裏話1 冒険記録 ー 世界を救う30年間
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辛い思い出を忘れたい。
良い思い出だけを残していたい。
そんな思いから、俺は日記を記すことにした。
「はぁ……………」
これから良い思い出なんて、できるわけないのに。
………俺はどこで間違えたんだろうか。
男はそれでも、日記を書き続ける。
いつかこれが誰かに見られる、その日まで………
◇冒険記録 世界を救う30年間
《記録》
魔王が復活した。
魔族どもは、〝炎神を殺すため〟だと言って俺を魔族側に誘ってきた。
〝炎神を殺せる〟という言葉を信じて、俺は引き受けた。
炎神を殺すためならと思い、俺はそれを引き受けた。
《記録》
魔族共から、戦争を起こすと言われた。
今日はその戦争についての作戦会議とやらをするそうだ。
面倒くさい。
戦争の目的は炎神をおびき寄せて殺すこと。
そして《炎神》を殺すだけだから人間には被害のなさそうな山奥でやるとのことだ。人間の反感を買いたくないだけだろうがな。
だが俺は、それじゃあ奴を殺さない事は知っていた。
だからもっと緻密に、深く、長い時間をかけて計画を練る必要があった。
それこそ、人間を利用するくらいしないと無理だ。
俺は魔族に頼んだ。
あと三年の時間をくれと。
そうすれば奴に勝てると。
勿論、それに反対した奴もいたが、そんなゴミはすぐ燃やした。
するとさっきまで反対していた奴らも一斉に認めてくれた。
本当にコイツらは利用しがいがある。
《記録》
あれから約三年。日記も書かずに俺は、緻密な計画と魔術の練度を高める修行をしていた。
三年経って、俺は結構老けたようだ。
二十三とは思えないような、髭の生えた大人びた顔つきに変わっていた。
だが後悔はない。
これでようやく、《炎神》を殺せるのだから。
それを考えれば、不思議と今までの苦労も後悔も悲しみも、全てが意味のあったもののように感じられる。
今や《五大魔術師》の一人として数えられるようにもなったが、魔術にもそろそろ限界を感じ始めていた。
剣術の道を極めてみるのも、案外有りかもしれない。
《記録》
唯一の友が死んだ。
どうやら、俺達魔族側が起こした戦争に参加していたらしい。
《鬼王》との一騎討ちの最中で、《魔王》の不意打ちを受けて絶命したみたいだ。
ちなみにこれは、魔族の下っ端が噂していたのを聞いただけだ。耳障りだったからそいつらも殺した。
ちなみにその後《魔王》も殺した。
ハハハ。
《記録》
戦争が終わった。
結果は魔族の大敗。
魔王が突然の死を遂げたことで人間側が有利になったみたいだ。
そして結局、《炎神》が現れることもなかった。
一体、俺の三年の意味は何だったのか?
無駄に力をつけて、代わりに友を失った。
こんなことをしていて、いいのだろうか。
最近は、そんなことばかり考えてしまう………
《記録》
腹いせに、人間の村を襲った。
近くの草原で遊んでいた子供から殺して回った。
村の人を殺してまわっていた時にその子供の親らしき人間が俺を殺そうとしてきたが焼き殺した。
村は全焼させて人間は全部殺した。
人間なんて塵と一緒だ。
同じ人間を罠に嵌めて、殴って、蹴って、切り裂いて、痛ぶって、殺す。
それが人間だ。
なのに自分がされた時は喚きながら助けをこう。
これも人間だ。
なんて醜い生き物なんだろうか。
《記録》
騎士団から直接、指名手配犯と指された。
どうやら俺は狙われているらしい。
だったら俺も殺してやるよ。
《記録》
騎士団が来た。
村を襲っては逃げてを繰り返していた俺を、先回りして待ち伏せていたみたいだ。
だから全員殺した。
《記録》
サーバック王国に行った。
王様を殺した。
《記録》
聖天騎士団の本部へ行った。
騎士団長二人を殺した。
その後にきた残りの騎士団長も殺した。
思ったよりも手こずってしまい、その間に魔族が攻めてきた。
《記録》
魔族はどうやら、この機に俺を殺しにきたらしい。
裏切られた。
だけど慣れっこだ。
《記録》
鬼神が出てきた。
さすがに強かった。
だけど気づいたら、急に出てきた炎神が殺していた。
死ねよコイツは。
《記録》
それから二十年が経った。
剣術も魔術も体術も、自分の限界まで極め抜いた。
そして肉体の全盛であることにも気づいた。
《記録》
この内に人間を殺そうと思う。
それから二年をかけて、人間を滅ぼした。
そしてこの大陸に残るのは、俺と少女の二人だけになった。
《記録》
地下を隠れ蓑にする友に出会った。
それがさっき書いた少女のことだ。
彼女は年をとらない、いわゆる不老不死という存在だ。
《記録》
やることを見つけた。
だから俺は、それに向かって頑張ろうと思う。
これは、魔族を滅ぼして世界を救った男の物語である。
【冒険記録世界を救う三十年間】
しかしその代償はあまりにも重く、男は狂い嘆き、全てを壊す決意をしたのだった。
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