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蒸し器ブームからの新商品

 そして、次の日――つまりは今日、閉店後にグルナがやってきた。そして、賄い(ラムしゃぶと魚醤、玉ねぎでプルコギ風にしてタイ米に載せた)を食べ終わり、丼鉢を空にした状況を見て言った。


「よう、恵理! あ、ミネストローネ……トマテの冷たいスープ作ってきたけど皆、腹に余裕あるか?」

「ありがとう! いただくわ」

「ありがとうございます」

「いただきます。女神もですが、あなたのトマテレシピも豊富ですね」

「スープは別腹! いただくなっ」

「ん」

「了解! あ、恵理、皿借りるな」


 恵理がお礼を言うとレアン、ティート、サムエル、ミリアムが次々に続いた。

 それにニッと笑うと、グルナは恵理に断ってから厨房に入り、人数分の皿に冷たいミネストローネを装った。それから、一同が美味しくスープを食べているのをニコニコしながら眺めていた。

 そんなグルナにこっそり目をやり、恵理は心の中で呟いた。


(うん、大丈夫。いつもと同じ……普通に話せるし、グルナの作る料理は美味しい)


 内心、胸を撫で下ろすと恵理は美味しくミネストローネを戴いた。そして皆が食べ終わったのを見て、グルナはおもむろに口を開いた。


「パン屋が、蒸し器を使って蒸しパンを作った。基本のプレーンから、レーズンや甘く煮た豆を入れたのまであるらしいぞ。もうすぐ商品化出来るらしい」

「あら! いいわね。おやつにもだけど、女性ならお昼の軽食にもイケそう」

「だよな。あと『ともし火亭』でも蒸し器を使って作った、蒸し鶏をつまみに出してるらしい」

「僕、戴いてきました。しっとりしていて、りんご酒にもあって、美味しかったです」

「ティートが言うなら、間違いないわね」

「恐縮です」


 グルナの言葉に、食べたことがあるらしいティートが頷く。

 満足げな様子を見て、間違いないだろうと思って恵理が言うと、ティートはにっこり笑ってそう言った。そんな二人のやりとりの後、グルナが話の先を続ける。


「……で、だ。俺の店もだけど、恵理も蒸し器を使っての新メニュー求められてないか?」

「ああ……ええ、そうね」


 それは確かにその通りなので、恵理はグルナの問いかけに頷いた。途端に、同意見だったのかレアン達も口々に言ってくる。


「すみません、店長……この場を借りて何ですけど、俺もそう思います」

「同感ですね、女神。よければ、理由を教えて貰えますか?」

「師匠! 新メニューは、俺も気になりますっ」

「ん!」


 最後のミリアムは無表情ながらも拳を握り、大きく頷いていた。

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