第12話 ヒスフィア王国
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【予言者リーナの書】第二弾です。
◇魔導の歴史
※世界が作られ、人間が作られ、意思疎通を可能とし始めたその瞬間からを『歴0』とし、一年ごとに数字が加算されていくようになっているとする。
歴390年 魔族の君臨
魔界より生まれた魔族は、次なる支配地として地上を選んだ。
魔族が地上に訪れた初期地点が、今でいう中央大陸の中央部だった。
魔族が長く住んだことによって、中央大陸中央部の一帯は、魔族の本拠地となった。今ではそこは、『魔の巣』と呼ばれるようになっている。
歴400年 『魔人間争』勃発
十年という長い年月が経ち、魔族の侵略は広がる一方であった。
この時の人間側の戦力は、少数精鋭といった感じで、多くの強者がいた。
しかしそれは魔族側においても同様で、それよか魔族側は数も多く強者も多い、最恐集団であった。
人間と魔族は、この時期が最盛期であったと言われている。
歴410年 女神降臨
人間はこの戦争、はっきり言って劣勢であった。
そんな人間への慈悲なのか何なのか、未だに解明はできていないが、この時人間側に『女神』が降臨した。
女神は人間に『より賢くなれる知恵』『より強靭となれる武力』そして『より優れた術士となれる魔力』を与えた。
これにより、人間は『戦略』『闘気』『魔術』を身につけた。
歴415年 魔王撃破
『戦略』を身につけた人間は、攻め方を変えた。
『闘気』の優れた者には前衛を、『魔術』の優れた者には後衛を任せ、魔族陣営へと迫って行った。
当時の有力者として、《風魔術の使い手》ロン・ジェラルドと《騎士王》ジークがいた。
二人は『戦略』などお構いなしに特攻するタイプであった。
しかし二人は、単独で《魔王》ゲーテと渡り合える程の実力を持ち合わせていた。
故に二人は戦略などなくとも、単独で魔王のところまで攻め立て、そして魔王を斬り伏せられた。
ジークの一閃が致命傷となり、魔王は死んだのだ。
そんな魔王の撃破により、魔族陣営の統率は大きく崩れた。
魔族陣営には主に、獣族・鬼族・魔族の三種族が加わっており、各種族に一人統率者が存在した。
獣族の統率者は《獣王》ガリオン。
鬼族の統率者は《鬼王》バラン。
魔族の統率者は、魔王の代理である《魔統》バルバール。
少数ではあるが他にも三種族以外に、後の《炎王》ダルトス。《騎士王》ボルグなどがいた。
統率の崩れた魔族陣営は、それから十年にも渡って耐え続けた。
歴425年 魔神の君臨
魔界を支配する魔族。
やつらを統率するのは主に魔王である。
魔王がいない場合は、代理として魔統が統率をはかる。
しかし唯一、奴が現れた時だけは統率者が変わる。
魔界の真の支配者であり、人間に恐怖と絶望を与えた、魔の根源。
《魔神》グラトムの、君臨である。
グラトムは知力・武力・魔力、共に誰よりも優れていた。
人間側の圧倒的な優勢は、そんな魔神の攻撃参加によって一瞬にして劣勢へとおちていった。
このまま順調に進んでいれば、人間側の勝利はなかっただろう。
しかし、ある想定外の事態が起きた。
それが、魔神の油断だ。
人間程度………と、魔神は余裕でいた。
故に隙だらけな場面が多かった。
その際を、ロン・ジェラルドと《騎士王》ジークは見逃さなかった。
二人の、神級に値する絶技がグラトムの首を捉えた。
首をとられ、ぐらついたグラトムへ追撃を加える二人。
そんな激戦の最中。グラトムの再生力を上回る速度と破壊力をもった攻撃を加えることに成功した。
そうしてグラトムは死んだ。と、されている。
そして、後に二人は《英雄》と呼ばれるようになる。
歴428年 終結
およそ30年に渡る激戦に、終止符が打たれた。
敗北したのは魔族。
敗因は、魔神の敗北によるものだった。
魔神が敗北した途端、魔族側はすぐさま退散していき、魔の巣へと戻って行ったそうだ。
これは噂だが、戦争の最中、上空に青い龍が飛んでいたのを見た、という人が多くいたらしい。
「噂じゃその龍は、魔王の右腕とか言われてるみたいだが、所詮はそれも噂だな、確証がねえ」
ロインはそう言って笑ってみせた。
「あと20年で復活するってのが、その《魔神》なんだろ?それはもう世界の終わりみたいなものなんじゃねえか?」
「どうかな、予言が正しいとは限らねぇし、それに今や強力な騎士団が沢山いる。案外、圧倒できるんじゃねえの」
騎士団、てことはアイツもその一人だよな。
「前にシェリアと結婚したがってた奴とかか?」
「そうだ。まぁアイツはその中でも最上位の騎士団長らしいがな」
あれが強いのかな……………
「ちなみにですが、坊ちゃんのお父様も元騎士団長だったんですよ!」
「へー、そりゃすげえな」
すげえすげえ。
「それ聞いて、どう思いましたか?」
「あー、誇り誇り。俺の誇りだよ父さんはー」
アイツの場合は埃だろうがな。
そんな話をしていると、見えてきたみたいだ。
「おっ!見えてきたぞ!」
目の前に聳えるは、有数の大国として名を馳せる『ヒスフィア王国』
「ヒスフィア王国、名だけなら俺でも知ってるぜ!
「とりあえず入ってみるか」
俺達は、ヒスフィア王国へと入国した。
◇ヒスフィア王国
ヒスフィア王国には、多くの店や城や家があって、サーバック王国なんかとは比べものにならなかった。
「すげえ!入ってみようぜ!」
ロインが久しくはしゃいでいた。
入り口付近にあった、武器屋にだ。
武器屋の中には、剣や盾などの定番のものだけでなく、魔術士専用の防具や魔力増幅付きの杖があった。
「あ!これいいですね!」
シェリアが嬉しそうにそう言っていた。
どうやら、拳甲を見ていたようだ。
「何か違うのか?」
「はい!この拳甲、魔力を流せばその分強度が増すんですよ!」
「シェリアに合ってて良いじゃん」
さてと………皆見てるし、俺も杖でも見るか。
杖を見ていた俺だったが、思ったよりも種類が多い。
迷うな…………
よし、こういう時は店員さんに頼もう!
「すみません!おすすめの杖とかありますか?」
そう言うと店員さんはすぐに来てくれた。
「そうですね、これとかどうです?」
店員は俺に、水色の宝石の付いた杖を渡して来た。
綺麗だな。
「これは何か効果付きだったりします?」
「この杖には、水系統の魔術を増幅させる効果・魔術操作を向上させる効果の二つが付きます」
「魔術操作の向上というと、どういうことですかね?」
「例えば魔術を使うときに必要な魔力が4だとします。それを2の魔力で発動できたり、凄い人は1の魔力で発動できたりすることです。魔術操作を極めれば、より少ない魔力で魔術を発動できるんですよ!」
な、なるほど………
「ちなみに、水系統以外の杖もありますがどうされます?」
「火系統のが得意なんで、そっちでお願いします」
得意以前に、それしか使えないんだけどな………
「でしたらこっちですね!どうぞ!」
「ありがとうございます!あとその、ちなみにこれっていくらくらいですか?」
相当高そうだよなー。
俺の手持ちで買えたらいいけど………
「これですか、タダでいいですよタダで!」
「た、タダ!?
マジかよ!
太っ腹だな!
「実はあまり売れていないものでして、買ってもらえるのがありがたいんです!」
「そうでしたか、じゃあ遠慮なくもらいます」
俺はそうして、杖を受け取った。
だが次の瞬間……………
『ガシャンッ!』
「……………え?」
何の音だ?
何かが割れたような音だったけど………
俺は音の方へ振り向いた………
音の先にいたのは、ロインだった。
「はっ?………え?お、おい………嘘だろ……!?」
ロインの背に掛かっていた筈の大剣は、中間部分で斜めに折れていた。そして所々にはヒビが入っていた。
「………………」
ロインの剣が折れたのだ。
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