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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
第2章 一人旅 : 見習い騎士編
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第23話 剣魔闘祭

「ぐあー!」


 俺は早朝いきなり大きなあくびをかました。

 ベッドに横たわっていた体を起こして起き上がる。

 

「良い匂いがする……」


 俺は寝ぼけながらも、良い匂いがすることに気づいた。

 

「朝ご飯作っておいたわよ」


 そしてそこにはカーナがいた。

 

「何でお前が……あぁ、そうだった」


 カーナは今家がなく、俺の所に住ませてもらうことになったんだった。

 それにしてもあいつ、朝ご飯を作ってくれていたとはな。

 良い匂いがすると思ったんだ。


「別に、私がお腹空いてたから作っただけであんたに食べさせたいからなわけじゃないからね!」


 カーナは強く否定した。

 はぁ……じゃあ今日も草ご飯生活か……


 そのまま俺はドアを開けて外へ出ようとした。


「えっ……?あんた、食べていかないの?」


 カーナは驚いて声をあげた。


「えっ?まさかその中に俺の分もあるのか?」


 俺も問い返した。

 正直めちゃくちゃ美味そうだから食いたい。


「まぁ、あんたが食べたいってならいいけど……」


「食べたいです!」


 俺はそう言うと、急いで食卓へと戻り、ご飯を目の前にする。


「いただきます!」


 俺は早速ご飯を食べ始めた。

 まず最初に手を出したのは焼き魚だ。

 食べてみると、身は柔らかくそれでいて外の皮はパリパリという二つの食感を楽しめる良い一品だった。

 次に手を出したのは米だ。

 それも、俺が食べている米とは違い、粒一つ一つが白かった。

 俺のはいつも茶色で腐った色をしているんだけど……

 どう作ったらこんなに美味そうな色ができるのか想像もつかないな。

 これも食べてみると、モチッとした食感で柔らかく食べやすかった。

 噛むたびに甘みがまして、いくらでも噛んでいられる味だった。


「うんまぁ!」


 俺は米を飲み込むと、そう叫んだ。

 その後は、米→魚→米→魚→米→魚 と、おかずと主食を交互に食べて味の変化を感じながら飽きることなく食べていた。

 最後は野菜だ。

 俺はいつも、そこら辺にある葉っぱを野菜としているために、野菜は不味く栄養分のないものという認識があったが……これはすごいな!

 シャキシャキという歯応えと甘みが口いっぱいに広がって、いくらでも食べられそうだ!

 それに、野菜にかかったこの液体も凄い!

 この液状があるだけで、野菜の甘みがまして更に食欲がます!相性抜群だ!

 

 そうやって俺が嬉しそうな顔をして食べていると、カーナは聞いてきた。


「そ、そんなに美味しかったかしら?」


「あぁ!こんな美味しいもの、生まれて初めて食べたよ!」


「そう?私の家じゃ、これよりも美味しいものを毎日食べさせてもらえたけど……」


「さすがは貴族だな……あぁ!嫌味じゃないぞ!?」


 まぁでも、俺が小さかったころの食事もこれくらいはあったかもしれないな。

 あんまり覚えてはいないが……


「分かってるわよ……まぁでも、あんたのことも少しは見直したわよ。グリムから聞いたは、あんたあの時上級魔術じゃなくて、初級魔術を使っていたらしいわね」


 そうだ……今思えば何であの時、初級魔術があれほどの魔術になってしまったんだろう。

 これも無属性魔術と関係があるのか?


「何であれほどの魔術になったかは知らないけど……まぁ、その……勝手な解釈をしてあんたを責めたのは悪かったわ。ごめんなさい」


「そんなこと別に気にしてないぞ。それに、魔術の制御をできてない俺にも非があるしな」


 そう言ったやりとりをして、今日の朝ご飯は終わった。

 そしてそのまま荷物をまとめて家を出た。

 そう、今から学校に行くのだ。


 登校始めはカーナと二人で行っていた。


「まさかお前が、一緒に行こうと言い出すとは思わなかったよ」


「別にあんたと行きたくて言ったんじゃないから!」


 カーナは強く否定した。

 じゃあ他にどんな理由があんだよって感じだけど。


「あっ!二人ともー!」


 歩いていると、どこからか声をかけられ視線を移す。

 そこにはルーナとグリムの二人がいた。

 行くと、ルーナは元気よくおはようと言ってきた。

 それに俺もカーナもおはようと返す。

 挨拶って初めてかもな……

 俺は人に挨拶をしたことが、これまでなかった。

 やってみて思ったが、結構清々しいもんだな。

 良い気分だ……


「おはよう、アンドリュー カーナ」


 グリムも挨拶をしてきた。

 俺やカーナもおはようと返す。

 そういえばグリムのやつ、あれから結構明るくなったよな。

 おどおどした態度も無くなったし、よく喋るようになった。

 良いことだな!


 俺達四人は合流して、また学校へと歩き出していた。


 学校に着く目の前。

 門前と言ったほうがいいか。

 そこで一人の男が、誰かを待っているかのように座っていた。

 その男は俺達が来るのが見えると立ち上がり、少しずつ俺達の方へと近づいてきて言った。


「てめぇがアンドリューか!」


「あぁ、おはようランガー」


 グリムが、ランガーという男に声をかける。

 続いて二人も挨拶をした。

 

「誰だこいつ?」


 俺は思わず口からそんな言葉が出てしまった。


「誰だと……俺はランガー・ベイル!お前を倒す男だ!」


 いきなりそんな宣言をされてしまった。

 ちょっと待ってくれ……いきなりすぎて話がついていけない。


「聞いたぞ、お前がシュバルツの代理人らしいな」


 シュバルツ……?

 ……あぁ、確か俺の前にいた火の四天だっけ?


「まぁ、そうらしいな」


「何がそうらしいだ……お前なんかが、あのシュバルの代わりになるわけねぇだろうが!」


 ランガーはキレ気味に言った。


「来月……俺と勝負をしろ!そこで俺に負けたら、四天の座は俺がいただく!」


 ランガーはそう叫んだ。

 まぁ別に四天の座なんて目的じゃねぇし。

 俺は魔力さえ貯まればいつでも逃げだすんでどうでもいいんだけどな〜。


「いいぞ、分かった」


 俺はそう返事し、決闘(?)らしきものを引き受けた。

 ここ最近、この学校に入ってからロクなことがねぇよ……


「覚悟しておけ!」


 そう言ってランガーは去っていった。


「何だったんだ、あいつ?」


「多分だけど、来月行われる【剣魔闘祭】で勝負しろって事だと思うわ」


「【剣魔闘祭】ってのはね、この学校の生徒同士で戦って、誰が一番強いのかを決める祭りのことよ。そしてその中で一番強かった人は、四天のうち一人と戦う権利を得るの。もしそれで四天に勝ったら、四天の座を奪えるの」


 ……と、カーナが長々と説明してくれた。


「お前らは戦ったことがあるのか?」


「僕達は全員、一度は戦っているよ」


 じゃあつまり、こいつらは全員四天の座を防衛できたってことだな。

 ……なんか嫌な予感がしてきたぞ。


「ちなみにだけど、いつも狙われるのは新人ばっかなのよね〜」


 それってつまり……


「だから今年狙われるとしたら、あんただけだろうねアンドリュー!」


 やっぱそうなるのかよ……


 



読了ありがとうございました。

できれば感想なども宜しくお願いします。


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

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