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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第2章 一人旅 : 見習い騎士編
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第32話 巨大火槍


できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

--- 南の大陸にて ---


「……はっ!」


 俺はベットから飛び起きた。

 まるで、長い悪夢から目覚めた子供のように。


「またこの夢か……」


 思い出したくもない出来事を……また蒸し返された気分だ……

 だが安心してくれ、アリシアの仇は必ず……俺が討つ。


 ……こっちのも、俺みたいになってねぇといいが。






ーーーーー







「……あぁ」


 目の前で起きていることは現実なのか……?

 いや、疑いようもない現実だ。

 だとしたら何で……?

 

 カーナが……カーナが……


「……生きてる!」


「我の突きを受けて……それほどの血を流して……何故まだ生きていられるんだ!?」


 鬼も困惑していた。


 そりゃそうだ。俺から見てもカーナの出血量は、常人なら今頃死んでるレベルだ。


「まさか貴様……無属性魔術士なのか!?」


 それはないな。

 もしそうだとしたら、とっくに先生が言ってるはずだ。


 カーナが生きてると分かりゃ、俺も容赦せずあいつを倒せる。

 もう手は抜かん。


 火槍フレイムスピアは、作り方次第じゃ、どんな鋭さにだってできる。

 勿論、時間をかければ、さっきまでのよりも鋭く、質のあるのを作ることだって可能だ。


「……いや、無属性魔術師ならば傷口から治るはずだ。だが貴様は、怪我の一つも治ることなく生きている。それはおかしい……おかしいのだ!」


 鬼がぶつぶつと何か呟いていた。


 まぁ何にしろありがたい。

 この隙に、魔力を溜めさせてもらうとしよう。


 俺は右手を前に出し、そこに向かってありったけの魔力を流し込んだ。


 鋭く……鋭く……それでいて重く、大きく……質のあるものを……


「……できた」


 それは、火と呼ぶには相応しくないものだった。

 火とは思えぬ重量感や質感、そして何百年も磨かれ続けたような、光沢のある鋭い槍。

 まるで火ではなく、一つの物体が浮いているかのようだった。


 こうして、巨大火槍フレイムスピアが完成した。


 視線を戻すと、鬼はまだ困惑していたようで、カーナの方をずっと見ていた。


 これが槍でよかった……

 でなきゃ、カーナにまで被害が出てたかもしれない……


 俺は意を決したように、鬼に向かって火槍を放った。


 火槍は凄まじい速度で鬼へと直進していった。


「何ッ!?」


 鬼はそれに気づくと、避けられないと悟ったのか、堂々とした格好でその場に立った。


 ギャルルル!

 

 凄まじい音をたてた槍は、鬼へと直撃した。


「よしっ!」


 俺は喜び、笑顔でガッツポーズをしてみせた。


「どうなった?」

 

 見ると、槍と鬼との衝突地点を中心に、煙がボワッと舞っていた。

 煙が晴れてくるや、中に黒い影が見えた。


 完全に晴れ切ると、黒い影の正体が姿を現した。

 

 勿論、あの鬼だ。


「……まさか、俺の全力の闘気を打ち破られるとはな」


 鬼はこちらを見るなり、ギロッと睨んだ。


「くそっ……!」


 俺は即座に後ろへ飛び、鬼との距離をとった。


 ……あれ?


「グッ………」


 俺は逃げる足を止めた。

 

 鬼が痛々しい悲鳴をあげたからだ。


 よく見ると、鬼の体には所々傷跡ができており、損傷部すら見つかった。


「ヒヒッ……」


 俺は下卑た笑いをして、鬼の方へと目を向ける。


 いい案見つけちゃった〜!


「おい鬼!さすがのお前も、これだけのものを受ければキツイだろう!そこで!寛大な俺は、お前が生き延びられるチャンスをやろう!お前達鬼族のボス。王を連れて来い!さすれば、俺はお前を逃してやろう!」


 俺は提案というやつを持ちかけた。


 だが何故だろう、失敗しそうな予感がする。


「王を、連れてこいだと……」


「そうだ!」


 俺がそう言うと、鬼は笑い出してこういった。


「はっはっはー!馬鹿言え!王ならここにおるではないか!」


「何言ってんだ?」


 俺はその発言に、困惑せざるを得なかった。

 何故ならこの場には、あの鬼に俺にカーナと、1体2人しかいないからだ。

 それともこの場に見えない誰かでもいるのか?

 怖くて夜も眠れねぇよ……


「ん?まだ気づかぬのか?ならば分かるように教えてやろう!」


 鬼は立ち上がり、周りを見渡してからこう言った。


「我が王だ。鬼族を束ねる……鬼の王、【鬼王バラン】である!」


 バランは、気分良さげにそう言って見せた。


「お前が王……だと?」


 俺は、驚きを隠せない!と言った様子でそう答えた。


「そして、もう手は抜かん。我が闘気は、如何なるものも寄せ付けん、無敵の盾なり!」


 闘気……たしか、魔術士にはない技術だったか。

 ロインやシェリアは使っていたと聞くが、さすがだな。






〜闘気とは〜

 主に、闘士や剣士が使う技術である。

 これは魔力とはまた違う、体の奥底に秘められた力であり、体に纏うことで、自身の身体能力を大幅に強化することができる。

 例えば、一般人じゃ重症になるような攻撃も、闘気を纏えば、ほんの擦り傷程度……使い手の練度によれば、無傷でいることすらも可能。






「……だったら、もう一度だ!」


 俺はそう言って、先程の巨大火槍フレイムスピアよりかは少し小さいが、それでも普通のよりは明らかに大きいものを、ほんの数秒で作り出し、バランに向かってぶつけた。


「まだだ!」


 バランと槍との衝突によって発生した煙に向かって、俺は更に火槍フレイムスピアを撃ち込んだ。

 先程の巨大火槍とは違う、普通の火槍だ。

 威力は劣るが、発動時間は大幅に短縮される。

 この数秒の間だけでも、10発近い数を撃てた筈だ。


「ふんっ!」


 俺が火槍を再び放とうとすると、突如煙がブワッと空へ舞い、中からバランが出てきた。


「きかんなぁ!」


 バランは無傷だった。

 堂々とした姿勢でこちらへと歩みながらも、俺の撃つ火槍を、バッタバッタと薙ぎ払って行った。


「アンドリューよ、それが限界か?先程、我を穿った魔術を見せよ!」


 バランがどんどんと近づいてくる。

 俺は一か八かで、空に向かってありったけの魔力を撃ち流した。

 誰かが気づいてくれれば……助けを願うしかない。


「何のマネだ?」


 魔力が空な今、助けが来るまで生き延びるのは至難の業だ。

 ……ここは。


「お願いします!どうか、どうか命だけはお助けください!」


 命乞いだ!

 

「……戦いというのは、命の取り合いだ。我は貴様のような、自ら戦いを逃げる者が、大嫌いなのだ!」


 バランは激怒し、俺に金棒を振り下ろした。


(あっ……死んだわ)


 俺は瞬間、グッと目を閉じた。


 ……それから数秒して、何も痛みが無かったため、目をゆっくりと開けた。

 

 ……するとそこには!


「やれやれ、まさかこんな形で再開するとはね……」


 目の前には、俺に振り下ろされる筈だった金棒を、いきなり現れた男が、剣で受け止めていた。


「お、お前は……」


 俺は、この男に見覚えがある。


 北の大陸じゃない……どこか違う……シェリア達と一緒に……


「あっ……!」


 瞬間、思い出した。

 キーワードは、シェリアだった。

 南の大陸の北部を彷徨っている時に出会った、騎士の格好をして、周りから歓声を送られていた、あの優男……


「お前は、シェリアに求婚してた奴だ!」


「騎士団長と呼べ!」


読了ありがとうございました!

できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

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