありがとうございました。

感想やいいねなども、よろしくお願いします!

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