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冒険記録-世界を救う30年間-   作者: 鮭に合うのはやっぱ米
冒険者編 南の大陸
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第10話 A級モンスター

読了ありがとうございました!

できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

 俺達は目的地である大陸の南部の方向へと歩いている。

 噂によると、南部の方にあるギルドの依頼は、高額報酬のものが多いらしい。

 だから南部の方には、長めに滞在する予定でいる。


 そして現在、大陸の中央部へと入ろうとしていた。


「ここからが中央部か………ここまで魔物は少なかったからな、もしかしたらここから増えてくるかもしれない」


 魔物の数は、確かに少なかった。

 ここから増える可能性は大いにある。

 気合いを入れる必要がありそうだ。


「確かに………ここからは気をつけていきましょう!」


 シェリアが全員にそう言った。

 俺達は大陸の中央部を前に、一旦気合いを入れなおした。

 

「……………なんかなぁ」


 ロインがやけに悩んでいた。

 見るとロインは、『これより先、中央部』と書かれた看板を意味ありげに見つめていた。


「どうかしたか?」

「いや、勘違いならいいんだが……この看板がやけに不自然というか………」


 不自然?

 別にそんな風には見えないけどな。

 

「どういったところが?」

「いや、これまで大陸の境目を通った時に看板なんてなかったじゃねえか。なのにここだけ立てられてるってのは、騙されてるんじゃと思って………」

「考えすぎだって」

「それもそうか」


 という事で、その件についてはなかった事になった。

 今思えば、ロインの勘は凄まじいな。

 まさか的中させてしまうとは思わなかったよ。


 そうして、俺達は中央部へと入った。




◇◇◇


 中央部は巨大な森林地帯だった。

 グランデの森を思い出すなー。

 

 そして魔物は、予想通り多かった。

 そして強かった。

 さっきまでの魔物がC級程度だとすれば、こいつらはB級はある。


「はぁ………はぁ……中々、やるじゃねえの!」

「えぇ………って、ロイン後ろ!!」


 シェリアがそう叫ぶ。

 ロインの背後には、巨大トカゲの姿があった。

 そしてトカゲの鋭利な尾がロインにぶつかろうとしていた。

 あれがぶつかれば、最悪貫通もありえる。

 これは、そのレベルの危機だった。


 と、いつもの俺なら焦るところだろう。

 だが今回は安心できた。

 何故ならトカゲの尾は、中級の火魔術によって、ロインに到達する前に焼け落ちたからだ。

 そしてこの火魔術を放ったのは………俺だ!


 どうやら説明しなければならないらしい。

 俺の進化を!!

 以前、獣王に捕まり魔族の血を飲まされたあの日から、俺の魔力はありえない程に溢れかえっているのだ。

 故に魔力操作のお粗末な俺でも、強引に魔力を使えば、中級や上級の火魔術なんかも使えるようになった。


「油断すんなよ!」


 俺は調子に乗っていた。

 久しぶりの活躍に、胸が躍っていたのだろう。

 故に、考えなしに突っ込む。

 それが、いつもの様にシェリア達の助けがあればいいが、もしも無かったら………

 もしも、シェリア達でも助けられない次元の話だったら………

 俺はどうなるんだろう。

 

 そして俺はそれを、身をもって体験する事となる。


「くらえっ!」


 次も巨大シリーズ!

 巨大蜘蛛だ!

 俺は考えなしに、上級の火魔術を放った。

 これなら一撃だろう。


『シューーー』


 煙が止んだ。

 しかし煙が消えてなお、存在し続けるものがいた。

 それがこの巨大蜘蛛だ。

 こいつは俺の上級火魔術をものともせず、無傷で生還したんだ。

 間違いなくB級じゃおさまらない。

 A級の魔物だ!


「嘘だろ………!」


 驚きと絶望が交差し、気づけば俺は膝をついていた。


「くそっ!アンドリュー!」


 ロインが必死に叫ぶ。

 シェリアは既にこちらに向かって動いていた。

 しかし恐怖とは、体が分かっていても動かないものだね。

 指一本、動かせない。

 死を感じる。

 目の前の蜘蛛に食われるのだと。


 蜘蛛は、ついに俺の目の前まで近づいた。

 そして、強靭で巨大な多数ある足のうち、たった一本だけをふりあげた。

 俺は食われるまけでもなく、潰されて終わるのか………

 

 だめだだめだ……

 これじゃあまるで、今から死ぬみたいじゃないか。

 悪いけど、俺はまだ死ぬつもりはない。


 反射的に、意識的に、いや無意識に、俺は『生きたい』という行動信念のもとで咄嗟に動いていた。

 蜘蛛の足が到達するよりも速く、俺は右へとんだ。


『ぶんっ!』


 空気をきりさくような轟音が響いた。

 蜘蛛の足が、地面についた。

 そして俺の体は、無事だった。


「危ねぇ………え?」


 違和感に気づいたのは、危機が去ってすぐのことだった。

 

 無いのだ。


 左腕に感覚がない。

 途中でバッタリと途絶えているんだ。

 

 嫌な予感がした。

 

 俺は、自身の左腕を見た。


「あ……あぁ………?」


 俺の左腕は、肩の辺りからバッサリえぐりとられていた。

 そしてそれに気づいた途端、とてつもない痛みが俺を襲った。


「ぐあ!ああああああああああぁ!」


 痛い。

 人生で味わった事のない痛みだ。

 泣き叫ぶ事しかできなかった。


「痛ぇ………くそ………」


 咄嗟に出た声すらも、そんな弱々しいものだっ………


「逃げて坊ちゃん!!!?」


 考える暇もない危険信号。

 シェリアが叫んでくれた。

 蜘蛛の追撃がきていた。

 避ける。

 無理だ。

 終わった。

 間に合わない。

 ………死ぬ時って、こうも呆気ないのか。


『ザシュッ!!』


 それは、人を潰す音とはあまりにもかけ離れた効果音だった。

 まるで人を斬った時のようなそんな効果音。

 俺が聞けたのは、それだけだった。

 痛みと恐怖で目を瞑っていたからだ。


 俺は恐怖を押し殺して、目を開けた。


「え………………」


 目の前には、茶髪でボサボサなロングヘアーを身につけた大男と、その目の前で倒れる巨大蜘蛛の姿があった。

 大男は長剣を握っており、それは煌びやかでお高そうであった。


 そしてこれは、誰が見ても明らかだった。

 

 この男が、巨大蜘蛛を倒したのだと。

 そして、俺を助けてくれたのだと。


「危なかったな坊主!既に重症っぽいが………」


 男はそう言うと、俺に近づいてきた。

 そして、俺の腕に治癒魔術をかけてくれた。


「おぉ………!」


 出血が一瞬で止まったのを見ると、恐らく相当高位の治癒魔術なのだろう。


「これで応急処置にはなったが、再生までには時間がかかるな。まあ包帯巻いて治癒魔術かけてりゃいつかは治る。気長に……………」


 男はそう呑気に言っていたが、急に途中で言葉を止めた。

 男は俺の腕をじっと見つめて、何やら驚いている様子だった。


 俺の腕がどうかしたのか?

 俺は再び、左腕を見た。


「え」


 あった。

 さっきまで消失していたものがあった。

 潰され、抉り取られていたはずのものがあった。

 

 そう………左腕があったんだ。

 手の先、爪の先まで、完全に再生していたんだ。


「おいおいおいおい………お前の再生能力、どうなってんだ!?これじゃあ魔族並………いや、それ以上か!?」


 魔族の血を飲んだ事で、俺の再生能力も格段に上がっているみたいだ。


「なぁアンタ、助けてくれたのはありがたい。本当にありがとう。ただ、一体何者なんだ?」


 ロインが割って入った。

 男の正体を明らかにしろと言う。


「俺はただの、森に住む臆病者だよ。ただ、皆からは《大陸王》だなんて大層に呼ばれているがな………」


 この日、俺達は南の大陸王に会った。


読了ありがとうございました!

できれば感想なども宜しくお願いします!


※これまでの話で分からない点なども感想で記入してもらって結構です

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