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駆け引きの行方

「それを聞いて、どうするんですか?」


 うっかりしてしまったが、別に馬鹿正直に答える義理はない。

 だから、と恵理が質問返しをするとルォシーの眉が苛立ったように上がった。忠臣らしい。

 そんなルォシーを宥めるように、フェリシアが「良いのよ」と言ってから恵理を見る。


「同郷者の方だったら、ハオ様が話を聞いてくれるからです。いくら王族だからとは言え、他国民を強引に連れてくるなんて……臣下達は、ハオ様が喜んでいるからとむしろ賛成してしまい、誰もハオ様を止めないんです」

「あなたは、王子のお妃様なんですよね?」

「っ!」

「ルォシー。良いのよ……失礼致しました。確かに聞いてばかりではなく、私の方の話もしなければ不公平ですよね?」


 再びルォシーが怒ったのが解ったが、恵理としては国や夫婦の問題を第三者に丸投げされても困るとしか言えない。自分はただ、グルナを助けに来ただけなのだ。それ以上の荷物を抱え、結果、グルナを助けられなくなったら全く笑えない。


「いえ、聞いてもグルナを助ける以外のことをする気はないので、結構です」

「……聞いてくれないのなら今、ここで大声を上げて人を呼びます」

「っ!」

「させません」


 フェリシアの言葉に、恵理だけではなくレアンも彼女を捕らえて口を塞ごうとしたが、そんな恵理達の前に短剣を持って構えたルォシーが立ち塞がった。二人がかりなら勝てはするだろうが、それではフェリシアが悲鳴を上げるのは止められない。


「!? 魔法が……っ」


 一方、ミリアムも恵理達が物理攻撃出来なくなったので、魔法でフェリシアを拘束しようとしたようだが――ミリアムの『お守り』のようなものを身に着けているのか、魔法も弾かれてしまったらしい。悔しいが、これではフェリシアの話を聞くしかない。


「……手短に、お願いします」

「ええ……私は幼い頃、母と二人で獣人の里からこのニゲルに来ました。そして母共々、王宮の下働きとして働き出したのです」


 恵理から了承を引き出したフェリシアは、そんな風に話し始めた。


「平民の私達が王宮に、そして王族に仕えられたのは、私達が獣人だからです。ニゲルの王族は竜の血を引くと言われている為、獣人が尊ばれていて……最初は戸惑いましたが、もっと戸惑ったのはハオ様でした……私を見て「もふもふウサ耳美幼女、キター!」と声を上げられたのです」

「……よくその出会いで、嫁ぎましたね。身分差で、婚姻を強要されたんですか?」


 ついツッコミを入れた恵理に、フェリシアは笑って首を横に振り、話の先を続けた。


「確かに、意味不明な言動をされますが……ハオ様は優しくて、可哀想な方なのです」

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