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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第2章 一人旅 : 見習い騎士編
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第34話 仲間

 鬼族の侵略、それは一日にして終結した。


 幸か不幸か、被害が出たのは学校だけだったようだ。


 死亡者の数、およそ50。

 負傷者の数、3。

 生存者の数、およそ500。


 優秀な先生方のおかげで、生徒のほとんどは学校外へ避難することができた。

 避難した生徒達の証言によると、鬼族の侵略途中で、『青い何か』が空を飛んでいたのを見かけたと何人も言っていたそうだ。

 そして、それが元凶なのではないか、とも言われている。


 だがしかし、死亡者が50人も出たことは、国にとっての致命的損害であり、騎士団にとっても不名誉なことであった。

 当然、住民からの騎士団への非難の声も多数上がっていた。

 騎士団長は現在、長期に渡る遠出をしており、参加ができなかったそうだ。


 そして、この戦いにおいて優秀な功績を収めた者がいた。

 数々の生徒を救助し、身を捨ててまでして助けだした男。

 その名は───


「───ランガー・ベイル」


 ヒビの入った、崩れかけた、そんな校舎の中に響きわたった名前。


「……そして、この悲惨な事件において、敵の首領である鬼王と戦い、事件に終結をもたらしてくれた救世主───」


 紙に書かれたことを読み上げる人物。

 それは、この学校の校長であるゼナスだった。

 そして、今から読み上げられるであろう者達が横並びにして立っていた。

 そしてそれを、他の生徒達は見守っていた。


「───アンドリュー。そして、カーナ・シーベルト」


 そう、これは受賞式であった。

 

 まぁ、こんなことをして何になるのかは分からないが。

 あいつを倒したのは、俺でもカーナでもない。

 あの騎士団長とかいう奴だ。

 

「そして今回の功績を讃え、ランガー・ベイル君を、四天に加えたいと思う」


 周りは歓喜の声で溢れかえっていた。

 

「それに加えて、四天は五天へと変えようと……」


「それなら大丈夫です」


 俺はそう言った。

 この空気の中、そんなことを言っていいのかとは思ったが、ここしか無いなとも思った。

 

「四天は一人分飽きます。だって俺、明日には学校辞めるんで」


 途端、周りはざわついていた。

 何せ、自分で言うのも難だが、俺はこの学校じゃあ結構有名人であった。

 

「ちょっと待って、アンドリュー君!それはいったいどういう……!?」


「後のことはレイス先生から聞いてください。それじゃあ俺はこれで……」


 俺はそう言うと、ステージから降り、逃げるようにして早々と校舎から出た。


 途中で、カーナ達の声が聞こえた気がしたが、そんなのはお構いなしだった。











「……さてと、準備しなくちゃな」


 俺は今、宿屋にいる。

 そこで荷物をまとめていた。


「……………」


 気づくと、荷物を入れる手を止めていた。

 

 ……今思えば、俺は結構あいつらに浸透してたのかもしれない。

 シェリア、ロイン……あいつら以上にとは言わずとも、それに匹敵するほどのものではあった。

 

 どこか、心の奥で、今ならまだ戻れるかも、といった思いがあった。


 後悔は……していない、わけではない。

 もっと一緒にいたかった。

 もっと一緒に遊びたかった。

 もっと一緒に笑っていたかった。


 ……だけど、もうそれはできない。


 もしかしたら、シェリアとロインに会えれば、俺のこの心の隙間を埋められるのかもしれない。


 だけども……できることなら……


「全員一緒がよかったな……」


 俺はそう、ぽつりと呟いた。

 

 ……疲れたや。

 ……もう寝よう。


 そうして俺は、ベッドに潜り込み、寝床に就いた。











「……いないか」


 朝になり、俺は起きた。

 部屋を見渡すが、いつもいるカーナの姿は見当たらなかった。


「行くとするか……」


 俺は、エドワードと約束していた王国の入り口に向かった。

 

 入り口には、移動用の馬車が待ち構えていた。

 そしてその前に、エドワードは立っていた。


「遅いぞ、遅刻だ……と、言っている」


 エドワードは俺にそう言った。

 こいつの言葉は、曖昧でよく分からなかった。

 語尾に……と、言っているなんてつける理由が分からない。


「誰が言ってんだよ。まるで伝言でも言わされてるみたいだな」


「まぁ、実際の所そうだからな」


 エドワードがそう言うと、俺はキョトンとした。

 何を言っているのかが、理解できなかったからだ。

 

 だが、まさか!?とも思った。


「ほら、お待ちかねの仲間だぞ」


 エドワードはそう言って、馬車の入り口を開けた。


「よっ、アンドュー!」


 中から、最近よく言われるあだ名が聞こえてきた。

 しかし、言った本人は、いつものあいつではなかった。


 それは、グリムだった。


 予想外の事に、俺は驚きを隠せなかった。


「ア、アンデュー!……なんちゃって!」


 次に姿を現したのは、グリムの後ろに隠れていたルーナだった。

 ルーナは、少しどきまぎしながら俺のあだ名を言った。


 ……可愛い。


「な、何でお前らが……!?」


 俺は驚きを隠せない様子でそう言った。


「勿論、アンドリューに着いていくからだよ!」


 グリムは元気よくそう答えた。


 俺はまだ戸惑いつつも、振り返ってエドワードの方へと向いた。


 エドワードはそれに気づくと───


「……まぁ、そういうことだ。素直に受け取ってやれ」


 ───と、言った。


「はぁ……分かったよ」


 俺は、しょうがないなと言って、馬車に乗り込んだ。


 俺は馬車に乗り込むのと同時に、あることに気がついた。


「……それにしてもカーナのやつはどうしたんだ?」


「確かにどうしたんだろう」


「途中まではついてきてたんだけど……」


 グリムとルーナもよく分からないようで、俺の問いに対して疑問を浮かべる。


 エドワードはその問いに、こう答えた。


「あぁ、彼女なら別の馬車で移動してくるそうだよ。何せ、この一台には入りきらないからね」


 それに対して俺は、なるほど……と答えた。


「それじゃあ出発するが、準備はいいな?」


 エドワードの問いに対し───


「おう!」


「はい!」


「うん!」


 ───全員が別々の言葉で返事をした。






 ここから俺の……いや、俺達の新たなる冒険の旅が、また始まるのであった。


 


 



 

 

 


 




 


 


 


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