第13話 夢
読了ありがとうございました!
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一瞬だった。
俺はただ普通に、店内で様々な長剣を眺めていたんだ。
確か、斬れ味に全振りした長剣とか属性魔法つきの長剣とかだ。
でもその中でも、一つだけおかしな物があった。
見た目はただの、何の変哲もない長剣。
しかし、長剣と言うにはズッシリとした重みも感じる、まるで大剣とも言えるような剣だった。
その剣だけは何かが違った。
オーラとでも言うのだろうか?
何かは分からないが何かを纏っていた。
一般の騎士が見ても分からないだろう。
熟練された上級以上の剣士でやっと分かるほどにだ。
それを見た時は俺も何かを感じた。
だけどそれはすぐになくなり、俺も違和感に気づかなかったんだ。
そしてそのまま俺の剣はその長剣にぶつかった。
正直な所、ぶつかったわけではなかった。
少し掠っただけだった。
それだけでも、俺の剣は容易く折れてしまった。
俺の剣が柔いんじゃない。
あの剣がおかしかったんだ。
俺はそうしてようやく、違和感に気づいた。
しかし、気づいた時にはもう遅かった。
「お……俺の剣………が……」
「ま、マジか…」
ロインの剣がいきなり折れた事にはビックリしたけどそれよりも、あのロインがこんなに取り乱していることの方が衝撃だな。
「お客様!?まさかその剣に触れたのですか?」
「いやっ……そのっ…当たってしまって……」
当たったって……
当たっただけでこんなになるのかよ……
「お怪我はございませんか?私が見ていなかったが故にこんな事に……本当にすみません!」
「い、いえ…周りをよく見てなかった俺が悪いんです。すみませんでした」
双方謝る。
ロインの剣がこんなになるなんて…この長剣は一体何なんだ?
もしかして伝説の剣だったりしてな(笑)
ー数十分後ー
「あらかた片付きましたね!」
「はいっ!お片付けの手伝いをしていただき皆さんありがとうございます!」
俺達は、ロインの折れた剣やら破片やらの片付けをしていた。
店内にこんなのがあってもあれだしな。
「いえいえ。俺達も暇でしたので」
なんて適当に返しをした。
それにしてもロインはどうするんだろうな。
やっぱり新しいのを買うのかな?
このままってのはないだろうし……
「あとその……そちらのお客さまの剣は弁償させていただきます。」
「えっ?いえいえ!大丈夫ですよ。折れたのも俺が悪いんですし…」
遠慮してしまうとは偉いやつだな。
しかしな、そこは遠慮しなくていい場面なんだよー!
「も、もしかして…ここにある剣は微妙だったりしますか?」
おっと、そうくるか…まあさすがにそういう理由じゃないだろうが。
「あー……その…実は…」
えっ?
本当にそう言う理由だったの?
だとしてももうちょっと隠さなきゃ文句みたいだろ!
「微妙ってわけじゃないんですが…俺大剣使いなんすよ…それで……」
あー!
そう言うことかよ!
何にしろ、そう言う事は早く言え!
……俺ってさっきから文句ばっかかな?
「そ、そういう事でしたか…でしたら身勝手ながら、隣店にいる刀工職人に大剣を作って貰うのはどうでしょう。勿論お金なら私が出します!」
「いや、お金まで出してもらうのは……」
そう言って俺達の方へ振り返る。
俺達も金はあんまねえんだよなぁ。
遠慮なくもらっとけ!
「じゃあ、お金お願いします」
自分で言っときながらだけども案外あっさりと退いたな。
ー刀鍛冶屋ー
「すみません!」
「何じゃ!おっと客様かー、すまんのぅ。刀を作りにきたんじゃろ、どんなのがいい?」
刀鍛冶屋の中には、いわゆる職人!って感じの爺さんがいた。
周りには刀工道具らしき物がたくさんあった。
「えっと、大剣がいいんですけど…あとできれば長めのをお願いします」
「了解したぞ。作るのに五日はかかるからそれまで近くで待っといてくれ」
「分かりました」
と、いうことでロインの大剣作りが始まった。
製作には五日かかるそうだし、何かをして時間を潰さなきゃな。
「まだ行けてないところも山ほどありますし、色んな所をまわって時間を潰しましょうよ」
「そうだな、そうするか!」
俺達はまだ行ってない店やらへ行く事にした。
「それにしても坊ちゃん、新しい杖買ったんですね!」
「まあな!でも、まだ一度も使ってないから何とも言えないんだけどな」
「なかなか良い杖なんじゃねぇのか?」
「おっ!やっぱ剣士とかにはそういうオーラみたいなのが見えるのか?」
「いや全然?ただなんか赤い杖ってかっけぇなーと思っただけ」
何だそりゃ?
ちょっと期待しちゃったじゃんかよ。
まあいいか。
「最初はあの店行こうぜ!」
ロインが指を指す。
その先には飲食店があった。
「俺腹減っちまってよ!」
「い、いいけど……」
「……もう?」
俺もシェリアも同じことを思っていたようだ。
なにせさっき武具屋の人から差し入れをもらって、それを全部食ったんだからな。
あの量を食ってまだ腹減ってるってのはなー……
「もう?ってお前ら……そんなだから成長しねぇんだぞ!」
お前の場合は食い過ぎだよ。
「まあいいけど、あんま食わねえからな!」
「分かったって」
こんなに腹いっぱいなのに食えるわけがないだろ……
ー数十分後ー
「うめえっ!うめえっ!何だこれ!腹いっぱいな筈なのに、一生食えるぞ!」
さっきまでのは何だったんだろうと思う程に食える。
腹がいっぱいでも、美味しすぎて食えてしまう。
無限に食べられそうだ。
「坊ちゃん……あまりに美味しかったからかな……ぐっすりですね」
「気持ちよさそうに寝てんな。なんか寝言も言ってるし」
「ゴーーー……うまい………ゴーーー………うまい……ゴーーー」
ウマいけど、なんか味はしない。
味はしないけど、なんかウマい。
だから食べる。
今日は幸せだなー。
「ゴーーー…ウマい…ゴーーー…ウマぃ…ゴーーー…ウマ…ゴーーー…ウ…ゴーーー…………………」
俺はそうして眠りに落ちた。
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