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単純、だからこそ効果的

 ハオは毎日ではないが、夕食後に食堂横にある露台で酒を飲む。そして下戸のフェリシアを先に部屋へと戻し、グルナの作ったつまみを食べながら杯を傾ける。

 その話を聞いて、恵理はルォシーに通されたのがフェリシアだけの部屋ではなく、夫であるハオと過ごす部屋であり、寝室とも繋がっていると知った。夫婦のプライベート空間に入ったことを若干、申し訳なく思ったが当人であるフェリシアはあっけらかんとしていた。


「おかげで、私が呼ばなければルォシー以外は来ないですから」

「それは、そうでしょうね」

「ええ。あと、私がハオ様を迎えに行くことも特に咎められませんから……行きましょう? エリさん」

「店長。俺とミリアムさんは、また庭から回っていきますね」

「ん」

「お願いね、レアン。ミリー……フェリシア様、よろしくお願いします」


 そして『支度』を終えた恵理はレアン達と別れ、フェリシアについてハオとグルナがいる食堂へと向かった。

 フェリシアがハオのところに向かうまで、そんな恵理を止める者はいなかった。



 今日の酒のつまみは、ザーサイの塩気とグルナが作ったチーズをアクセントにしたポテトサラダだった。

 前世のイメージだと、好きではあったがあくまでもサラダでしかなく。酒のつまみになるとは、こうして食べるまで思いつかなかった。


「……美味い」

「どうも」

「芋で酒が飲めるとはな……ただ、これは勿論、美味いけどマヨネーズを作ったり、売ったりはしないのか?」

「あぁ、ラノベでよくあるよな。作れはするけど、売るとなると衛生面に不安があるんだよな」

「……世知辛い」

「まあ、食いたいなら作るけど?」

「頼む! 俺もだが、妻にも食べさせたいんだ」

「妻? ああ、あのウサ耳美少女か」

「言い方! まあ、俺も初めて会った時は思わず口走ったけど」

「ハオ様」

「フェリシア? すまない、待たせてしまったか?」


 杯を傾けながらポテトサラダをつまみ、グルナと話しているとフェリシアが女官を伴ってやってきた。

 意識してなかったが、思ったより時間が経っていて待ちくたびれたのかと思い、立ち上がって歩み寄ってきたフェリシアの元へと向かうと――後ろに控えていた女官が、そんな彼の隣を通り過ぎた。


(……ん?)


 引っかかり、振り向いたハオの視線の先で、グルナの横に立った女官もまた振り返る。


「久しぶり。グルナを返して貰うわね」


 ……ルォシーに見えるように被っていた獣耳を模した飾りを外したのは、女官の着物を着て長い髪に見えるよう鬘を被った恵理だった。

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